友人A様 (まぁ、アレだ4)
友人A
世に溢れる色恋沙汰を批判する人を見ると、
「いや、そもそもわたしら動物ですし」
と言いたくなる。じゃあ、BLは普通かと言えば、うん、そんな事はないとも言える。
でも、普通と言えば普通である。それはもう。
今でこそ、男女で恋愛するのが普通になってるけれども、戦国時代に稚児好きは存外普通である。
戦国時代……熱いぜ!……じゅるり。
まぁそんな事を言い出したら、欧米だってぱないのだけれど。
やはり人類は穴が好き―――――っ!
神父様も穴が好き――――――っ!
なんて話をもやもやと考えてる。それと言うのも、
「だからね、その、直美のヤツがさ」
「やれやれ。らびゅらびゅですね。いいですね。素晴らしい。ブンダーバー」
「す、少しは、話聞いてくれても良くない!?ていうか、そう言えば、なんで私勢いで受け入れちゃったの!?変態なのに!」
なんて赤面しながら、言う。
はぁ。
「爆発したらどう?」
「私達親友よねぇ!?」
なんて親友が言う。
「うん。独り身の時は」
「具体的な切り返し!?」
「ていうか、直美のヤツ、ただの変態と化したのは、アンタの性?流石に下級生がドン引いてるわよ?」
「……いやそりゃ私だって、恥ずかしいわよ。靴下を嗅いでる彼氏なんて」
「ふーん……
死ね」
「そのコメントはいくらなんでも非道いわよね!?」
「親しさの裏返しよ。大好きよ、親友……名前なんだっけ?」
「それはもうヒドイを通り越してるわよね!?普通に傷つくわ!」
「鹿子ちゃんに彼氏……はぁ。はい、ぎとぎとで油ぎっしゅなBL」
「ひゃっほい!待ってましたぁ!」
「変態目」
「じゃかあしいわ!」
まぁ上手くいって良かった。
なんにせよ。
つい、先日、相談を受けた時は、
……
「鹿子さんて彼氏……居る?」
「これ、賄賂?」お風呂事情に月刊少女野崎君に……まぁ、ライトながら、悪くない。
「勿論、本来の袖の下はこちらで」と紙袋をそそっと渡してくる。覗き込み、良し。
眼鏡、良し。
「で、直美君……君の望みを聞こうか?」
「いや、つか、どんなリアクション?」
「つい、先日二期生から告白を受け、断った直美君?君が言ったからといって、おちるとは限らないのだよ?」
「いやだからどんなキャラ?」
「総帥と呼び給え」
「総帥。俺の質問に――、」
「君は縞パンツ派かね?それともニーソ?むしろ、履いてない方が好き?」
「まるで関係ない質問だよなぁ!?」
「わたしは断然ニーソだね!」
「なんでそんなにアンタは残念なの!?」
「失敬な。わたしにだって、彼氏の一人やら二人、嫁の五人や六人くらいは居るとも」
「二次元にな!」
「ところで、出来るだけ臭い靴下が好きな変態志向派の直美君」
「ひたすら俺屈辱を与えられてるだけな気がする!そして多分、いや、つか、どんな派閥!?」
「それが切り札となるに違いない。と、わたしは昨日、思ったような気がする……しないでも、ない」
「あやふやでふわっと過ぎるだろ!ていうか、質問に――、」
「鹿子に彼氏はいない。勿論、意中の相手も。押し倒したくば、付き合いだければ、押せ押せの精神だよ、ホームズ君?」
「お前何様!?」
「王子様」
「テンション上がってるんですねぇ!?新刊出たから!?ていうか一巻のネタとか解るのかよ!」
「大丈夫だ、モンダイナイ」
「それは問題あるときの台詞ですよねぇ!?」
「はい。今日は店じまい。パンツの柄を聞きたかったら、スタバのなんちゃらグランデを奢れ」
「奢られる気全くないよなぁ!」
「ふふん。ちなみに鹿子が実は美人、というのは、意外と知られてないが、隣の席に良く座っている岡山君とかは知ってる。そして……?」
「そして……?」
「鹿子は意外と無防備だ」
「つまり、善は急げ、と?」
「君が外堀を埋めるのに費やした二年より、濃密な二週間の方が分かり易いだろう?」
「なんて男気に溢れたヤツ!」
……此奴、……実は馬鹿なんじゃないだろうか?なんて思ったが、勿論、そんな事を口に出すはずもなく、
「此奴、馬鹿なんじゃないだろうか?」
「おい、本音が爆発してんぞ」
「こりゃ失敬。つい、真実が」
「お前何様!?」
「友人A様。お布施は今日出る新刊で良いよ。勿論、渡してくれるのは明後日で構わない。ハッキリ言って、女の子に気付いて、なんてやり方はハッキリ言って、ダメ。そりゃもう、少年ガンガンくらいの勢いでいかないと」
「意外とお好きなんですね!少年ガンガン!」
「絶園のテンペストが熱い。ゼツペスマジヤバイ」
「解るけどさ!微妙な略し方ですね!?」
「ちなみに鋼人七瀬も好き」
「アンタただの本好きだろ!?」
「失敬な。腐女子を舐めるなよ、青二才」
「どんな脅し文句!?」
「靴下だ、……この、単語……忘れるなよ……直美……」
「なんでわざわざ区切った!」
「雰囲気出るかなと思って。あ、トイレ行きたい」
「脈絡がない!そして言わなくて良い!」
「ていうか、さっき貰った漫画とラノベを読みたい」
「とても自分に正直で素敵ですねぇ!」
「スクリーンいっぱいに映るパ……ズボンうへへへへへ」
「アンタそっちもいけるのか!」
「オタクを舐めるな!」
となんだかんだやって、まあ、勢いづけ(?)みたいなのをやって。
「うへへへへ」変な液体でも垂れてきそうな鹿子に……
「……(ぽっ―――……)」それを見て、呆ける靴下を握った変態。
……
……
時々、あるよね?果たして自分がやった事が良いことかどうなのか解らない事。いやほら、ねぇ?
でもまぁ……
「鹿子」
「何?」
「爆発しろ」
「だからアンタ親友じゃなかったの!?」
「知らんわ!ばーかばーか!」
「むかつく!その馬鹿にされ方はマジでむかつく!」
ぎゃーぎゃー。
なんやかんや幸せそうな親友を見て、思う。
うん、変態も悪くない。
……
こんな結論でいいのかしらね?