まさかまさかの情報です!!(後編)
=友樹視点=
はぁ…結局、糸島さんと課長がどういう関係なのか気になって仕事に身が入らなかった…。
でも動揺してたし、秘密の関係ではあるよなぁ…俺が女の人でも、絶対俺より課長を選ぶし…。
そんな事をモヤモヤと考えながら、俺は気分が沈んだまま家に帰ってきた。
「ただいまー…。」
「おっかえりー♪」
俺が玄関の扉を開けると、落ち込んでいる俺とは対照的に上機嫌なイオが出迎えてくれた。
「ああ…ただいま…。」
「どしたー?なんかあったのか?」
イオは俺の手から自然と鞄を取りつつ、俺の顔を見上げる。
「ははっ…なんもなかったよ。そう…何も無かったんだ…。」
「絶対なにかあったじゃん。」
結局、俺と糸島さんは唯の同僚に過ぎなかったし…課長と何かがあっても、行動しなかった俺が悪いだけだし…。
そんな俺を無視しながら、イオは俺の手を引いて部屋に連れて行く。
「あと少しでご飯出来るから、先に風呂入ってきな?さっぱりしてお腹も満腹になれば、気分も良くなるかもよ?」
イオは俺のスーツの上着を脱がせてハンガーに掛けると、パタパタとキッチンに小走りで向かっていった。
そうだな…とりあえず風呂に入るか…。
俺が風呂から上がると、イオが丁度ご飯の準備を終えたのか、テーブルの上には白ごはんに漬物、生姜焼きが置かれていた。
やっぱり家に帰った時に誰かがご飯作ってくれてるのは助かるな…。
「丁度出来たよー!ほら!座って座って!」
「…ありがとな」
俺が席に着くと、イオはウインクをしながらビールを突き出してきた。
「一緒に呑もうよ!明日は休みでしょ?お酒を飲んだら少しは気がまぎれるかもよ!」
「…そうだな。」
俺はイオからビールを受け取る。
なんていうか…落ち込んで家に帰った時に家で待っていてくれて、更にその人が笑顔で接してくれるだけでも結構助かるなぁ…イオとは昨日からの付き合いだけど。
「それじゃあ、いただきまーす!」
「いただきます。」
手を合わせて挨拶をすると、イオは真っ先に喉を鳴らしながらビールを飲み始める。
「ふひぃー…。」
イオはビールから口を離すと、蕩けたような笑顔で一息つく。
あんなに幸せそうに飲むなんて、本当に酒好きだな…見てる分には楽しいから良いけど。
俺もイオに釣られてビールを飲む。
正直、ビール自体はそこまで好きって訳じゃないけど、たまに飲みたくなってくるから不思議なものだ。
俺は次に生姜焼きを食べてみる。
うん、美味しい。
生姜の香りと少し甘めの味付けが、口に残っていたビールの苦さを中和してくれる。
「どう?美味しい?」
そんな俺を、イオはビール片手にニマニマ笑いながら見ていた。
自信満々な表情で見てくるイオに正直に言うのは悔しいけど、その自身通りに美味しく出来てるんだよなぁ。
「…ああ、美味しいよ。」
「へへっ!良かった!」
笑顔で喜ぶイオを見て、こちらも少し嬉しくなる。
なんだろう…小さい子が俺の為に料理をしてくれて、俺が褒めたら喜ぶ…そして俺はそんな姿が可愛く思える…もしかしてこれが父性って奴なのか!?…子供どころか恋人さえいた事ないけど…。
そのまま俺とイオは話しながら食事を進めた。
今までは1人で食事するのが好きだったけど、誰かと一緒っていうのも良いかもしれない…。
「ふぃ〜…食べたし呑んだなぁ。」
イオは少し膨れたお腹をさすって満足気な笑顔をしている。
俺より少ない量しか食べてないが、体が小さいからそこまで量は食べれないのかもしれない。
いや…お酒なら200リットル飲めてたらしいし、消化が早いのか?
「それにしても、案外ビール飲まなかったな。てっきりあるだけ飲むのかと思ってた。」
「当たり前でしょー。そんなにいっぱい飲んだらすぐ無くなっちゃうじゃん。一応、今は世話になってる身だしね。」
…ちゃんと自覚はあったんだな。
やっぱり今朝の反省したって言ってたのは本気だったのかもしれない。
「それでどう?少しは気分も落ち着いた?」
…言われてみれば、最初の時から比べるとだいぶ持ち直した気がする。
帰ってきた時は碌にご飯も喉を通らないと思ってたけど、今はお腹もいっぱいになってそこまで暗い気分じゃない。
「…ありがとう。だいぶ持ち直したよ。」
「どういたしまして!」
いやー…昨日は迷惑だと思ってたけど、今は逆に来てくれて助かったな。
俺1人だと暫く引きずってた気がするし。
「そんな友樹に、更に朗報があるよっ!」
イオはガバッと立ち上がると、腕を組んで自慢気な表情をしている。
「なんだ?良いお酒でも手に入れたのか?」
「ふっふっふっ…友樹もこれを聞いたら驚くよっ!それはねー…。」
なんか自信満々に自分の成果を報告してくる子供って可愛いな。
俺は少し笑顔になりながら、イオの言葉を待つ。
「喜べ友樹!糸島初美はお前の事が好きだって言ったぞ!」
…は?




