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まぁ、アレだ 1

 まぁ、アレだ 1


「変態だー!」


 私の名前は長崎鹿子。大学三年生で、いわゆる不真面目な学生だ。自分で言うのもなんだけど、やっぱり、不真面目な学生だ。

 自分の事を真面目です、と言い切るヤツはどこかおかしいと私は思う。

 とは言え、まぁ、面接の時とかはわかるけど。ちなみに私は、


「笑顔が得意で、――


「社交的で、――


「また、学業的探求心が豊富で、――


「一度こうと決めたら、やり通す根性はあります(例えば締め切り前の連続徹夜)――、


 らしい。

 ははは。

 良い部分にスポットを当てれば、そうなるし、暗い部分にスポットを当てれば、


「男の子が二人でいて、きゃっきゃしてるとドキドキする――、


「何故か少女漫画を読んでて、気付いたら、なんで主人公の周りにいる男二人の関係が気になってしまい――、


「気付いたら、ペンが勝手に二次創作していた――、


「はぁはぁ――ワイの、ワイのペンが悪いんやぁ(注・心の叫びと、ともに疾風のペン速。がりがりがりがりがり(ごごごごご『なんてペン速だ!』『背後にス○ンドが見えるわ!』『(カッ←某少女漫画的効果)あれが……まさか、鹿子の真の実力だとでも言うの……?』)ー……『また、やっちまったぜ……』『これは……凄い!(←心友の評価。)ぼたぼたぼたぼた……持って帰って使っていいでせうか?』)――


 なんて事はよくある話だ。

 女の子なら誰しも通る道。

 腐女道は誰もが通る道なのだ!

 諸君、……普通だよ、普通。

 さて、大学三年生と言えば、それはもう、高校生活を薔薇色とすれば、やり方次第ではショッキングピンクで埋めることも出来るし、肌色成分まっくすの男汁だっくだく妄想ワールドでジャージ、パーカーでゴロゴロしていても良い時期である。(アニメ化が楽しみ!ていうか、ボトルネッ○の作者の登場人物があんなに可愛いなんて!)

 まぁ、確かに私は、それほど見るからに『腐女子』というほど、……うん、まぁなんでもない。別にそれはいい。それはいいんだけど。

 頭はボサボサで前髪が目は隠れていて、服装はよく言えばボーイッシュで、悪く言えば、がさつ。ジーンズにパーカー。冬なら、せいぜいモッズコート(二色の使い回し。同じ形)。春ならパーカとTシャツ。そんな女である。


 うーん……とてもじゃないが、肉体的魅力がぱない!という感じはしない。どう見ても。鏡でポーズ。うっふーん。……古いか。しかし、これはアレだ。深夜のテンションというヤツなので、気にしないで欲しい。しんにゃのてんにょん。……噛んでませんよ?


 つまり、私は、何故、下着一枚でポーズをとりながら、鏡に向かっているかと言えば、今日のお昼に、


『あー、その、鹿子さん』

『何?』


 話しかけてきたのは、サークルの同期生。

 内柴直美である。

 この直美。あ、ちなみに男ね、男。キレイな顔をしてるけれど、男。

 いや、そもそも、この『直美』と呼ぶけれど、単純な話、はっきり言って、私のような、オタクからすれば、社会的ヒエラルキーから言って、普段なら触れ合わないであろう階層の男の子であり、見た目なのだ。

 うん、マジで。

 可愛い男の子を描くのが得意な鹿子さんが言うのだから間違いがない。

 いやはや、ねぇ?サークル部長の棚志賀谷との絡みとか……じゅるり。

 ではなく、そうそう。本題だった。

 いやいや、何を。想像してませんよ?えぇ、大丈夫。心配ない。健全。

 健全ですよー、マジで。

 ちょっとけしからんだけで。

 いいぞ!もっとやれ!そこだ!いれろ!

 アレやコレやがそんなんなってるだけです。ホント。鹿子さん冗談言わない。

 大丈夫、大丈夫。ちっとだけ。

 ちっとだけ、入っちゃってるけれどな。うん。


 なんて。


 ていうか、なんでこんな私なんかがサークルに所属してんの?

 と思われる方もおられるのかも知れないので、一応説明しておくと、このサークルに入った理由は単純に、


『長崎さん、サークルとか入る気ない?』

『私が?』


 と、直美が隣の席から話し掛けてきたことによる。


『見ての通りのオタクの私が?』

『……見ての通りと来たか。ま、そんなん気にする人達でもないし、見物だけでも行こうよ。つか、そもそも見えないよ』

『そうかしらん?』

『……変わってるよね、長崎さんて』


 と、強引に手を引っ張られ、あれよあれよという間に入会したわけだ。なんともまぁ、素敵なぬるま湯グループで、部室に入ってみれば、三々五々に、一糸乱れず、勝手にボードゲームにトランプ、紅茶に珈琲、ピアノを弾く男に談笑する女の子達。モンハンチーム。空いてるヤツがいたら、引っ張り込むし、輪を勝手に出て、また別の輪で談笑。なんとまぁ、……リア充と言えば、リア充集団。軽く恐慌状態。でもまぁ、大学に来てるのだから、その時点でリア充だよなぁ、とは私の先輩の台詞である。と、そこで、変なヤツを見つけたのだ。

 一心不乱にBLを読む友人A。

 表紙そのまま。

 強者である。

 ちなみにこの友人Aというのは、ちょっと変わっていて、見た目はただの可愛い女の子だけれど、……まぁ、何というか、なんと言いますか……いわゆるおひとりさま的感性の持ち主でしてね。気付いたら、何故か、友人になっていたと言いますか。

 しかしまぁ、そんな友人のおかげで私はこのサークルに居たわけだ。

 で、段々と周囲にBL好きの素敵な腐女子チームが出来上がった……という次第になりますね、えぇ。


 で、まぁなんやかんやと年月を重ね(そりゃもう鼻血がね、うん)、今日のお昼。


『鹿子さん。デートする?』

『デート?』

『そう、デート。えっと……彼氏、居る?居なかったら、その、是非』

『とりあえず嫁は居るな』

『嫁!?』

『ボカロ系は大体網羅していると言って、過言ではないな』

『いや、だからね!?』

『否定するのか!私の嫁たちをぉ!』

『ちげーよ!つか、俺とデートしてって言ってんの!』


 ……


『……私と?』

『デート』


 何故か、ホッペタを赤くしながら、じとっと見上げられる。

 なんか可愛い!

 でもまぁ、そんな事じゃあ、なく。


『なにゆえ?』

『尋ね返すの!?此処で!?』

『kwsk(←know to me what is not knowing 役:詳しく。ネットスラングです)』

『んなの気になってるからに決まってんだろ!?』


 なんとまぁ。

 嘘英語を思わずその場で作り上げるくらい動転したわけだ。だから、

 というわけで、自宅に戻り、裸踊りの真っ最中なわけだ。


『良し』

『ってことはおーけ……』

『じゃ』

『鹿子さん!?』


 そうそう。そんなやり取りをして、まだ大学に着いたばかりだと言うのに、帰ってきたのだった。うん。

 う……下っ腹が……。

 というか、スニーカーも……すんすん……うん、良し。

 まだ大丈夫。

 ちなみに女の子なのにスニーカー一択である。コンバース。というか、ジャックパーセルが凄く好き。そして、の色違いを使い回し。これは意外とレアアイテムである。唯一のこだわりポイントと言っていいだろう。うむ。

 携帯が鳴るかも知れないので、カットオフ。そして、ついでに枕にスプラッシュさせてみた。そう、私は状況がオールレッドなのだ。

 敵はどこだ!

 じゃなくて。


 仕方ない。まずはBLを読んで落ち着こう。そう、それが一番、


 ぴんぽーん


「――ぎょえっ!?」

 

 どうやら、来訪者らしい。こんな真っ昼間だと言うのに。いったいだれだっちゅーねん。りゅうこやっちゅーに。なんてやりながら、私は魚眼レンズで扉の向こうを覗き、再度悲鳴を――


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