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バーのマスター 2

 バーのマスター 2


 いらっしゃい。

 あら、自称名探偵も一緒に?珍しい。

 自称じゃない?……そうだったっけ?

 確か三角関係で劣勢の名探偵。あ、違う?ちょっと好感度で負けてるだけ?あ、そう。

 ていうかいっそのこと三人で……て隣のえっと、あきちゃんが引いてるよ、引いてる。

 

 うん、でもアレだね。


 えーと、あきちゃん?


 ……何、そのふにふにしたモノ。


 あぁ、彼氏の疑似耳たぶ。……ふーん。


 疑似耳たぶ……ねぇ……。


 涎垂れてるわよ……


 ……類は友を呼ぶ、って言うモンね。


 えぇ!?いや、梅が変態なのであって、私は由緒正しいホモ好きだもん!

 

 いや、引くな。二人とも。今度おすすめを貸してあげよう、というか梅。あんたは確実に好きじゃない。さりげなく、現場に行く時も常にBL持ってるでしょ?いや、何を口笛吹いてるのよ。どうしてそれを知ってるって?いやほら、あんたが連れてきたんじゃない。おごれーっ……て。

 自称名探偵さん。

 梅が連れて来て以来、気に入ったのかよく来るのよ。

 主に愚痴りに。


 グロい現場で、結合シーン描写したガチホモで興奮する名探偵って、どんなだよ!


 しかも解決するのかよ!


 何考えてんだよ!


 って。


 え?出逢い?

 まぁほら、バーのマスターってさ。まともな出逢いはなかなかない上に、ほら、私って実は奥手じゃん。

 

……うるさい。

 

 可愛いって言われただけでも嬉しくなるの。


 あぁ、はいはい。ありがとうざいます。村松さん。

 いいえ、結構です。

 村松さんは隣の奥さんといちゃいちゃしていて下さい。

 ていうか、もう四〇なのにそんなにべったりも羨ましいくらいです。

 そしてほっぺを引っ張られて幸せそうな顔をこっちに向けんな。

 羨ましいじゃろうが!

 

 ……っておい!梅!なんで知ってる!


 名探偵だからって!


 いやいや、それはその……ほら、ね。付き合いって言うか、そう。アレです、アレ。ただのお友達であって、別にデートというか――


「なぁにぃ!オマエ彼氏が出来たんかぁ!?」

「やっかましいわ!じじい!微妙な所なんじゃ!」


「「「認めた――!!!」」」


「デートくらいするわー!」


 いやそりゃそもそもほら奥手の割になんて言うかそもそも恋愛レベルが低いと言うか詰まるところ私という個人における経験とはハッキリ言って、大学生程度のモノであり、そもそも家業である居酒屋をやってる事からも解るように言ってしまえば世間知らずの行き遅れメンヘ――


「つっちー可愛い」


 つっちー言うな!アレか!?私の恋愛経験はそれくらいしょぼいと言うのか!?


 ツチノコレベルの喪女だとでも言うのかー!

 

「で、どんな彼氏?」


 名探偵の中ではすでに彼氏決定らしい。

 そんな……困る。

 

「ほっぺ弛んでぅ――っ!?ひゃにすんの、ふっひー!」


 というかアレだ。他人の性生活やら、BLのシチュについてやら、受けとか攻めとかそうゆうのは余裕のよっちゃんたこのけつで、ガチホモでがつがつのガチムチも無修正でほいほい喋れるのだが、やはりそこは個人的ななんでしょう。感覚に降りてくるとちょっと顔が赤らんで上手く喋れないと言いますか――いやほら、好きな人の前になると喋れなくなるとかアレ系な感じで、そう、いや、真面目な話、別にイケメンでも興味ない人にはまるで興味なしなんだけどさ。


 なんだろう。


「乙女?」


 とりあえず、自称名探偵の口を引っ張ることにした。


「いひゃいいひゃい、つっちーいひゃいよ!?」


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