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宇宙的な解釈とそもそもにして現実解ってる仕組みなんてわけのわからないモノであり、詰まるところ人類とは……

 宇宙的な解釈とそもそもにして現実解ってる仕組みなんてわけのわからないモノであり、詰まるところ人類とは……


「――というわけで、孫子曰く」

「いや、奈字見さん……前の前振りが全く理解不可能……しかも孫子って」

 兵法じゃん。

「孫子曰く、『かけがえのない毎日は戦争を起こすためにある』と」

「言ったことねえよ!」

「『衣食住足りて礼節を知る』」

「奪い取るつもりか!しかもそれ孫子じゃねえし!」

「そうだっけ?」

「……いや、正直知らないですけど」

「『足りない時は貰いましょう』」

「やっぱり!」

「あたしの頭脳を持ってすればこれくらいの曲解は容易い」

「容易くねえよ!ていうかすでに曲解って言ってるし!」


 なんで大学の一角でこんな不毛な会話をしているのかと言えば、二人で待っているからだ。


 何を?


 サークルの飲み会。


 大学近所の居酒屋にサークルでぞろぞろ移動するためだ。

 うちのサークル、数学的確率研究部の人数は総勢八人程度だけど。

 それくらいの人数がせいぜい相手出来る、というか馴染めると思ってる僕からすれば丁度良いと言うか。

 で、


「と、ところで、宇守くん」

「なんです?奈字見さん?」

「えーと……そう、孟子の話だけど」

「孫子じゃねえの!?」

「孫子じゃねえし」

「その切り返しがわからないのですが」

「詰まるところ人類とは」

「あ、戻るんだ。その話に」

「ところで最近パソコン買った?」

「……あーいや、別に」

「繋がりを断ち切るには――この手しかない!」

「どこの中二病ですか!?」

「目覚めろ!あたしの右目!びこーん!」

「効果音が雑っ!」

「はぁ」

「飽きたんですか!?」

「将棋しよっか」

「どこから取り出した!」

「鞄」

「嘘だっ!」

「女の子には秘密の収納BOXが身体についてるの」

「そんな特典初めて聞きましたよ!?」

「宇守くんの妹に聞けばわかると思うけど」

「わかんねえよ!」

「まええもーんっ!教えてあげてー」

「そのネタ解る人居るんですか!?それにまええもんはどらちゃんじゃないですよ!」

「やれやれ。……坊やだからさ」

「男にもあると!?」

「……はぁ。これだから童貞は」

「やかましいわ!」


 不毛な会話である。今日日の高校生でもこんな阿呆な会話はしないんじゃないだろうか?ていうか、この奈字見さん。というか、同学年なので、普通に呼び捨てでもいい気がするんだけど、変である。まぁ変な女の子は可愛いので、別段、僕は気にしないが。

 ていうかそもそもそんなに女の子と付き合いのある方ではないので。

 これが正常な関係なのか、歪みきってるのかの判断はつかないけどさ。


「ところで宇守くん」

「……なんです?」

「革命的な手段と常套的手段を用いるのとでは戦果が変わると思う?」

「あー」

 質問の意図がまったく理解出来ないな。妹に『「シャア×ガルマ」は普通だから、私はあえて「ガルマ×シャア」でいきたいところであります!』と主張された時くらい。

「背後からの奇襲で勝負を決するか、それとも、真正面からの正面突破でぶち破るか、ってこと?」

「まぁ大体そんな感じ」

「うーん」

 戦果……ねぇ。

 それが本当に戦争の話なら、消耗やら経済状態という判断のしようがあるだろうけど。

「やられた方にしれみてば変わりますよね」

「ほぅほぅ」

「僕はよく知りませんが、例えば真正面からの告白『好きです!』みたいな」

「うーん……わかりにくいからアクションして貰ってもいいかな?君ぃ」

「……どこの業界人ですか」

「お願いっ!勿論、あたしの名前をつけてね!『奈字見さん!好きです!』みたいな!」

「はいはい、わかり――わかるか!やれるかっ!」

 心が折れるわ!高二病の心が折れるわ!

「えー……やってくれないと宇守くんのコスプレ写真を学部に――」

「『奈字見さん!好きです!』」

 背に腹は変えられなかった。

「おぉう……」

「……こ、心が……」

 折れそうだ。

「で?背後からの奇襲はどんな感じ?」

「それはまぁ……えーと例えばたまたま一緒に帰ることになって、コンビニとかに寄るわけですよ」

「ふむふむ」

「で、おもむろに手を握って」

「おぉう!」


「『結婚しよう』」


「……いや、ないなぁ」

「ないですか」

「インパクトはあるよね」

「個人的な感覚で言えば、あまりにアクロバットな告白されても、そもそもそれに気付かないというのが多そうなんで、真正面からの方が後々のサプライズの期待値のハードルを下げられていいような気がしますね」

「ほぅほぅ……」

 眼鏡のツルを弄りながら、思案顔。

 ……ホント、この人変わってる。

 しかし。


 不毛だ。


 などと会話をしているところに、サークルのメンツが集まり――


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