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好きな相手が出来るって事は

 好きな相手が出来るって事は


 色々と悩みが増えるって事で


 単純な話。


 そもそも恋愛なんて物は精神的な病気よ!


 という意見をポニテが切り札などこかのヒロインが言っていたけれど。マジで。


 簡単にそうやって切り捨てられる位なら、それはもう素晴らしい。


 じゃあ、燃えるような?と聞かれれば、うん、そうではないんだけれど。とお茶を濁したりもする。


 ハムレットでもあるまいし。


 個人的には夏の夜の嵐の方が好みだ。


 どれくらい好みかと言えば、生湯葉研究会に所属して、美麗な先輩に生湯葉を捧げたくなるような好み。首ったけ。


 おいおい。


 客観的に評するのなら彼女を好きになるということは、脱ぐ必要の無いはずの服をそりゃもうギリギリのラインまでどうにかいそいそわくわくと脱ぎ始めて『どうだ!』と開き直るくらいの勢いの話で。

 ていうかさっきから僕、何を言ってるんだ?


 ひたすらカタカタとパソコンを叩きながら、自問する。


 そう、右隣の彼女。


何故か右手に物々しい西洋手甲ガントレットをはめて高速でキーボードをガタガタと打ち続けるぱっと見、ただの中二をこじらせた彼女がひどく気になる。いや、確かに西洋手甲をどうしてはめてるんですか?と尋ねたいからだろう?という疑問もあるかもだけれど、それは以前、尋ねた事がある。


『いえ、これは家の事情でして。たはは』


 世の中って凄い事情があるもんです。


 ガッシャガッシャと言いながら、西洋手甲で髪をかきかきというなんだかちょっと見ることの出来ない絵も見ちゃったし。


 なんだかジャバウォック。


 以前、コンビニから飛び出してきた包丁を持った人間相手に、


『危ない!』


 と言うなり、西洋手甲から何かを撃ち出し、『ひぎぃ』と言いながら転がる犯人(恐らく)に


『ダメですよ。包丁なんて危ない物を振り回しちゃ』


 お前が言うな。


 と僕は思ったが、流石に『家の事情』だといっていたので、黙っておいた。でも仕方ないよね?普通思うよね?


 で、なんの因果か、また別の日に彼女のパソコンの購入に付き合う事になり、お会計後、


『では配達は?』

『あ、今日持って帰ります』

『『はぁ?』』


 そのまま電車にのり、彼女の実家へ行くことになった。


 西洋手甲で軽々と持ち上げられる二九インチ一体型PC。

 電車内が混んでたので、鞄を頭の上に持ち上げる感じで。

『完全手動で文字列打ち込むって凄いですよね』

 僕には彼女のやってる事の方がまるで理解出来なかったけれどね。


 ついてみれば、出迎えは『騎士甲冑』。


『完全武装』です。


 お父さんが抱えた『ハルバート』に戦々恐々。


『……いらっしゃい』


 怖い!


 家はただの一軒家なのに!


 だからどんな事情!?


 今すぐ廻れ右をして、家にダッシュで帰って、温かい布団にまるまってアニメの世界なりオンラインの電子世界に潜り込んで世界を救いたかったけれど、『ガシッ』とまるで意志を持つかの如く、彼女の西洋手甲が僕の肩をがっしり掴んでいて、戦略手的撤退からの離脱を余儀なくされ、居間に通されてみればそこにおわすは、


 武士。


 ……。


 まだ彼女が僕は裸族って方が楽だったかも。


 と思ったのは仕方のないことではないでしょうか?


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