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双方向性感情振動線 働くお嬢様 4

 双方向性感情振動線 働くお嬢様 4


「母さん知ってたし」

「はぁ?」

 知ってる?なんで?

「そこの俊介さんが話してくれたのよ」


「……」


 ジト目。


 あ、彼奴、目を逸らしてる。


「ま、わたしの娘だし、それくらいはやりかねないかなーって期待もあったけど」

「どういう期待!?」


 母親の変な性癖が暴露されました。


「でもまぁ母さんビックリ」

「えぇそりゃまぁビックリでしょうね」

「いや、アンタの部屋の汚部屋ぶりにね」

「殺せぇええええええええええええ!だれか私を殺せぇええええええええええええええええええ!」

 実の母親に汚部屋よばわりされました!

「そりゃ彼氏も作れんわけだわな、こりゃ」

「た、……たまたま時間がなかっただけで、普段はもっと……うん」


 最後まで言えなかった私は正直者と言っていいんでしょうか……?うぅ。


「でもまぁ……そうよね。お見合いは三〇からでいいわ。それまでに結婚出来なかったら、母さんみたいにだいぶはっちゃけちゃうかもだけど。ていうか頑張ってね」

 そう言って、母さんは部屋を出て行きました。

 っておい。

「母さん!?母さん!?それ、どういう事!?ていうか父さんとの出逢いってなんだったの!?子供の頃に聞かされた『幼馴染み同士の微妙な距離感から大人の階段』はなんだったの!?」

 しかし反応は返ってこず。つっかけでわざわざ追いかけるほどもないなぁ、と思っていた私はとりあえず部屋に引き返し、


「俊介ぇえええええええ!」


「ストップ!ザ!モーメント!」


 なんて言いながら、お茶請けのクッキーを私に渡して、


「とりあえず座ったら?」

 と言うので、素直にクッキーをぱりぱりやりながら、珈琲をいれている彼を待ちます。


 ぱりっ、ぱりっ……


 ……なんか胡麻貸された気分だ……!!


 ばしんばしんと机を叩きながら、私はそれでもぱりぱりとし続けます。

 

 決して!


 決して、


 クッキーの美味しさに負けたとかじゃないんだからね……!!


「はい」

「ありがと」礼を言って、珈琲を受け取ります。

 彼は、「よっと」と言いながら、向かいの席に座ります。

 

「さて……」


 ごくり。

 彼が、座るなり言葉を続けたので私は耳を、


「今週のじょしら○のエンディングについて語ろうと思うんだが」


「関係ないですね!?」


「いや毎週一緒だけど、やっぱりあーいう頭身でぬるぬる可愛く踊るとやばいよね」

「俊介さん!?そんなキャラでしたっけ!?」

「人類は衰退しました、も良いよな。原作も大好きだけど」

「ていうか私の話!私の話の続きを!」

「織田信奈は普通に女の子が可愛くてなんか主人公が普通に格好良かったんだけど……もっと主人公格好悪くて、ださくて、格好良かったよな?」

「わかりづらい!ニュアンスは伝わりますけど、解りづらいです!その表現!」

「とりあえず」

「とりあえず?」


「嘘はいけないと思って伝えちった。ごめりんこ」


「史上最悪の胡麻貸し方きましたねぇ!」


「まぁ、……それは冗談として」


 そう言って、膝を崩し、目線を下げ、



「余計なお節介かな、とも思ったんだけどさ。一応、伝えたんだ。



『色々と時間が欲しいらしいですよ』



って。素直に言うのは、なんかこう込み入ってるみたいだし、こういうやり方したらどうだって話をしてさ」


「それで婚姻届け?」

「いや、あれはそもそもお母さん持参。そのつもりはあったんじゃない?」

 そうして珈琲を一口。

「……心配なんでしょ?」

 目配せしながらそんな事を言います。

「わかりますけどね」

 私も一口。


「でもまぁ、御津さん」

「何?」

「俺は別に一緒になっても良かったんですよ?」


 そんな事を言いながら、

 俊介は珈琲を一飲み、台所へと立ちます。


 私?

 私ですか?

 いやもう……なんて言うか……


 ほっぺ熱い……。


 とりあえず。

 ホントにどうでもいいんですけど。

 いや、真面目に。


 婚姻届けをさりげなく確保していたのは、……まぁなんですかね。


 とりあえず、

 秘密です。


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