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情報収集は目的達成への第一歩です!!(後編)

=イオ視点=


「はーい、お待たせー!」


「ありがと!おねーさん♪」


ボク様はクレープ屋の店員から苺のクレープを受け取って一口食べると、苺の甘酸っぱさと生クリームの甘さが口内に広がる。

うーん、クレープを食べてるボク様も可愛い!

ボク様が可愛さを意識しながら笑顔で食べていると、店員の女は嬉しそうな笑顔でボク様を見ている。


「おねーさんありがとね。ボク様、お金持ってなくて…。」


「いいんだよー!君みたいな可愛い子からのお願いだもん!」


ボク様が上目遣いで申し訳なさそうに見ると、店員の女は両手をブンブンと横に振って嬉しそうにしている。

うんうん、ちゃんとボク様の可愛さに魅了されてるな!


「それじゃあボク様行くねっ!じゃあねー!」


「また来てねー!」


ボク様は手を振りながら店から離れて、しばらく街中を歩く。

今さっきの人間で15人目。その間ボク様のお願いを断る人間は1人もいなかった。

お願いした事は、少しの間話したりとかの軽いお願いから、食べ物や飲み物を貰ったり、家の中に入れてもらったり、携帯の中身を見せて貰ったりと徐々に難しいお願いをしたけど、人間は全部喜んで叶えてくれた。

という事はボク様の天界一の可愛さは健在という事だ。

なら何故福岡友樹には効かなかったのか…?効かない人間もいるという事かな…?

ボク様の可愛さは、相手の好みとか関係無い筈なんだけどなぁ…。

とりあえずは『殆どの人間には効くけど、効かない人間もいるかも』ぐらいに考えとこう。


「そこのお嬢ちゃん、ちょっといいかな?」


「…ん?」


ボク様が考えながら歩いていると、後ろから警察官が話しかけてきた。

パトロールか?真面目そうな人間だなぁ…。


「お嬢ちゃんはまだ未成年だろう?今日は平日なのに、学校はどうしたんだ?」


「…」


警察官は不審な目でボク様を見てくるので、ボク様は無言で警察官を見つめ返す。

職務中…使命に忠実な真面目な人間…。

このタイプの人間には効くのかな?


「ちょっと、聞いてるのか?」


「ごめんなさい…。」


「ん…?」


ボク様が上目遣いで可愛い声を出すと、警察官は固まった。


「ボク様、今は学校には行ってないんだ…。」


「そ、そうなのかい?」


天使学校ならとっくに卒業したから、今は学校に行ってないってのは嘘じゃ無いし。

続けてボク様は悲しそうな顔と声色に変化させる。


「うん…。でも、その事でボク様を責めて欲しく無いなぁ…。あとお願いだから、事情も深くは効かないで。」


「ご、ごめんよ、そうだったんだね。分かった、もう聞かないよ。」


「ありがとう!お巡りさん!それじゃあ、ボク様もう行っても良いかな?」


「ああ良いよ。引き止めて悪かったね。」


警察官は、最初の疑っていた態度を一変させて、逆に申し訳なさそうな顔でボク様から離れて行く。

これで16人目…。

うーん、職務に忠実そうな真面目なタイプの人間にも効く…。

そうなると友樹に効かないのが本当に不思議だ。

でもそろそろ昼前だし、あまり検証に時間をかけ過ぎると情報収集の時間が無くなる。

天界にいた時みたいに他の天使が情報を持って来てくれる訳じゃ無いから急がないと。

ボク様は持っていたクレープを急いで食べ終わると、光輪と翼を出して飛び立つ。

人の大勢いる街中で無防備に光輪や翼を出すのは危険かと思うだろうけど、監視カメラや人目があっても、見てる人間は『そこには誰もいなかった』って認識になるから問題なく街中でも天使化できる。これぞ天使の力!


「さっさと役目を終わらせて、天界でゴロゴロしたいなぁ。」


ボク様は記憶にある通り、友樹の会社に飛んでいく。

はぁー…面倒くさい。




=友樹視点=


「おはようございまーす。」


「あっ!福岡君、おはよう。」


俺は挨拶をしながら自分の席に着くと、向かいの席の糸島さんが挨拶してきた。


「おはよう糸島さん。昨日は帰り道大丈夫だった?」


「あはは、何もなかったよー。福岡君も昨日は残業大丈夫だった?あまり頑張りすぎないでね?」


ああ…糸島さんに心配されるなんて朝からついてるなぁ。昨日の残業の疲れが飛んでいく…。


「よっ!おはよう、福岡君!最近残業が多いけど大丈夫か?無理は禁物だからな!」


うぐっ…。俺と糸島さんが話していると、俺の肩に手を置いて元気に挨拶して来た快活な人は遠賀おんが課長。

日焼けした肌に茶髪のオールバック、少し着崩したスーツに筋肉質な体が、全身で陽キャを体現してる。


「お、おはようございます、遠賀課長。すみません、なるべく残業しない様には気をつけてはいるんですが…。」


「ははっ!そんなに申し訳なさそうにしなくても大丈夫だぞ!俺は福岡君が無理しないか心配なだけだからな!」


ニカっと笑う遠賀課長。

ぐぅ…本当に快活な人だな。40歳とは思えない筋肉だしイケメンだから女性にモテるんだろうなぁ。

既婚者で子供もいるとは聞いてるけど、噂が本当ならーー。


「ああ、それと糸島ちゃん。あとで話したい事があるから、ちょっと会議室まで良いかな?」


「あっ、はい。わかりました。」


これだーー。噂だと複数の女性と関係を持ってるとか…。奥さん以外の女性と街中で一緒に歩いているのも目撃されてるし、もしかして糸島さんも課長と…。

少し気が沈んできたけど、俺は糸島さんの事が好きなだけで付き合ってる訳じゃ無いから深く聞くのも変な話だ。


それから仕事が始まり、課長と糸島さんは離れて行った。

俺はパソコンで作業しながら2人の事を考える。

今は2人で会議室にいるのかなぁ。

やっぱり糸島さんも、課長みたいな男らしい方が良いのかなぁ…。

自分でもウジウジしてると思うけど、やっぱり好きな人がイケメンと2人っきりで話してると思うと気分が沈むなぁ…。

しばらくパソコンで作業してると、課長が話しかけてきた。


「福岡君。今ちょっと時間あるかな?」


「は、はい。大丈夫です。」


お、俺にも話がある…?いったい何の話なんだ?

俺はそのまま会議室まで連れてこられた。


「いやー、悪いね。ちょっと福岡君に聞きたい事があってね。」


「聞きたい事ですか?」


俺と課長は椅子に座ってテーブルを挟んで向かい合う。

課長は神妙な顔をしてるけど、もしかして俺何かミスしたとか…?


「最近不審な人物に出会ったりしてないか?」


「不審な人物ですか…?」


「そうそう。春先だから不審者が増えてるからさ。福岡君は優しいから、詐欺師とか宗教勧誘に騙されてないか心配でね。」


くっ…!女たらしと分かっていても、自分が心配されてると嬉しくなってしまう…!

こういうのを自然に出来る所が女性からモテる秘訣なんだろうか…。

俺だと吃って絶対に気持ち悪く見えてしまうんだろうなぁ…。

なんか自分と課長の男としての差を再確認して、余計気落ちしてしまった。


「い、いえ。不審な人は見かけてないですね。」


天使なら昨日から一緒に住む事になったけど、ここで「昨日天使と出会って一緒に住む事になりました。」なんて言ったら、完全に可哀想な目で見られるに決まってる。

最近残業が多いから、疲れで幻覚見てると判断されて病院に行けって言われる可能性もあるし、ここは知らないで通した方が良いだろう。


「うーん…そうか。…でも何も無いなら良かった。もし何かあったら気軽に相談してくれよ!」


「は、はい!」


信じてはもらえたみたいだから良かった。

それにしても不審者が増えているって言うなら糸島さんも危ないんじゃ…。

一応あとで糸島さんにも言っておこうかな。

俺は課長に一礼すると会議室を出て行った。

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