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好きな相手が出来るって事は 3

 好きな相手が出来るって事は 3


 出来るって事は?


 ややこしい事に陥り易い。と思うのは私の右腕がやはり西洋手甲だからでしょうかね?


 どうも色々と誤解されがちですが、私は至って普通の西洋手甲使いです。

 今日だって、物凄い勢いでひたすらタイピングをこなしています。もうね、アレですよ。

 いわゆる普通のガントレット持ちとはレベルが違いますね、えぇ。

 マジで。

 タグ打ちだろうがEPUBだろうがオペだろうがデータ打ち込みだろうが、なんでも来い来いですよ!


「梨野さん。梨野さん、此処なんですが」

「あいあい」


 先輩と言えば先輩。梨野巴さんという優しい先輩がいましてね。ちょっと名前可愛いですよね。

 この人、付き合いが良いと言いますか。

 度胸があると言うか。

 鈍感というか。

 やはり仕事が出来る人、というよりも、この優しさが魅力と言いますか。

 余裕のない時もわざわざ『緩く』頑張るところが素敵と言いますか。

 優しさが強さ、とは、どこの漫画が出典か忘れましたが、その何て言うか、アレですよ、本質的な実践といいますか、例えそれが『偽善』であったとしても、というアレを地で行っている気がしますね、先輩は。


 以前、コンビニ強盗相手に西洋手甲が奥義『くうきほう』を放った時も普通でしたし。

 婚約者騒動の際も、刀を突きつけられたのに飄々とウノをしましたし。

 いやいや、

 

 まぁ、正直な話、婚約者云々を叩き潰したのは、勿体なかったかな、とも思いましたね。


 いや、ほら、今はもう二一世紀じゃないですか。そうなると、必然、自由恋愛をするのがごく普通の世代にしてみれば、いくら、手甲一族の習いだとしても、『知りません。そんな話。私は好きな相手とずっこんばっこんしたいんです!』と叫ぶのはごく普通の話。

 まぁ、弱冠、色々と目覚めるのは遅れましたが。

 ……、ま、

 えぇ。

 しかし、あそこまで勝手に頼っておいて、挙げ句、勝手に婚約者認定なんてそれはもう、やり過ぎでしょう。『良い相手だからおk』となんてうのは、自由恋愛を望んだ『プライド』との決別戦争です。私の当初の意志に反して、というのはやはりいけない気がします。そんな話をしたらきっと、『どこの宇宙人の姫様ですか!?』っていう突っ込みをのんこさんの旦那さんに言われる気がします。まぁ、勿論、あの旦那さんなら、『可愛いけりゃいいんじゃね?』とも言う気がしますが。何せ結果おkなら結構うっちゃるとこはうっちゃる人ですからね。

 しかし、私は西洋手甲の扱いならともかく、外見にはさほど自信がありません。

 きっと『婚約者として!』なんて言ってもお断りされたのは間違いがありません。

 私は男女の機微に敏感なのです。それはもう敏感サラリーマンのごとく。

 やはりそろそろ『通信教育~西洋手甲の全て~性技―パート1』辺りの奥義を練習しておくべきでしょうか?研鑽を忘れた瞬間、精神的におばちゃんになると言いますし。気をつけましょう。


 うん、今度のんこさんに相談に乗って貰いましょう。


 と考えてる時点ですでに私はだいぶ、先輩の事を好きになってるようです。

 やれやれ。

 そう言えばのんこさんと言えば、あの人も職場恋愛でしたね。ついでにどうでもいいですが、あの人は見た目の割に意外と少年的な心を擽るアイテムが好きらしく、西洋手甲モード『バースト』の変形とか見せたら『……』ガン見でしたからね。目を爛々と輝かせて。人は見かけによらないとはまさにあんな感じです。

 やはりガシャンガシャンという効果音と変形はなんらかの浪漫なのでしょうかね?

……しかし、

 同じ職場とか色々悩みが増えて大変ですから、真面目な話、どうしましょうかね?

 ていうか、めんどくさい事態になりそうです。

 これはあくまで私見ですが。


 ――、やはり……部署を異動させて貰うべきでしょうかね?


「うぇ!?」

「いえいえ、梨野さん。独り言です」どうやら口に出ていたようですね。

「あ、あぁ、そう……」


 あ、なんか先輩が落ち込んでます。

 これは珍しい光景ですね。

 しかし落ち込みながら、速度はあまり変わらず。

 嫌いじゃないですね。普段、余裕があるぶん、そういう表情って素敵。

 ていうか、修羅場で余裕そうな表情をされると生理二日目だと確実に『此奴くうきほう放ってやろうかしらん』なんて考え始めるので、ホント、私って厄介な女です。

 どちらかと言えば、重いので。

 そしてそういう時に余裕のない表情をして、不機嫌な対応をされれば、それはそれで、『此奴最大奥義ピンヒールキックかましてやろうかしらん。ぐりぐりっと』なんて思うのですから、つまるところ、私はだいぶ先輩に参ってるようです。やれやれ。

 強引な結論で無理矢理猫を被ってみました。

 女の子なら生存戦略!

 なんて話は置いといて。


 うーん……


 結論は出ているのですが、果たしてそれを実行に移していいのかどうか。


 ま、それに西洋手甲使いとして定められた一族にわざわざ入りたがる稀少な人にも見えませんし。

 そんなややこしい背景持ちの恋心なんてうっちゃるべきでしょう。何せ、私は戦う女ですからね。ガッシャガッシャと動揺していますが、ま、まぁ何て言うんですか?機会があれば、こうやって隣にいればなんとかなるでしょう。そう、胃袋を狙うべき!


 ……まぁ、とりあえずは明日辺り、お弁当でも作ってくるべきですかね?


 やれやれ。


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