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美園

 美園


 変なヤツだ。というのが、おれの中での美園の印象だ。

 まぁ変じゃないヤツを探す方が大変なんだぜ、と年上の友人が言っていたが、それにしたって、美園は変なヤツである。

 

 まず、化粧をしない。


 普通、高校生と言えば、大学生と言えば、花盛りであり、自分の外面を磨くのに精一杯の時期、というのがおれのイメージだったけれど。


 おれが心配するほど、興味がないらしい。


 そして、


 ゲーム大好き。


 いやいや、女の子で?と思ったが、以前、誘われたオンラインゲーム世界における、勇者は彼女であり、おれが荷物持ちというなんとも言えない微妙な世界が出来上がった。


 現実では、うちに晩飯をたかりにくるというのに。


 学生じゃなければ、ただのヒキオタニートだろうっ!


 オマエはどこの幼馴染みだ、っつの。

 まぁ両親が共働きのおれとしては、誰かが家に居る、というのが正直嬉しかったのは秘密だ。


 ちなみに勿論、公式サイトに名前が載るレベルであり、


 つまりは廃人と言える。


 でもまぁ、別段、美園は太くもないし、細くもない。美少女、とは言えないのかも知れないけれど、少なくとも、モテない顔じゃないと思う。

 言動がちょっと二次元よりな気がしないでもないけれど。

 良い奴である。

 何より、特筆すべき点は、運動性能が抜群、という点だろう。


 ちなみに槍投げは六十メートル。


 象と戦えるレベルだ。


 百二十五キロのストレート。

 五十メートル六秒(百メートルは体力が持たないらしい)。

 必殺技はバックドロップ。

 そう聞くと、まるで筋骨隆々なイメージだけれど、ひょろっとしてる感じだ。

 まさに細くもなく、太くもない。

 身長も百六十ないだろう。

 体育の教師に寄れば、


「彼奴、身体の使い方無茶苦茶上手いな」


 との事だ。


 スペックがスペックなのだから、運動部で名を売ればいいのに、と思うが、本人曰く、


「美園、陸上とかやらねえの?」

「ゲーム世界が私を求めているから」


 オマエを求めてるのはメーカーだよ、とも思ったが、幸せそうなので、放っておくことにした。


 美園はそういうヤツである。


 まぁ、大学生になり、何故か同じ大学に受かり、それがしかも微妙に二人とも、実家から遠く、ついで両親が仲良かった性で、


「一緒に住めば?」


 という話になり、


 何故か、


「私の右手が轟き叫ぶっ!」


 ……此奴、おれのベッドの上で何やってるんだ……?


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