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私の右手が轟き叫ぶ

 私の右手が轟き叫ぶ


 一つの危機状態というモノがある。

 例えばエロゲ―における幼馴染みによる突貫攻撃。

 実際にやられると、それはもうなかなか大変で、ていうか、普通の男子高校生にはまず、そもそもそんな状況に耐えられる精神はない。はずだ。

 ていうか、普通の女の子にも不可能である。

 故に、大学生と成った今!

 我慢する義務はなく!


 正直、限界だ。


 すかー、と大の字で寝ている彼、もとい、友人を見て、色んな意味で爆発寸前である。

 普段は起こして貰っているが、今日は違う。

 

 何よりこの徹夜明けのテンションで昨日までとは違う一歩を踏み出せる!

 はず!

 

 しかし。

 しかしかしかし!


 さて、……起きる前に何か悪戯をしたい所ではあるな、と。うむ。


 ……唇……奪っちゃう?


 きゃー!きゃー!きゃー!きゃー!きゃー!きゃー!きゃー!きゃー!きゃー!


 やばいよ!それはヤバイよ!どうした私!今日スッゴク頭の回転いいんじゃない!ていうか――


 ソレだ!


 いや待て待て。


 すーはーっ、すーはーっ……ふがふが。


 ……世の中にはもっとスゴイ事があるのだ。


 ぐふふふふ。

 私は彼のシャツをくんかくんかしながら、思考をさらに加速させる。

 ふがふが。

 ……はふぅ……。


 そう……今こそ私、今日こそ私!


 大人の階段とうらーいっ!なのだ!


 これはもう天の啓示!


 正臣君が日夜軟派に励むのと同じくらい普通の行為!


 あの少女漫画でしょっちゅう(最近、最近流行りの少女漫画を買ったら、の小学生は随分進んでいるなぁ……と思ったモノだ。ごめん。カマトトぶりました)出てくる描写を今こそやるべき!


 ていうか、小学生男子、および、中学生男子、および、高校生男子、加えて、大学生が『写輪眼』ごっこをやってる時に、女の子はカモノハシの秘密(キャベツ畑だっけ?)を覗いているのだから、成熟度合いというのはまさに天と地である。


 というわけで。



 とは言え。




 ……はて。


 やり方がわからないぞ?


 ……なんてね。


 大丈夫、大丈夫!


 確かいれりゃいいんだよ。いれりゃ。


 ……どれを?


 ぬ、……脱がすのか?私……。



 ……




 …………





 …………………






………………………………………………………っ!?……………………………………………………………………………………………っ!?…………………………………………………………………………っ!?


 だみだ――――ーっ!


 ぬ、……脱げばいいのかな?いや、ていうか、寝ている隣でもぞもぞ脱ぎ出すとか私、もうすでにソレは『変態』の域に達しちゃうんじゃないか?


し……しかしっ!


こ、此処でひいてはお、お嬢様としての名が廃る!




 わ、私の右手が光って萌える!ぱ、パンツを降ろせと輝き叫ぶ!その裸身を晒せ!




 ばぁぁぁくねつっ!ごっ――




――がしっ


 ……がしっ?


「なぁ……何してんの?」

「……な、なんの事かな?ようへいくん?」


 えぇい!なんて良いタイミングで起きやがるんだ!

 思わず、私の頬を汗がたらり。


 ていうかっ!


 アイアンクローされたっ!

 女の子にかける技じゃないよっ!

 それっ!


「なんでオマエの鞄、おれの服で一杯なわけ?」

「さ、さぁてね?勝手に飛び込んできたのさ」

「なんでオマエ、おれのトランクス被ってんの?」

「さ、さぁてね?別に嗅いでたわけじゃないんだよ?」

「なんでオマエ、おれの事好きなの?」

「さ、さぁてね?べ、別に優しさに惚れたからじゃない……ん?」

「へぇ」

「んぅ?」


 ――い、言わせるつもりだったのにぃ!


 駄目じゃないか!大人のお姉さん色気落とし作戦!のんこ姉さんの馬鹿っ!

 ぐわぁぁああああああああああああああああああ!くそぅ!てっ――撤退じゃあ!


 私は彼のシャツを鞄に突っ込むと、踵を返し、扉へと手をかけようと――


 したら引き戻されて、





 ちゅっ――





 ……ちゅ?


「……ちゅ?」

「あー……えーと、おれもすげー好きだよ」

「へぇ……」


 あれ?今触れたよな?絶対触れたよな?いれる勢いで触れたよね?くちびっ、びくち、ちくびくちびっ、くちびったよねぇ!?




「……だから、さぁ。美園。おれと付き合って―――っておい!美園!?美園さんっ!?どうして倒れたの!?眠い?いや、聞けよ!なんで此処で寝るんだよっ!このタイミングで!徹夜明けだから無茶言うな?……どんな理屈だよっ!おい!美園さん!?ねぇ!?返事は!?付き合ってくれるの!?いや、頼むよ!言い出せなかったの悪かったって!だから返事を!眠れないから!おれが!美園さぁあん!?」




 ……彼の首に絡みついて眠るのもなかなかオツでした。ぐふ。


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