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ヘタレの対処も一苦労です!!(前編)


=友樹視点=


俺はイオから伝えられた話に唖然としていた。


「どうだー?すっごく嬉しい話だろ!これで友樹も心置きなく告白できるでしょ?ボク様に感謝しろよっ!」


イオは相変わらず自信満々な表情で腕を組んでいる。

確かにイオの言ってる事が本当なら、俺と糸島さんは両想いと言う事になる…でもそうなると糸島さんと課長の関係は、どう説明するんだ?


「糸島さんが、俺と両想いなんて嘘だよ…。」


「ん?なんでだ?」


「だって、糸島さんは課長と浮気関係で…。」


「初美からそう言われたのか?それとも…その課長って奴から?」


イオは疑問符を浮かべた顔で、俺に聞いてきた。

いや…実際に本人達からそう言われた訳じゃないけど…でも、ただの上司と部下の関係でもなさそうだし…。

でも…冷静に考えてみると、2人が浮気関係っていう証拠も無いんだよな…だとすると、これは唯の俺の思い違いだった…?


「直接聞いた訳じゃない…もしかして俺の思い込みだったかも…。」


「なら良いじゃん。少なくとも、初美が友樹の事が好きって言ったのはボク様が本人から聞いたし。」


そ、それはそうみたいだけど!

けど糸島さんが俺の事好きって言われても信じられない!そんなそぶり見えなかったし!

それに俺は年齢=彼女いない歴だぞ!?告白なんて無理無理!


「む、無理だっ!告白なんて出来ない!!」


「はぁ!?なんでだよっ!両想いって分かったんだから、告白なんて楽勝だろ!!」


イオは簡単に言うけど、告白するのはかなり勇気がいるんだよっ!

それに、糸島さんが俺の事を好きって言ったのも、既婚者の課長の事が好きって言えないから、咄嗟に俺の名前を出しただけかもしれないし!


「もしかしたら、糸島さんがイオに嘘ついてるかもしれないだろ!」


「この銀河系一可愛いボク様に対して、人間風情が嘘つける訳ないだろ!」


「と、とりあえず無理なものは無理!!」


俺はベッドに走って、イオから隠れるように布団の中に潜る。

絶対に告白なんて無理だ!相手から告白されるならともかく、自分からなんて絶対に無理!


「おい、隠れんなよっ!」


イオが布団を引っ張ってくる。

思ったよりイオの引っ張る力が強いけど、俺は布団の裾を掴んで剥がされないように全力で抵抗する。


「そ、それに糸島さんが告白されたら冷めるタイプかもしれないだろ!告白したら「なんか違う」って言われてフラれるかもしれないし!」


「フラれるのを怖がってたら恋愛なんて出来ないだろ!それに、もしフラれてもボク様が次の恋を探してやるから安心して告白してこい!」


「嫌だっ!100%成功するって確信がないなら告白なんて出来ない!」


「なんだこのヘタレっ!?めんどくさっ!!」


ヘタレで結構!なんと言われても俺は告白なんてしないからな!

グイグイと布団を引っ張るイオに、俺は全力で抵抗して布団を剥がされないようにする。

イオは可愛いから告白された事はあっても、告白する事なんて無いのかもしれないけど、告白するってのはかなり勇気が必要な大変な行為なんだよ!


「それに良いの!?このまま告白しなかったら、それこそ課長とやらに初美を盗られちゃうよ!!それでも良いの!?」


「嫌だけど…!でも告白するのも嫌だぁぁぁ!!」


「うがぁぁぁぁ!!このクソヘタレ!腑抜け!根性なしっ!いいから布団から出ろぉぉ!!」


うおっ!さっきよりも布団を引っ張る力が強くなってる!その細腕のどこに、そんな力があるんだよっ!

更に強い力で引っ張ってくるイオに負けないように、俺も布団を握る力を強くして抵抗する。

暫く俺とイオの攻防が続いた頃、ピタリと布団を引っ張る力が無くなった。


「はぁ〜…分かったよ。そこまで言うならボク様も無理強いはしないよ…。」


おっ…?諦めてくれたのかな?

けど、もしかしたら油断させて布団を剥がすのが目的かもしれないし、布団を掴む力は緩めないようにしよう。

すると、布団に包まっている俺の隣にイオが座ったのか、ギシリとベッドの軋む音がする。


「でもね…ボク様は友樹に幸せになって欲しいんだ。これはボク様の役目とは関係なく、本心からそう思ってるんだよ。」


いつもの甘えた声じゃなくて、本当にこちらを心配するような…慰めるような優しい声で話しかけてきた。

もしかして、本当に告白させるのを諦めたのか…?それに、本当にそこまで俺の事を考えてくれてるなら嬉しいけど…。

確かに今朝からだいぶ大人しいと言うか、結構優しかった気がする。

昨日会った時は傍若無人な振る舞いだったし…もしかして本当に俺の事を心配して…?昨日会ったばかりなのに?


「昨日会ったばかりなのに、なんでこんなに友樹の事を心配してるのかが分からないんだよね?それはね、ボク様が天使だからだよ。」


「天使だから…?」


「そう。天使はね、人間を導いて守護するのが役目というか…生き甲斐なんだ。だから基本的に人間の事が好きで、人間には良い人生を歩んで欲しいって本気で思ってる。」


そうなのか…?確かに昔から天使と言えば、人に試練を与えたり、逆に人を危険から護ったりしてるイメージはあるけど…。


「それと同時に、人間同士で結婚して子を育み、未来に繋げていけるように、あまり天使に依存して欲しくないとも思ってる…。ボク様が人間を見下した態度を取るのは、そう言う理由があるからなんだ。見下してくる相手に、好感は抱きにくいでしょ?」


言われてみれば…そう考えると、イオが今日と昨日で態度が違うのも納得出来る…か?

初手で敢えて見下した態度を取って、その後天使が日常を支えても、こちら側の根底には「でもコイツって人間見下してるんだよな」って印象を植え付ける為?

なんか回りくどい気がするけど、そこまで間違ったやり方とも言えない気が…。


「だから…さ。もう一度ボク様とちゃんと話してみない?もう告白しろなんてお願いしないからさ。」


「イオ…。」


俺はちょっとだけイオの事を見直して布団から顔を出すと、隣に座っているであろうイオの顔を見る。

イオは優しい笑顔で俺を見下ろしている。

見下ろしているんだけど…なんか…イオの眼がいつもの翡翠色じゃなくて、ピンク色に妖しく光ってるんですけど…。

それに…イオの眼から視線を外せなくて…なんか頭が…フワフワして…意識…が…。

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