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夢の墓場
そこは何処にもない場所。
そして、誰もが辿り着ける場所。
だけど、誰も辿り着くことはできない場所。
彼は『そこ』を『星の泉』と呼ぶ。
彼の足下にある、底知れぬ泉が『星の泉』である。泉の水面近くには、幾つもの光が見えた。
―――その光景は夜空を飾る星々のよう。
彼は水中に沈むことなく、水面の上に座り込んでいた。
水の中の星は消えてはまた、生まれていく。
ふと、彼は口元に淡い微笑を浮かべ、
「―――終わらない夢か・・・」
言って、彼はゆっくりと立ち上がった。
「―――幸せな夢・・・終わらない、見続けるしかない夢か・・・」
呟いて、彼は水面からもっとも遠い星を見つめた。彼、夢の神ヴィクは哀しげに微笑む。
「夢が終わるとき、それは罪が消えたとき。それはいつ?・・・もう罪は消えたはずなのに。彼女が贖ってくれた。・・・答えてくれルーク・・・」
ヴィクの呟きに応えるかのように、その星はカランッと鳴いた。
―――ここは『星の泉』。
夢の墓場と呼ばれる場所だった。