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お嬢様と執事(とりあえずそのコントローラーはちゃぶ台の上に置いておけ)2

 お嬢様と執事(とりあえずそのコントローラーはちゃぶ台の上に置いておけ)2


「やばい!父様と母様が狙われてる!」

「ぐぁあああああああああああああああああ!?」


 失礼。沈着冷静、友達甲斐がない、空気読まない、付き合いが悪い、お金がない、の大辻上木です。今日は休みです。下田さんが表に出てるし、お嬢様が学校に行くのは見ました(部屋の窓から見えます)。だからまぁ、良いかな、と。

 さて、何故かやりそこなっていたエロゲを起動し、今日はフラグ全回収をば、と思った所へ踏み込まれたわけです。


「ふん、男がエロゲを見られた程度で乙女のような悲鳴をあげるな」

「そういう女子中学生は画面に食い入るな!こっちを見ろ!」

「ま、それはそれとして、だ」

「いやだからこっち見ろ」

「しかしこれ、どうやってはいってるんですか?」

「知るか!開発者に聞け!」

「そんな事より、大辻!やばいよ!やばいんだよ!オレの右手がそう言ってヤガルんだ!」

「やばいのは学校です!完全遅刻ですよね!?何してた!?お嬢様!?ていうかそのキャラはなんです!?」

「いや、河原でえっちな本を手に入れてしまってね。やれやれ。変態!」

「あぁ、なるほど。それなら仕方がなくないよなぁ!?ていうかなんで僕が今せめられた!?悪いのは僕じゃないですよね!?」

「ノリ突っ込みが寒いんでお布団をお借りします。ていうか肌色成文が少ない大辻が悪い」

「引っ張り出すな!入るな!畳んだばっかりだっつぅの!つかなんで肌色成文!?女子中学生はBLで鼻の穴を拡げてろ!」


「こほん」


「父様と母様が狙われている」

「と、言われても、僕に敵の本拠地に乗り込んで制圧するような特技は、身体をどうひっくり返してもないですが?」

「父様と母様は国家機関――メイド服保全委員会の役員を務めていてな」

「あれ?僕の話聞いてます?お嬢様?僕は戦力にならないですよって。一般的な高卒男性です。ただの十九歳です」

「立場的にも、心情的にも『可愛いけりゃいいんじゃん』派なので、純粋派の『いや!ヘッドセットも必ずつけるべきだ!』派や革新派の『膝下絶対領域の確保を!ミニスカメ・イ・ド!』の両勢力から目をつけられているのだ」

「事情説明してる所悪いけど、僕ははっきり言って役立たずなので辞退させてください。マジで。ていうか、旦那様達もしかして暇人?」

「何を言っている?メイド服保全委員会の販売商品の税金収拾率はオタク産業の半分程度には匹敵するんだぞ?世界的にも良く売れている。外貨を稼ぐ、そういう点からの経済効果もばっちり」

 ていうかそんな委員会潰れちまえ。ていうか国家機関なのかよ!取り締まれ!

 ていうか変態ばっかか!この世界!

「そんなことはないよ?(ひょこっ)」

「下田さん!?何処に居た!?」

「机の下」

「……」


 ……いや、……別になんでもないですよ?


しくしく。


「ばっちり見た」

「言わなくて良いですよ!」

「?」

 お嬢様が首を傾げるだけなので、まぁ良しとしましょう。

 ……もう御婿にイケナイ……。ぐすん。





「で、なんです?この状況……?」





 ある『特殊』な銃弾によって、撃ち抜かれたメイド服を着たおじさま達の屍が累々。皆さん、仲良くうめいてます。『うぅ……そんな……脱ぎ方は』『是非踏んで下さい。よろしく頼む』『は、ハイヒールだとぅ!?なんて威力だ……!!くぅうう!これが連邦のメ・イ・ド服!』……一部なんか別の世界観入ってないか……?

「彼等が純粋派の一派――『メイドは全て絶対服従☆派』だ」

「……」

「革新派の『メイドさんに絶対服☆従☆派』の密告により、主流派として勢力を拡大しつつある『可愛いけりゃなんでもいいじゃん』派の拡大防止を狙ったテロリズムを防げたのだ。感謝する」

「いやそりゃいいんですけどね、お嬢様」

「うむ。何が疑問なんだ?」



「なんで僕、銃になってるんです?」



「まぁ、それがメイドの中のメイド――『メイド・オブ・クイーン』の下田の特殊能力だ」

「メイドってそんな凄い特殊能力がつくのかよ!」

「つくとも」

「言い切った!?」

「雑巾ガケを極めた下田はある日気付いた。『そう言えば、私特殊能力あるんじゃね?』」

「それは雑巾ガケがまるで関係ないですよねぇ!?」

「以来、『性欲』と『性欲の記憶』を弾丸とし、下田は特殊な銃弾を放つ、銃を顕現できるようになったのだ」

「……」

「ふふふふふふふ。つまり、私――お嬢様が自ら身体をはり、性欲を煽り、いざという時に大辻を使っていたのだ!ま、今日は『性欲の記憶』まで弾丸に変える必要はなかったようだな」

「いや、煽られてはないです」

「馬鹿な!」

「僕はロリコンじゃない!」

「いーや!ロリコンだ!現に私がお布団でゴロゴロしていたら嗅ぐではないか!」

「女子中学生の香りに興味なんかあるか!」下田さんの香りには興味があります。凄く。

「し、しかし!いずれは母様のように私はぼんきゅっぼんだぞ!?」

「いえ。僕の好みは下田さんです」

「ぶっちゃけ過ぎだろう!?お主!」

「ていうか学校行け!お嬢様!」

「うわーん!ふぇいすぶっくにロリコンて書き込んでやるー!幼女もののエロアニメのいいね!ボタンを連打してやるー!」

「お嬢様!?やめてくれませんかねぇ!?共有されちゃうでしょ!?そういう事されると!」

「外堀からうめるんだーい!」

「その前に通報されそうだからやめてください!」


 翌日。


「というわけで、ガンガン責めていくことにした」

「勝手に人のパソコンに幼女物のエロゲを突っ込まないで下さい」

「大丈夫大丈夫。全部設定は十八以上だから合法合法」

「おい、女子中学生。いいから学校行け。僕は下田さんが好きだ。ていうかどうやって手に入れてんだよ」

「さりげなく告白すんな!くそぅ!……あぁ、それなら、財力に物を言わせただけだ。まったく。世の中腐ってヤガル」

「良いから、女子中学生。お前も腐れ。BLでも読んで妄想力でも高めてろ」

「覚えてろ!お前を嫁にしてやるぅ!」

「いえ、結構です」

「断られた!うわーん!」

「行ってらっしゃーい」

「雑な挨拶だぁ!うわーん!」


 こりゃ、いずれ首だな。


 そんな事を思った夏の日でした。


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