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第十一章:花が咲く頃
夏の終わり、2027年8月
大阪の夏は、相変わらず蒸し暑い。
会社では中堅のポジションに上がり、
残業も増えたけど、
家族との時間は守るようにしていた。
結衣は中2の夏休み。
バスケ部の合宿から帰ってきたばかりで、
日焼けして、少し背が伸びた気がする。
彩花はパートを続けながら、
結衣の部活の送り迎えをこなしている。
幸恵とは、あの桜の下ですれ違ってから、
一度も連絡を取っていないまま。
LINEのトーク画面は、
2025年末のメッセージのままで、
埃をかぶったように静かだった。
でも、淳也は時々、
帰り道に安威の近くを通るルートを選ぶようになった。
土手はもう完全に公園になっていて、
子供連れの家族やジョギングする人がいる。
不燃花は、春から夏にかけて、
ちらほらと咲いていた。




