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眠り姫
彼女は遥か昔、『黄昏の果て』の時代から眠り続けてきた。
―――終わらない夢を見続けてきた。
そこは世界の中心―大樹が鎮座する森。
彼女―ルークレイシャンは大樹を寝床にして眠りについていた。
ルークレイシャンの眠りは罪の証。
ルークレイシャンは聖なる森で罪を洗い流していた。
彼女が目覚めたとき・・・それは彼女の罪が洗われたということ。
―――そして、その時はやってきたのだ。
少しずつ、夢に囚われていた意識が現実へと戻り始めたのだ。
かたく閉ざされていた瞼がピクリとふるえ、ゆっくりと瞼が開いていく。
若草色の瞳が瞬く。
―――その瞬間、一筋の光柱が空に走った。
まるで、女神の目覚めを世界へと伝えるかのように。
夜の帳へと光の矢が放たれ、そして消えた。
それと同時に、目覚めかけていたルークレイシャンの意識は再び眠りの海へと沈み、彼女の瞼も閉ざされた。
けれど、彼女はたしかに目覚めたのだった。
―――彼女―――時の女神の完全たる目覚めのときは近い・・・
次回、ようやくメインキャラが出てきます。