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男の娘天使と草食系男子の邂逅です!!(後編)


=イオ視点=


あの人間め…ボク様の願いを聞かないどころか、ため息を吐いてトイレに行きやがった。

なんでだろ?この可愛いボク様がお願いしたのに。

もしかして可愛さが足りてなかったか?

あの人間、冴えない顔して美しい物を見る目は厳しいのか…?

とりあえず、あの人間が戻ってくる前に準備を済ませようかな。



数分後、あの人間がトイレから戻ってくると、ボク様を見て動きが止まった。

ふっふっふっ…あまりの可愛さに声が出ないみたいだな。

ボク様の今の格好はさっきまで着ていた天使の法衣じゃなくて、大きめの白の半袖Tシャツに、丈の短い黒のスパッツ。

そうーーボク様の今のテーマは『外だとしっかりだけど、家だとちょっと無防備な子』だっ!

その服で寝転がってクッションで寛いで見せれば、さっきまでのギャップで可愛いさ2倍!!自分の家で可愛い子がリラックスしてるというシチュエーションで更に倍!!

これはボク様のお願いを聞かざるを得ないだろう!


「ねぇ、人間。ボク様のさっきのお願い、聞いてくれる気になった?」


その格好で人間の方を向きながら甘えた声を出せば、勝ちは確定した様なもの。

はい!ボク様最強!世界一の可愛さ!


「嫌だけど?」


「なんでだよ!!!」


なんで!!なんでなんだよ!?なんでボク様の可愛さが通用しないんだ!?下位天使までならボク様の可愛さでどんなお願いも聞いてくれたのに!!下位天使より脆弱な人間にボク様の可愛さが通用しないなんて!!

ボク様は理解不能な状況と上手くいかない悔しさで、クッションをボフボフと叩く。


「それより、その服とクッションはどうしたんだ?俺の家には無かった筈だけど。」


悔しがるボク様を無視して、服とクッションの出所が気になる人間。

それよりもボク様の可愛さに興味持てよ。

仕方なく起き上がると、ボク様は人間に説明してやる。


「これはボク様の権能で出したんだよ。」


「権能…?」


「そっ。上級天使や一部の中級天使はそれぞれ権能って呼ばれる特殊能力を持ってるの。ボク様の権能は『知識にある事象の再現や物の創造』。智天使の長であるボク様の知識があれば、創世の時代から現代に至るまでの全ての事象を再現したり、物を生み出したり出来るってわけ。」


ボク様は胸を張り人間に説明してやる。

宇宙一可愛い上に、こんな素晴らしい能力を持っているボク様って至高の存在じゃない?下等な人間はボク様にひれ伏すのが当たり前だと思う。


「なんか規模がデカくてよくわからないけど…とにかくその服とかがお前の物って言うのはわかったよ。」


人間はその場から動いてビニール袋を持つと、冷蔵庫に向かう。

…まあ、小さな町で生きてる人間に、宇宙規模レベルの話をしても実感は湧かないか…。

普通の人間はそこまで賢くないってのは知ってるし、期待もしていない。

ボク様が改めて人間の低脳さを認識していると、人間は冷蔵庫に食べ物を入れ始めた。

肉、卵、野菜、酒ーー。


「お酒っ!!」


「うおっ!?」


ボク様が一瞬で人間の所まで瞬間移動すると、人間はビクリと体を揺らして驚いていた。

そんな事はどうでもよくてっ!!


「お酒だぁー…。」


あぁ、お酒…。飲むと体がポカポカして、頭もフワフワする。とても気持ちのいい気分になる飲み物だ。飲食を必要としない上位天使であるボク様だけど、これだけは絶対に必要だと思っている。それに今人間が持ってるのはビールだ。シュワシュワして喉越しがよく、苦味の中にもしっかりコクがあり、冷えてたら言う事なしの最高のお酒だ。


「ああ…そういえば酔っ払って樹を燃やしたって言ってたし、相当酒好きなのか。」


人間がビールを右に左に動かすが、ボク様はそれに釣られてついて行ってしまう。


「欲しいのか?」


「欲しいっ!!」


ボク様が目を輝かせて言うと、人間は仕方ないといった顔でビールを渡して来た。

ああ…冷えてる…。人間がいつ買って来たのかは知らないが、買った時からしっかり冷えていたのだろう。缶に付いていた水滴の冷たさが、ボク様の手に先程までしっかりと冷えてた事を伝えてくる。

ボク様は落ち着いて缶ビールの蓋を開けると、プシュッという小気味のいい音とビールの芳醇な香りが伝わる。

そのままゴクゴクと喉を鳴らしながら、缶の半分程を飲み干す。


「はぁー…。」


口の中に残る苦味とコク、喉に感じたシュワシュワした炭酸の心地よさ。何より、頭がポワポワと宙に浮かんでいるみたいで気持ちいい…。

ボク様はアルコールの巡りが早く、すぐにドーパミンが分泌されるらしいが、上位天使としての体が即座に正常に戻すため、酔いが覚めてしまう。だから何度もこの気持ち良さを味わえるのだ。

ボク様が顔を蕩けさせてビールを楽しんでいると、人間は冷蔵庫に食べ物を入れ終わったのか、呆れた顔で見てくる。


「そんなに酒が好きなら、今さっき言ってた権能で好きなだけ出せるんじゃないのか?」


あぁー…ね。そう思うよね。

ボク様も出来るなら好きなだけ酒を飲みたい…。けどそう思い通りにいかないのが世の常。


「ボク様の権能は元々、『天界や人間界に過剰な影響を及ぼしてはならない』って制約があって、この前の出来事で『人間界にいる間は趣向品としての酒の創造、又は金銭の創造の禁止』が新たな制約になったからねー。だからお酒は誰かから貰うか、自分で買ってくるしか出来なくなったんだよねー。」


ビールを飲みながら人間に答えてやる。

ボク様だってこの制約がなければ、今頃業務用の冷蔵庫を生み出して、その中を酒で一杯にしてやるのに…。

酒を生み出すのも駄目だし、この人間にボク様の可愛さが通じないし、本当…上手くいかない事ばかりだなぁ。

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