第七話
あっという間にPVが2000超えた…しかしこっからがある意味山場だなぁ(執筆者の気力的にも閲覧者数的にも)
魔法陣が剣に吸収される寸前に見えた魔法陣の色は赤と緑。もし私の推測が合っていたらなら属性は炎と風で、さっきの爆風は剣が盾にヒットした瞬間にその魔法陣を発動させたから、だと思う。本人に確認してないから、確証はないけど。
爆風によって一瞬視界がふさがれはしたものの、一度瞬きをしたら目の前のイリアスさんの顔は判別できるぐらいにはなっていた。これだけの威力を持つ魔法なのだから、奥の手まではいかなくてもとっておきの一つなのだろう。その証拠にイリアスさんは驚きで目を見開いている。あぁ瞳孔がもの凄く細くなってて爬虫類っぽさが倍増してるなぁ…、ってなんでこんなに呑気なんだ私は。
「…驚いた、【劫火ノ劔】をまともにくらってそれでも立ち上がろうとしたものは今まで二、三人見てきたが、攻撃前とほぼ変わらない状態で防ぎきったのは、あなたが初めてだ。」
「あ、そうなんですか…。」
そりゃ無理ないでしょ、これ滅茶苦茶威力高いんだもの。くらった側からの意見を言わせてもらうとしたら逆にあれを受けて立ち上がろうとした人たちの方が凄いと思うよ。
「というかイリアスさ、ま。こんなところでそんな技を使って大丈夫だったんですか?王様が危険だったんじゃ……」
「何、心配には及ばぬ。」
なんともなさそうな王様の声を聞いて思わず勢いよく振り返ってしまった。見ると王様は自分と家臣や兵たち諸々と、私たちを区切るようにして半透明の結界を張っていて先ほどまでと同じようにしている。家臣や兵たちは尊敬の眼をして王様を見上げているが、この際それは無視だ。というか今よくよく見てみたら王様の目が何かキラキラしてる。さっきよりものすごく興味津々な感じになってる。
「あれ、というかさっきイリアスさんこれを防ぎきったのは私が初めてだって言いましたけど、王様はカウントされてないんですか?」
「……その事はまた今度話す。」
私が疑問に思ったことそのまま口にしたら、何故かイリアスさんはうっかり青虫を噛んでしまったような顔で剣を収めた。ていうか何ですかその何とも言い難い表情。
「アヤネ、そなた種族は何だ?」
「は、えっと……人間、です。」
「……ほう。」
あ、何か王様の目がもっとキラキラしだした。口元も何か笑みを隠しきれずになってきてるし、今にも玉座から飛び降りそうになっているのを無理やり押しとどめてるような状態になってきた。そして家臣たちの間には妙などよめきが走っている。あれひょっとして「種族『人間』」ってNGワード?私墓穴掘った?
「アヤネ、もし行くあてがないのならこの国で私に仕えてくれぬか?」
「……えぇ?」
…まさか神が言ってたフラグが云々って、これのことか?
「フランシスカ様!!そんな急に言われましても向こうが「是非お願いします」こまぁぁぁ!?」
たぶんあの白いお髭のおじいさんが言おうとしたのは「困るだけ」とかなんだろうけど、生憎と私にはその誘いを断る理由がない。なんせこちとら初めてばかりのこの世界で何が常識で何が邪道なのかすらわからないのだ、それにイリアスさんという好みドストライクのおっさんもいるのに、むざむざこの国を出て行く理由が見当たらない!!
「そうか!それならよい、早速部屋を用意させよう。それとこのあと少し残ってくれ、個人的に話したいことがある。」
こっちはなんだか少し不穏な気配があるが、断ったら断ったでさっきの話がなしになる可能性が大きい。というわけで素直に「はい」と言っておく。
「ああイリアス、お前も残ってくれ。おまえにも話しておきたいことがある。」
「は…?わかりました。」
ますます不穏なフラグになってきた気がするがやっぱり無視する。まぁ仮に命を狙われても何かしら能力を使って逃げ出せばいいだろうし。そうなったらこの世界をのんびり旅してみてもいいかもしれないし。
「それでは全員解散!!」
「(学校の先生か!?)」
「…アヤネ、どうやらあなたは我が王に相当気に入られたようだ。あれほどうきうきしている顔は今まで見たことがない。」
「そ、そうなんですか。」
というか何であんなに楽しそうにしているんだろうか、180年生きてきて王様に仕えている年数も多分90年前後はあるようなイリアスさんすら初めて見るほど楽しげって、どれだけだよ。
というわけであれから家臣たちの去っていった謁見の間には現在見張りの兵数人をのぞいて、私とイリアスさん、それに王様とたった今入ってきた、王様に何処となく雰囲気の似たイケメンさんだけがいる。多分状況的にこの国の王子様とかそんなんだろう。
「さて、そなたたちには今この場に残ってもらったわけだが、まずアヤネには余の名を知らせていなかったな。余はフランシスカ・フォン・アルカディア、この国を治める第53代目の国王であり、今の位になってからおよそ700年経っている。」
「な、七百年!?」
まさかのイリアスさん以上の年長者!!いや途中からそうなんじゃないのかなーとかチラッと考えたりはしてたけど、せいぜい半分ぐらいかと思ってたのにまさかの!!
「ちなみに生きてきた年数は1500年ほどだが、そなたたちの年齢に換算すればまだ30にもなっておらぬ。我らの種族は長寿であることと膨大な魔力が特徴なのだが、記録に残っているのではおよそ7200年も生きた者もいる。」
尋常じゃねぇなおい!!イエス様もビックリだよそんなの、西暦年数的な意味で!!というかこの人の種族は一体何なのだろうか、パッと見は人間にしか見えないけど寿命的に絶対違うし……。
「そしてこやつは私の息子で、この国の第一王子であるネフィリム・フォン・アルカディアだ。」
「お初にお目にかかります、アヤネ殿。」
「わわわ、王子様がそんなぽっとでの人に殿なんてつけないでくださいよ…。」
そう言って丁寧にお辞儀をしてくれたネフィリムさん(失礼だが女性みたいな名前だ)は薄い水色の髪をポニーテールにして長い前髪を真ん中でわけ、赤い宝石の付いた額飾りを付けた爽やか系のイケメンだった。というかキッパリ言わせてもらうと某無双ゲー6作目の小○坂の片割れと瓜二つだと思う。しいて言えば瞳の色が父親と同じアメジストなぐらいしか顔の判別手段がないよ。
「御久方ぶりですネフィリム王子、今遠征からご帰還したばかりで?」
「いえ、父から呼び出されて私一人だけ転送装置で帰還したばかりです。部隊の方はあと1時間もあれば到着するかと。」
「そうですか、お疲れ様です。」
「そこの二人、次は余が話をしても良いか?」
「「はい、申し訳ございませんでした。」」
「(はもった!!)」
「アヤネよ、そなたは己が人間だと申したな。その言葉に偽りはないであろうが、今後出来るだけその事は伏せておいた方がいい。」
なんと?
「それはなぜですか?」
「じつの所を言うと、この世界の人間はごくごく少数しかいなくてな、現存が確認されているのはせいぜい100人ぐらいしかおらぬ。世界人口は八億ほどもあるのに、だ。」
……なんですと?
中途半端ですがいったんここで区切ります。また長くなりそうなので。