バーのマスター
バーのマスター
……何？彼氏が浮気してる？
彼奴が？……あの抜けてなんか微妙にほぇっとしているヤツが？
いや、ないでしょ。
え？そうじゃない？ほえっとしてない？きりっとしてる？うん……ノロケはよそでやってくれると助かるんだけど。聞いてないね、聞いてない。
……ふーん。まぁ、アヤシイと言えばアヤシイわね、確かに。どっちともとれるわね。でも知ってる？でも、アニメやら漫画やら小説だと、まぁ勿論、モノによるんだけど、そういうのは大抵勘違いで、ぼわーっと暴走して、挙げ句抜き差ししちゃって……いや違ったんだ、というのが山梨落ちナシの……え？私の趣味の話はいいから？
こりゃ失礼。
でもまぁ、あんたがそうやって悩むなんて珍しいわね。
どちらかと言えば、あんたが振り回す側だったじゃない。え？今度は違う？振り回されてばっかり？……いやぁ……部外者の私からはなんとも。
え？仕事しろ？こちとら客だぞ？……そうきたか。
えぇ、お客様が振り回されてばっかりですね。
……心がこもってない？
まぁそうかも。
でもまぁ、振り回すのも振り回されるのもいいじゃない。何もないよりマシよ。
取り返しの付かない何かを起こしたら事だけどさ。
でも浮気……ねぇ。
あのぽわんとした彼が？
ん？……ぽわっとしてない？むしろ、クールできりっ……うん、わかった。
帰れ。
こっちはバーのマスターなんてやって出逢いなんてねぇんだよ！じじいと二人でひたすら切り盛りしてるわけ！……ってやっかましいわ！じじい！……ま、立ち飲み屋に近い形態だから仕方ないとは思うけど。そ、イギリスのバースタイル。ぱくりもパクリ、もろパクリ。逆輸入の裏ビデオなみ。……え？洒落てる？……ま、まぁ、その……
――って……
――わっかりやすっ！
おいこらじじい！何気分良くお酒振る舞ってんだ！？
いやいやいやいやいやいや、おい、こら。そして飲むな！それ、銀座で出したら、一杯七千円はつくのに！何、陽気に振る舞って踊ってるんだ！じじい！私だって喜びたかったのに！ずるい！ツンデレタイム！ツンデレタイムを実演させて！
……はぁ
まぁいいわ。でも多分、アヤシイと言えば、アヤシイけど、勘違いよ。保証する。
え？
なんで私が保証するのって？むしろ、私が彼奴の恋人？
いやいやないない――ってこわっ！？何！？いきなり何でビール瓶を装備！？少なくともヒノキの棒より怖いわよね！？
……浮気しろよ？格好いいじゃない？心が揺れ動くでしょ？
……帰れ。
マジで帰れ。
バカップルは爆発しろ。
私がバカップルになるのは許すけど、その他大勢のバカップルは爆発しろ。
でもまぁ、心が揺れ動くかどうかは別として、此処でしばらく飲んでれば解るわよ。
え？……なんでソレがわかるのって？
ふふん。
お姉さんは何でもお見通しのモノよ。
……いやまぁ大学生の恋愛だし。
え？馬鹿にするな？
まぁ確かにね。馬鹿にするべきじゃあ、ないわね。恋愛は恋愛。小学生の恋愛だって、本当は馬鹿にしちゃいけない。
けど、ねぇ？
ほら、ドッキリってあるでしょ？
そう、ドッキリ。
さてさて、今は何月でしょう？
……うん。違うね、違う。
誰も春のアニメの終了は嘆いてない。
いや、確かにね。確かに寂しいけどね。
特に私は。
……
でも、いいんだ。今年は二次創作の当たり年だから……あ、その話はいいですか。さいですか。
残念。
そう、ドッキリ。急に戻したわね。
いや、ほら、ドッキリって、答が分かってるから楽しめるわけでしょう？
そうそう、私が犯人です……ってなんで！？そしてビール瓶が増えた！？
二刀流！？ごめん！ぜんっぜん格好良くない！けど身の危険はびしばし感じるわ！？
ていうか酔っぱらってる？……珍しい。
で、答は？
……え？解らない？……嘘でしょ？
いやいや、あるじゃない。ほら。そう、それ！
……いやごめん。誰もＤＶＤＢＯＸの話はしてないな、うん。いや、確かに私はね、そりゃもうたまりませんよ。色々と汁が飛び散ってますがな。でもね、違う。うん、違う。薄い本の祭りはこれから。え？似合わない？……うるっさいわね。好きなの。好きなんだから仕方ないでしょ。
やかましいわ！じじい！あんたも年考えてガハラさんに萌えるのはやめなさい！
……失礼。
え？ありえないほど、オタク？……ははは、何を今更。ま、あのじじいはにわかだけどね。
……それで良く洒落たバーが勤まるね？……いや、まぁ、そんなもんじゃない？実際、なんだかんだ言って、皆アニメとか好きよ。漫画然り。分かり易い＝人気が出るってのは、あながち間違いじゃないでしょ？
ま、その話をさらけ出すかどうかはその人次第だけど。私はその点、エロゲ、ＢＬ、音楽、英語、アニメ、ゲーム、小説、……ま、なんでもござれの雑食食いだからね。
背景の無駄さが違うのよ、無駄さが！がっはっはっは！
え？勝ち誇る所じゃない？
……出逢いがないのが残念。
さてさて。そろそろかな？
ん？何がって？
……ちょっと。いやまぁ、確かに抜けてる所あるわよね、と思うところは結構あったけど、真面目に忘れてるの？
ま、いいわ。
せいぜい、鼻血でも出して床に這い付くばりなさい。
……
――十分後
……恋に盲目って……すごいのね。
軽く羨ましいわ。
