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パンチラとパンテラって字面が似てる 3

パンチラとパンテラって字面が似てる 3


 厨房へ駆けて行ってみれば、そこには倒れたまんまの志真。

「イテテ、飛び出るかと思った」

 何が、とは聞かなかった。

「ちょっと、志真、大丈夫!?」

「正直死ぬかと思った」

「そりゃそうだろうね」

「うー、……しかし、攻撃してきたということは、事態が切迫してるって事?」

「まぁ大体(電波具合的に)」ていうかなんで無事なの?でも、そこには触れないほうがいい気がするし。

「どれくらいヤバイ感じ?」

「かなり電波な事言ってたんだけど、オタマジャクシを破壊する遺伝子破壊キャノンだのなんだのかんだの」

「うーん、今回がラストっていうことは、今回さえしのげばいいんだよなあ、……そうだ、親父さん!」

 起き上がるなり、親父さんに駆け寄る。

 何か話し込んでいる。

「おい、京、大丈夫かよ?」

「あれ、タマ」

「……なんだよ、人の顔をじっと見て」

「あんた、恋してるでしょ」


「わぎゃあああああああああああああああああああああん!?い、一体何を!?」


 口から比喩的な意味がカタカタが飛び出した気がした。……うーん……わかりやすい。こんなリアクションは避けるべきだ。うんうん。アレ?なんか恥ずかしい気がする。なんで?……、まぁとにかく。

「やっぱり」

「ち、違う、じゃない、チガクナイが、違わない……ってどういうことだ?」

「……知らないわよ」


「そのまんま!?」


「……アンタ考えたの?」


「違う、が、いや、それが違うって事が違う……うぅん……?」


「知らないわよ」


「京さん」

 其処で志真が口を挟んできた。

「何?」

「タマを使おう」

「え?」


 というわけで、今度はタマと私と志真の三人で動くことになった。

「で、どこにいるの、そのニャミさんは?」

「ニャミー!?」

 タマは無視。

 思春期め。

「こういう時、さっきの真坂真下さんがいると便利なんだけど」


「ん?違和感?」


 突如、違和感を感じる。


「呼んだ?志真君?」


 目の前のマンホールが開き、花が飛び出てきた。


「「ぎゃああああ!?」」

 思わずタマと私が叫んだ。

「丁度いいところに、真坂さん」

「「いや、良くない、良くないよ、それは」」

 まさかタマとハモる日が来ようとは。非常識だ。

「そろそろ必要かなと、思って」

「下水道で待機してたんですか!?」と、私。


「ま、一応広域監視科の業務の一つなんだよね」


「業務って……」


「うん。さっきまで漫画喫茶でイカ娘読んでたから仕方なく」


「……仕事しろ(グシャッ←踏みつけた音)」

「ひゃい」

 弱冠、嬉しそうなその表情が気になったが、スルー。

「で、真坂さん、ニャミさん、どこ行きました?」

「止められそう?」

「京さんのお陰で」

 私?

「いつも済まないねえ、って台詞はいけないんだっけ?」

「いや、大丈夫ですよ」

「そうか、京さん、いつもありがとう、今度、ドクターペッパーおごってあげる」

「いや、要らない」

「……美味しいのに」

 いや、別に、不味いとかそういうんじゃなくて。

 花。……まぁ、いいや。

「で、猫耳はどこに行ったの?」と、真坂が聞く。

「あんたが聞くの!?」思わず私は突っ込んでしまった。

「冗談、冗談」

「冗談に聞こえないんですけど!?」

「二回繰り返す言葉は、本来の意味の否定だ、ということ、さ」

「あのー、小学生のお子さんは使えなさそうだから、志真、何かない?」

「待てや、京さん!ホントに俺は情報を……!」

「はよださんかい!(グリグリグリグリ……!)」

「にゃああああ!?」

「ま、そんなでかいモノで、この辺に仕掛けるとしたら、タンバ町役場塔くらいしかないから大丈夫だよ」

 タンバ町役場塔。通称タンバタワー。

 タンバ町一の有名人(著名人?)。

 幕間真久万という天文学者が私財を投げうって作った塔。

「そ、それ、それが言いたかった……(グーリグリグリグリグリィ!)にょおああああ!?」

「真面目に痛いんだよな、ぐりぐり攻撃」

「確かに……ていうかタマやられたことあるんだ」

「あれ?志真はやられたことないの?」

「そんな意外そうな顔されても!?」

「にょおおおおおおおおおっ……」

「うらららららららららららららららぁ!」

 ……私って。


 で、タンバタワー。

 役場のトップにそんな危険兵器(電波?)が設置されてるなんて。

 ギャグでしょ?と私は考えていたんだけど?

 最上階に着いてみればそこに確かにすっげーキャノンが。

 おい、警備員。寝てないで、ちゃんと見張っておいてよ!ていうかどうやって作ったの!?運んだの!?設置したの!誰か話題にしてよ!オカシイでしょ?呑気すぎでしょ!タンバ町!

 なんて私の突っ込みは心の中にしまっておいて。

 電波じゃなかったんだ。

「ねぇ、何、コレ?」

「何って、宇宙兵器?」と志真。

「アームストロング砲?」とタマ。

「マジで!?」と私。

 ギャイーン、ギュイーン、とエネルギーが堪っている音が。

 物凄く青く光ってる。

 なんだろう、この世紀末感。

 コロニーレーザーみたいなデザインがそそり立っている。

「よーく来たにゃん!」

 素直だなあ。

「まさか真面目にくるとは思いもしないだにゃん!」

「だいぶ慣れてきましたね」

「ありがとー……にゃん」

「ハフゥ……」

「ちょっと、タマ、見とれてるのも良いけど」

「ち、違う、チガクナイけど、違う!ってどういうことだ?」

「チガクナイんじゃない」

「でらべっぴん!」

「……何で鼻血?」

「……話を進めてもイイのかにゃ?」

「ところでニャミさんて、彼氏いるんですか?」

 おおっと、志真が核心を突く質問を!やるな、志真!

「え!?いや、その、今はいなくて、そもそも地球に来たのだって……」

 もじもじと説明し出すニャミさん。

「いないのか!?(ガッツポーズをするタマ)」

 凄いすとれーとだ!

「あ、忘れてた(ぽんっ←手を叩く音)」

「どうしたの、志真?」

「ニャミさん、さらった男ってどこに居ます?」

「あぁ、彼らならあの砲塔の先っぽに括り付けてありますよ」

「ひどいっ!?いっぱいぶら下がってる!?」これは私の台詞。

「いやぁ、ちょっと軽く誘惑してみたら引っかかる、引っ掛かる、男共」

「男ってヤツは……」これも私の台詞。すみません、知ったかです。

「ニャミさん!」

 タマが叫んだ。

「好きです!」

 告白した。

「「「えぇ!?」」」

 このタイミングで!?とも思ったけど。

 ニャミさんは爆発している。ボンッ!って感じで。真っ赤っか。

「で、でも、わた、私は……」

「何があろうと関係ない!俺は、ニャミさんが好きだ!」

 目に『猫耳、猫耳、猫耳』と書いてある(燃えている)気がする。

 猫耳フェチ……。

「結婚を前提に付き合って下さい!ニャミさん!」

「うぅ、で、でも、……私には、地球侵略という仕事が……あ」

 志真がキャノン砲に駆け寄る。手にハンマー。

 どこから取り出したんだ?彼奴。

「くっ!」

 素早い動きで、志真の前に一気に走り抜ける。


「さぁせるかぁーーーー!」


 見えない、その蹴りをモロに喰らったのだろう。

 志真がこっちに吹っ飛ばされる。

 屋上にめり込み、正直言って私がそれをやられたら死ねる。

「志真っ!」

 だから我ながら結構悲壮な悲鳴をあげた気がしたけど、

「超、イテエ……」

「……あんたホント頑丈ね」

 呑気な台詞に私は少しほっとしながら呆れる。

 そのまま倒れる志真。


「私の、仕事中毒ぅううううううううううううううううううう!どうしてやめられないのおおおおおおおおおおお!?……にゃあ」


 ニャミさんはニャミさんでなんだか悩みがあるみたいだ。

 タマが反応した。

 多分、単純に彼奴はこう考えたのだろう

 最後の仕事の失敗→ニャミさん失業→ニャミさんゲット

 ……多分、間違ってない。

 でもあんな巨大なモノ、……壊せるの?

 志真が手にしていたハンマーは、転がっている。あれで、……壊せるのかな?

 タマが走り出す。ハンマー目掛けて。

「タマさん!」

「くっ、ニャミさん!退いてくれ!」

 ニャミさんの攻撃をどうにか躱すタマ。

 ニャミさんもどこか本気になれない様子。

 動きが鈍い。

 志真の時は、力の限り、思いっきりあらん限りの力で蹴り飛ばしていた様だ。だって地面凹んでたもん。中華飯店では手加減していたらしい。

「……うぅん、京さんの膝枕」

 目覚めたみたいなので、志真をそこにぽいっと捨てる。

「イタイッ」

 違う、膝枕とかしていない。ただ単純に様子見てただけ。照れ隠しとかじゃないモン!マジで!ホントなんだから!

 ハンマーを拾ったタマ。追いかけるニャミさん。

「ニャミさん、好きなんだ!」

「そ、それは、私もにゃんだけど……でも一応仕事は仕事で……うぅ……」

 素直だなあ。

「だから、俺はコレを、壊す!」

「タマさん!」

 タマが振りかぶったハンマーをコロニーレーザーに振り下ろす。

 ていうか志真と違って扱いが優しい。


 ペコ。


 しょぼい効果音。

 空気が固まった気がした。

「うぅ、痛かった。あ、そういえば俺の簡易ピコペコハンマーは?」

 ピコペコハンマー?空気が入ってそうなしょぼいやつのこと?

「アレのこと?」

「そうそう、アレ、アレ。……あぁ、やっぱダメだったかぁ」

「やっぱも何も効くわけ無いでしょう!?あんた脳みそ入ってんの!?(グラングラン←志真の胸元を掴み、揺する音)」

「似たようなモノは入ってるんだけどねえ」

「似たようなモノって何よ!?」

 私たちがそんな会話を繰り広げていた時、タマとニャミさんも固まっていた。

「うぅ、壊れなかった砲塔を残念に思う気持ちと壊れなかった砲塔を誇る気持ちがせめぎ合う、あぁ、罪なビジネスパーソンだにゃあ!この仕事中毒ぅ!私ってにゃつはぁ!」

 大変そう。


「ギアサ……」


「「「止めて!?」」」

 思わずタマを三人で止めてしまった。

「だって、だって、ニャミさんと俺はチューをするために!」

「落ち着け、タマ!」

「そうです、落ち着いて下さい、タマさん!私だって……」



「じゃ、冗談は終わりにして、ぶっ壊そうか、コレ」



「「「え?」」」

 志真がそんなことを言い出した。

 え?だ。

 てっきり、あのハンマーでどうにかするとか、そんなことだと思っていたけど。

「タマ、言葉にウソはないんだよね」

「あぁ、勿論」

「ニャミさん?」

「それは、解ってるけど」

 ちらっと、レーザーキャノンを見る。

「じゃあ、アレが壊れたら、おしまいってことで」

「うん……、あ、にゃん」


 あぁ、私はコレを知っている。

 何故か、知っている。こいつは、いつもこうなんだ。

確か、この前にも……

 で、こう言うんだ。

『「京さん、力を貸してくれる?」』

 そうだ、コレが初めてじゃない。

これまでも、何度も何度も、こうやって来たのだ。

 何で私は忘れていたのだろう?

 志真の右手が私の左手を握り、喋る。

「巨大な象の一撃スタンプ

 志真が、呟く。

 私の左手から何かが走り、志真の右手へと伝わるような。

 そんな感覚。

 次の瞬間、巨大なその砲塔がひしゃげた。

 まるで、空から何か巨大な鉄塊が殴りつけたような、そんな折れ方。

 横に延びた砲塔は真ん中からちぎれる。

 ちぎれた先から粒子となり、夜に輝く星になる。

 これでニャミさん達の野望は潰えたワケだ。

 これが幸か不幸かは、私は知らない。

 彼女にとっての幸せが、他人にとっての幸せではないように。

 それでも、掴まなければならない。

 私にとっての幸せを。



 思わず、勢いを持って左手に力を込めようと思うが、……思うが、そう、いつも、……ここで私の意識が消え、次の瞬間には、



「ちょっと、京さん、起きてよ」

「ふぇ」

 ヨダレがヒドイ。腕を枕に私は、喫茶タンバで眠っていたらしい。

「だいぶ、お疲れみたいだね、京さん」

「あれ?志真?」

「何?」

「……うーん、……何でもない」

 一日の記憶を整理する。確か、今日は、渚の彼氏が、連絡が取れないだのなんだのかんだ言ってて、二人で部屋に行って、見つからなくて、喫茶店に来て、……あれ?うーん、何か色々端折ったような気もするけど。その後、ここで爆睡していたのか?私?

「ねぇ、渚の彼氏は?」

「あぁ、それならさっき喫茶店に顔出してたよ」

「マジで?」

「強制研修旅行だのなんだのだったんだって。二人で顔出して、京さんに顔見せに来たんだけど」

「ど?」

「いい寝入りッぷりだったからさ」

「……そりゃ、仕方ないか」

 言いながら、左手を眺める。何か、仄かに暖かいような?何かを逃してしまったかのような、そんな感じ。不思議だ。何かを思い出せそうで、思い出せない。

 胸の奥が疼くような、そんな甘酸っぱい気分。

 なんだこれ?

「で、京さん、そろそろ店を閉める時間なんだけど」

「んぁあ、じゃ、そろそろ帰るわ」

「うん、またね、おやすみぃ」

「おやすみぃ」

 Closeとなっているドアを開け、外へと出る。電気が消え、彼奴の姿も消える。外は夕方の気温からさらに、風が出た性か、軽く、冷えている。

「うぅん、うん、家に帰ってもう一眠り……!?」

 何かがオカシイ。

 違和感がある。

 何かが引っ掛かった。

 夕方の気温。

 私は寝ていたハズ。

 記憶は、ない。

 左手。確かに何かを掴んだ、掴んでいた左手。

 花がある。

 マンホール。

 違和感。

 しかし、決定的な記憶は、何も出てこない。

 夢から覚めて、全て忘れているような、そんな感覚。

「あぁ、……なんだろ、コレ?」

 私の四月十八日はこんな感じで終わった。



 タマ



「な、なんだ、今の!?」

 おれの口からはそんな言葉が飛び出す。

 目の前で機械の固まりがひしゃげて、分解され、消え去った。冗談みたいな光景。

「タマ!」

 突然、志真から名前を呼ばれて驚く。

 振り向けば、すぐに合点がいく。

 そう、ニャミさんが今にも倒れそうなのだ。

 駆けつけねば!

「ニャミ!」

「タマさん!」

 ギュッとニャミさんを抱きしめる。

「愛してる!」

「タマ!」

『愛してる』

重くて、離れない、呪縛のような思い。

その言葉をぶつけながら、


――「結婚して下さい!」


 我ながらどうかと思うが、マジで。

 マジでそう思った。

 飛ばしすぎだよ、そんな突っ込みも受け入れよう。

 でも、単純に。

 ごくごく、単純に。

 そう思ったから、素直にそう言った。

 それ以外の何者でもない。

 好きだ、愛してる、結婚しよう!

 なんて素敵な三段論法!何か違ってる気もするけどね!

「はい!」

 そんなバカップル。

「ニャミさんは宇宙人だけど、地球婚で大丈夫?」

 そんな台詞を志真は吐いている。

 宇宙人?確かに猫耳に尻尾がうねうね動いているけど。

 ……宇宙人?


 しまった。


 猫耳と食いっぷりに惚れ込んだあまり、まるでそんな事を気にしていなかった……!


 ……でもまぁ気にしてどうなるものでもないな。


「タマさん、私、猫耳型宇宙人ですけど、いいんですか!」

「構うもんか!」

「……バカップルってやつですね」

 そんな京の呟きが聞こえた気がした。

 お前らもそうなればいいな。

 その後、事情を聞いた俺は、そう思った。


「えぇ、じゃあ、何?さっきので、今日の京の中の、お前に関する記憶が消し飛ぶわけ!?」

「まぁ、そういう仕様で使ってますね」

「お前!……!」

 納得がいった気がした。

 何で京が必死にこいつを追い回し、こいつらが、決定的な関係にならないことに関して。

 何かが起こる度に、関係をリセットされているわけだ。

 そんなバカな話。

 あるか!?

「多分、最初の方にそういった話をしたんですが」

「だけど?」

「その記憶も使っちゃったんじゃないかな、と思っています」

 ……つまり、ある程度の記憶は保持しているが、外(宇宙)との決定的な記憶は全てエネルギーに変換されているわけだ。

「人間の記憶は、生きていく上で、必要なエネルギーです」

「それは真面目な話?」

「真面目な話です。溜め込んで細々と引き出して、生きていく燃料にする。どこかの小説に書いてありました。その話の通り、人間は、記憶で形作られていると言っても過言ではない、と」

「……そして、京との関係であれば、その高純度のエネルギーが何故か作れる、ということか」

 俺には、その何故か、は解るけどな。

「ていうか喋り方可笑しくね?」

「いやぁ、本来これがデフォルト設定なんです」

「ていうかさ、志真って何なの?」

「えーっと、代替捜査有機体、とかいう物質なんです」

「え?」

「いわゆる宇宙人の方々と違って、作られたロボットっていう方が多分理解しやすいですかね」

「へえ」

 ロボット?

「さっきマンホールから顔出してた人がいたじゃないですか」

「あぁ、なんか花が生えてる」

「あの人達が、俺を作った人で、で、一応、地球侵略のルールがありまして、そういったこれこれのルールの管理、ついでに地球上にやってくれる宇宙人の管理、そういったモノを行うのが、その人が所属する広域監視科というところでして。その便利ロボットは世界中にいて、それのウチの一台が、俺、ということなんですよ」

「はぁ」

 マジで?

「じゃ、そういうわけで、その関係の話はまた今度、ということで、俺は京さんを送ってくるんで」

「え?さっきまで、砲塔の先っぽに居た人たちとかどうするの?」

 落下したのだから、正直死んでいても何も可笑しくないような。

「多分、先輩、マンホールの花が、全部送り届けたハズなんで、心配しなくても、大丈夫ですよ、タマさん。……あ、ちなみにニャミさん……貴女の嗅覚は素晴らしいと思いますよ」

「そんなもんか」

「お幸せに、じゃ、また後で」

 というなり、志真は消えた。事後工作にでも行ったのだろう。

 翌日、ウチを訪ねてきた京が、大騒ぎするのは、また別の話。

「ま、そういうわけだから、行こうか、ニャミ」

「はい、タマ……にゃん」

 ま、そんな話。

 おれは彼女の手をとり、とりあえず、

 なんか雰囲気が雰囲気だし、彼女を抱きしめ、

 




「ところで、餃子が食いたい、にゃん」


「……えー」



 てっきりちゅーで締まると思って、






 

 ――ちゅっ……


 ……。


 もう死んでもいいと思いました。


「タマさん!?タマさぁああああああああああん!?出血多量!?出血多量です……にゃん!?えぇ!?見た目の割にそんな純情オトメンなんですか――なんですかにゃぁあああん!?」



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