表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/76

柏木祭について

 柏木祭について


 おれの知ってる限り、彼女の伝説、もとい、蛮行および武勇伝はなかなかスゴイ。

 まぁ普通に道端でバック宙をしたり、スカートがひるがえるのも気にせず、ハイキックで転がってきた自動販売機を蹴り飛ばすのだから、それはまぁさもありなんというところだろう。

 だがしかし――


 ……


 まぁその話の前に彼女とおれの出逢いでも話すべきか。

 おれには長崎という友人がいる。これがまた絵に描いたようなエロゲの友人のようなヤツで、


 つまり、


 モテる。


 まぁそうだろう。男向けのエロゲの主人公なんてモノは大概むっつり(おれを含めて)なのだから、現実世界でモテるわけがない。何もしないでいるということは、すでに相手に関心がないですよー、とわざわざあぴっちゃってるようなものだ。

 あぴぴぴ。

 そんな感じ。


 人間、誰しも『関わりたくない』と思ってれば、その電波を以外と受信しちゃうものである。逆に言えば、『関わりたい』『興味がある』『素敵だ』と思ってれば、それは自然と相手に伝わるものである。

 とは言え、その種の感情というものは当然扱いが難しく、オープンにすればいいかどうかという問題は、まぁアレだ。生徒会の一存でも読んでみればいい。

 はぁ……カレイドメイズ……。

 まぁその話は置いといて。至極個人的なことなので。

 

 長崎についてだ。

 ちなみにどうでもいいけれど、ちゃんぽんは大好きである。

 ちんちん電車の乗り心地も素敵だ。

 まぁその長崎という友人が、

『実はエロい行為が平然と覗けるスポットがあるらしい』

 という情報を入手してきた(ちなみに高校生の時だ)ので、二人でこそこそとピーピングトムよろしく、行くことになったわけだ。

 高校生は阿保である。

 図らずも謀らずも、証明してしまったわけで。

 そして、行った先で――


『あぁ!?話がちげえなぁ?』

『おたくが先に持ち出した話ですよ。これで手を打って貰えなければどうなるかわかりますよね?』

 と、裏側の世界が拡がっていた。まぁ確かに、いかつい男の超至近距離でのガンのつけあいプラス平然と後ろに立ち並ぶ強者という確かにエロい!と妄想する腐女子という方々からすればそれはもうびんびんに匂いまくってるのかも知れないけれど、おれら二人が気が気じゃないのは当然の話で。

 そもそも男だらけの大乱交パーティーなんて正気か!?とおれは思ったりもして。

 でもまぁ女の子だらけのイチャイチャ乱交ぱーちーは少しいけないけれど、けしからんけれど、もっとやれというか。

 あぁ、駄目だ。

 そう、すでにもうなんかこう、

 特等席とばかりに二人でドラム缶に潜り込んだのがもういけない。


 目の前で繰り広げられそうなバイオレンスな臭いに正直、漏れそうである。


 と、そこへ、


「あれ?」


 と、来たのが、柏木祭、本人である。

 

 げっ、とおれは思った。

 確かにそれほど絡みはなかったけれど、クラスメイトで女の子である。

 ヤバイ!と思う。

 そもそもその時のおれは彼女の正体を知らなかったし、

 彼女のサイヤ人クラスの戦闘力をまともに見た事はなかったのだ。

 そう言えば、槍投げで、

 八〇メートルくらい投げてたな、とか。

 体育館で指一本で腕立て(?)してたな、とか。

 

 でも、そんな事を考える間もなく、

 ドラム缶から飛び出し、

 鞄を構えて、

 彼女の前に立つ。


「逃げるぞ!」

 

 ちなみに長崎はおれの方に視線が向いた時に逃げたらしい。

 彼奴はなかなか素晴らしい友人である。


 と、手を引いて、逃げようとしたら、


 がちゃっ、


 と冗談みたいな音が耳元でし、


「おぅ、坊主。……どこから見てた?」

 ごりっと冷たい感触が額に伝わる。口が震える。歯が抜けそうだ。

「……こんな所で青春はちょっと不味いよな、



お嬢――っ!?




きゃーっ!?



「きゃーっ!?」と、おっさんが悲鳴をあげた瞬間、


 柏木の左手がおっさんの身体にめり込んでいるのが見えた。

 ついで、身体を反転させ、おれの手を離し、回転蹴りが顔に食い込み、おっさんが吹き飛ぶ。


 あぜん。


 唖然。


 思わず呆ける。啞然。

 そして、髪をさらっと流し、


「だから言ったよね?」

 と、彼女は一歩前にでる。


「「「「「か、柏木の妹さん!?すいませんっしたぁ!」」」」」」


 ――はぁ?


 後で話を聞いてみると、彼等はそれぞれの組の特産品『ぱんにゃくん』と『にゃんたくん』のぬいぐるみの取引をしていたらしい。


 まぎらわしいよ!


 と思った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ