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第1話 はじめまして。わたしはパルです。

 パル。


 はじめまして。わたしはパルです。


 ぼろぼろのパルはなくなってしまった右手の代わりに左手でしっかりと女の子を抱きしめていた。

 瓦礫の大地の上にぺたんと座り込んでいるロボットの少女のパルはぼろぼろで、全身傷だらけで、おでこと口のところからは『赤い血』が流れていた。

 パルはもう右目が見えていなかったのだけど、その左目でしっかりといつもみたいに女の子の顔を見ていた。そして、やっぱり『いつもみたいににっこりと笑っていた』。

「パル。大丈夫?」

 震えている、不安そうな声で女の子が言った。

 女の子もやっぱりパルと同じように(パルが守ったから、パルよりはずっと大丈夫だったけど)ぼろぼろだった。

「はい。パルは大丈夫ですよ。ずっと一緒にいます。だって『そう約束した』のですから」

 パルは言う。(パルの視界はザザ、と言う音がして、映像がちょっとだけ変になった)

 パルはじっと空を見上げた。

 とても分厚い雲に覆われている、冬の灰色の空。

 たしか雪が降るかもしれないって天気予報が出ていたはずだった。

 とっても冷たい冬の風が瓦礫の大地の上を吹き抜けた。

 それからゆっくりと、とても綺麗ななんだか妖精のような白い雪がひとつ、ふたつと空からパルと女の子のいる瓦礫の大地の上に落ちてきた。

 その雪を見て、パルは、雪が降ったら、雪合戦をしようね。それから、雪だるまもつくろうね。すっごく大きな雪だるま。と言って笑っている女の子のことを思い出した。

 パルは女の子を見た。

 パルの左腕の中で、女の子の体はだんだんと冷たくなっていった。『このままなにもしなければ、女の子はきっとこの世界からいなくなってしまうだろう』と思った。

 パルは足を動かして立ちあがろうとした。でも、パルの足はもう動いてはくれなかった。体もほとんど動かせなかった。今のパルにできることは自分の体の熱で、冷たくなっていく女の子を少しでも温めてあげることだけだった。

「パル」

「はい。なんですか?」

「大好き」

 消え去りそうな小さな声で、小さく笑いながら女の子は言った。

 その女の子の言葉を聞いて、パルの大きな青空みたいな青色の瞳から、美しい透明な大粒の涙がたくさん、たくさん溢れはじめた。

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