双方向性感情振動線 働くお嬢様 2
双方向性感情振動線 働くお嬢様 2
私は一応お嬢様、という人種に類される人間です。
二十七歳。彼氏なし。職業、中小企業の編プロ社員。
まぁ、それはそれとして。
つまり、実家がそれなりにお金持ち、ということです。
いやまぁ……
ね?
とは言っても、じゃあモテるのかと言えば、そんな事はありません。
まぁ、実家が『お金持ちです』ってアピールする人なんてなかなかいないでしょうし。
わざわざ自分から私個人に価値がありません!
と主張するほど私は落ちぶれてはいません!
とは言え。
このままちんたらやってれば確実に、
『お見合い』
になります。
……別にお見合いが悪いとは言えませんがね。
ものすごーいいけめんが来れば話が別、というのはあると思います。
けれど、個人的な感情として、
やっぱり何て言うかいきなりそれになるんじゃなくて!
いやでも……?
あれ?
……うん?
「ていうか、御津さんさぁ、なんで休日に朝からうちにいるわけ?」
パソコンは起ち上がっているけれど、今日は急ぎの仕事はないようです。
「いやほら、……えーと」
「はい。サラダとオムレツ。ピザトーストで良いんだよね?」
「……お、おぉ」
……私の脳裏に少女漫画めいた名案が浮かびました。
浮かびましたが……さてさて。
いやていうか果たしてそんな事を言ったとして、
「いや、別にいいけどさ」
快諾っ!?
快諾!
「御津さんはそれで良いの?」
「何が?」
「……微妙に抜けてるよね、御津さん」
はぁ、と溜息をつきながら珈琲を飲む俊介。
……こうやって見ると……結構良い男なんですよね。
年下ですけど。
――っていやいや!?
私、何を考えています!?
……いや、……ていうか、ほら、私……。
いやまぁ別れて一年経ったわけですし。なんとなくそんな言い訳をしながら、ごにょごにょと思考を回転させます。
けどなぁ……
でもなぁ……
そのなぁ……
「御津さん」
「なんです、あな……しゅけさん」
「誰です!?」
「あ、いえいえ。俊介」
「それでいつ来るわけ?御津さんのお母さん」
「……え?」
「……ん?」
あれ?あれあれ?
記憶の底をひっくり返してみます。
はい、リピート。
『で、居るの?』
『い、居ますよ。も、勿論』
『ふぅん……』
『……か、母さん?』
『じゃ、いずれ見に行くから』
「いずれ、と言ってましたね」
「割と御津さんて仕事人としては優秀なのにね」
「それは存外私生活がボロってるとでも言うのですか!?」
「あー……うん」
「最後通牒!?」
一瞬悩む振りをしてからの!?
「フォローしようかなと思ったんだけどね」
「さらに追い打ちっ!?」
笑いながらの追い打ち!
此奴……!!
「で、御津さんは休日なのに化粧もせずだらだらスタイルで朝から俺の部屋に居ると」
「……いやまぁ……えっと」
「まぁ俺は別にいいけどね」
どきっ……
っておい!
いや、どきっ……じゃないでしょう私ぃ!
そしてこんな単純な事でほっぺが熱を持つってどういうことよ!?えぇ!?
「あー、うー、う゛ぁー」
「ごめん、そのリアクション、意味わかんない」
大丈夫。私もわかってない。
え?
ていうことはちょっと待って。
ちょっと待って下さい!審判さん!
これはアレですか?
優しさにほだされた、とか、そういうパターンっすかぁ!?
うぇええええええ!?
「いや、御津さん?なんでいきなり頭をぶるんぶるんし始めたの?……珈琲不足?」
「ち、ちがっ、あばばばば」
「……御津さん?」
ずいっとおでこに手をやられます!
何このしちゅえーしょん!夢しちゅえーしょん!?
これはアレか!?妄想か!?
もしかして彼女のひとり暮らしの読み過ぎか!?
いやいや大丈夫、大丈夫……じゃない!
ほぼなんか今の所書いてない部分は完全にあんな感じですもん!
でも女の子だって人間なんですぅっ!おろろーん!
「駄目だ……御津さんがなんか本格的におかしい」
「おおおおお、おかしくはありませんよ!?」
いや、自分でもおかしいとは思う。(ぼそっ)
……
「とりあえず、シャワーとか浴びてきたら?……その婚約者うんぬんはその後で話せばいいでしょ?俺、今日は時間あるし……と言っても、元々あんまり部屋から出ないけど」
と自嘲気味に笑います。
まぁ自宅が職場だとそういう事もあるでしょうね。
「うん」
と、戸を開けると、
――ぴんぽーん
……ぴんぽーん?
其処に居たのは、
「あら?御津」
――「お母さんっ!?」




