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転移艦隊〜最強の機動部隊戦記〜  作者: 仲村千夏


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転移艦隊〜最強の機動部隊戦記〜 ②

 戦艦〈比叡〉の長大な艦橋下。

 士官室はこの日のために急ぎ整えられていた。

 白いクロスが敷かれ、椅子が追加され、慣れぬ洋式儀礼に戸惑う王国側の護衛が、落ち着かぬ様子で周囲を見渡している。


 先に入室していた南雲中将と山口多聞少将は、静かに立ち上がり王国の使節を迎えた。


 先頭にいるのは王女アリア。

 その後方には威厳ある白髪の王――アリアの父であるレグナス三世。

 さらに側近と重臣らが続く。


「ようこそおいでくださいました」

南雲が礼を示す。


 アリアが一歩進み、片言で言った。


「ナグモ……将? ご招待、ありがとう……ございます」


 その日本語はたどたどしいが、確かな意思が伝わる発音だった。


 しかし、背後の王や重臣は、すぐに異国語で言葉を交わし始めた。


「――ラグ・ヴェルトゥ、アリア・ラ=シェル?」

「――ルダン、ケル・ズィエ……」


 歌うような抑揚と、耳慣れない言語。

 南雲と山口は互いに視線を交わし、困惑を隠せない。


 そこに草鹿参謀が一歩前へ出た。


「閣下、王国語は私が通訳いたします」


 彼は深く礼をし、王国語で流暢に語りかける。


「《ラグナス陛下、こちらが第一機動部隊司令長官、南雲忠一中将閣下であられます》」


 途端に王の表情が和らぐ。

「――フレド・アレン……」

 短く返す。


「陛下は、“会えて光栄だ”と仰っています」


「それは何よりです」

南雲は静かに応じ、席を示した。



 全員が席につくと、さっそく会談が始まった。


 最初に南雲が切り出す。


「我々は、この世界の状況を知る必要があります。

 王国周辺の脅威、政治状況、他国との関係……。

 お聞かせ願えますか?」


 レグナス三世は重々しく頷き、草鹿へゆっくりと言葉を発した。


「――ルディア・ヴェル……ファードン、トゥエ=ガラ……ドラス・ケルン」


 草鹿は訳す。


「陛下は、“この半年、北方山脈からドラゴンの出現が異様に増えている”と」


 山口は眉をひそめる。


「昨日、我々が迎撃した連中か……」


 アリアが補うように、日本語で言う。


「ドラゴン……昔、少しだけ。けど……今は、多い。とても、多いです」


 片言ながら、表情には危機感が滲んでいた。


 南雲は深く頷く。


「……しかし、その増加の理由は?」


 この問いに、王国側の大臣の一人が声を上げた。


「――ヴェル・ファンデス! ロドゥ=ザル・テア=グレン! アリオス・ラダン!」


 激しい抑揚の言語が室内に響き、日本側の将官たちは息を呑む。

 草鹿が急いで訳した。


「“おそらく北方の帝国が動いている。魔導師団がドラゴンを刺激し、南方へ追いやっている”……と」


「魔導……師団?」

山口が思わず聞き返す。


 アリアが頷く。


「強い魔法……たぶん。国、力を、広げる……そう思います」


 その表情には恐怖が宿っていた。



 沈黙が落ちる。

 艦内時計の針が静かに時を刻む音だけが、室内に響いた。


 南雲が息を吸い、静かに言う。


「……我々は、この世界の勢力と敵対する意思はありません。

 しかし、脅威が迫るならば、情報を共有したい。

 王国は、その帝国と戦争状態なのですか?」


 草鹿を通じて質問が伝えられると、王は苦渋の表情を浮かべた。


「――ラグ・ヴェン……ソルミナ。アリア=ロダン……」


 通訳が続ける。


「“事実上の戦争状態だ。だが、王国には抵抗する力が乏しい”――と」


 アリアは俯き、震える声で日本語を紡いだ。


「……王国、負けます。

 帝国、とても強い。魔法も……兵隊も……」


 それは、国を背負う王女としての弱音だった。


 室内に再び沈黙が落ちる。

 日本側の将官たちは互いに視線を交わした。


 山口が静かに言った。


「南雲長官。我々は――どうしますか?」


 南雲は目を閉じ、しばし思案する。

 やがて、王とアリアをまっすぐ見据えた。


「……我々日本海軍第一機動部隊は、異世界に迷い込んだ。

 ここがどんな世界か、今は理解しきれてはいない。

 しかし――」


 南雲はゆっくりと言葉を続ける。


「――目の前の者が救いを求めている。

 そして、我々には“力”がある」


 草鹿がその言葉を王国語に翻訳すると、室内がざわめいた。


 アリアが顔を上げ、日本語で言う。


「……助けて、くれる……ですか?」


 南雲はすぐには答えなかった。

 だが、その代わりにこう言った。


「まずは、互いにもっと情報を交換しましょう。

 この世界の地理、政治、技術。そして、帝国の戦力……」


 王は深く頷き、はっきりとした王国語で告げた。


「――ザル・フェンドゥ……アリア=メルス」


 草鹿が訳す。


「“王国は、日本海軍と協調する意志があります”」


 アリアは胸に手を当て、震える声で言った。


「協力……します。王国と、日本……一緒に」


 その瞬間、わずかながら双方の表情が和らいだ。



 こうして、戦艦〈比叡〉での初めての“異文化・異言語”会談は終わりを迎える。


 完全に理解し合えたわけではない。

 だが、断片的ながら意思は通じた。

 そして、確かな絆の芽が生まれた。


 ――この出会いが、異世界における第一機動部隊の運命を大きく動かしていくことになる。


 〈比叡〉士官室の机に、王国が持参した羊皮紙の地図が広げられた。

 年季が入り、ところどころに修正の跡がある。アリアが小さな指で地図の中心を示した。


「ここ……王国。海、ここ……東」


 片言ながら、地理を説明しようとしているのが伝わる。


 レグナス王が続けて王国語で語り始める。

「――ヴェル・シェイナ、アリア=ロダン。タルグ・フェンドゥ……」


 草鹿が訳す。


「陛下は“王国はこの大陸の中央南部に位置し、東側はほとんど海岸線だ”と説明されています」


 山口が地図を覗き込む。

「ふむ……海に開けている国か。航路の確保は容易そうだな」


 アリアが続けて指を北へ移した。


「ここ、山……大きい山。山……つづく……ここから、ドラゴン。いっぱい」


 北部を走る巨大な山脈――濃い茶色の線が長く連なっている。

 王国の重臣が王国語で補足した。


「――ガル・ドラン、ケル=フェルデン。アリオス・サル……!」


 草鹿が頷き、訳す。


「“北方山脈は王国と帝国を分ける境界で、古来よりドラゴンの巣とされている”とのことです」


 南雲は地図を眺め、指を山脈の東へ移した。


「では、この東側海岸線……ここも危険なのですか?」


 王が重く頷いた。


「――ラダン・ゼル……フェン=ドラグ・トゥエ」


 草鹿が口を開く。


「“ドラゴンは山だけでなく、時に東の海沿いにも降りてくる。理由は不明だが、この一年で急増している”……と」


 アリアも日本語で補足する。


「港、いくつか……壊れました。人……逃げる」


 その声には痛みがあった。


 山口が眉を寄せる。


「海岸線にも出るとは……完全な空からの脅威だな」


 続いて南雲が、山脈のさらに北――帝国と記された範囲へ視線を移した。


「帝国とは、この山脈の向こう側に……広がっている、と」


 アリアが頷く。


「北、ぜんぶ……帝国。とても……大きい。

 ここから……ここまで……ぜんぶ」


 彼女の指が示す範囲は、王国の三倍はあった。


 王が短く王国語で言う。


「――トゥエ・ガルナ……フェンドゥ=グラド」


 草鹿が静かに訳す。


「“帝国は大軍を持ち、魔導師団を擁します。南へ領土を広げる意思は明白だ”」


 その場に重い空気が流れた。


 南雲はしばし沈黙し、地図を見下ろしながら言った。


「……つまり王国は、

 北は山脈とドラゴン、

 東は海岸線にドラゴン、

 西は大河と湖で国境、

 南は半島状で後退の余地が少ない……」


 アリアは小さく頷いた。


「王国……いま、とても……せまい。

 逃げる場所……すくない」


 その言葉は切実だった。


 草鹿が補足するように言う。


「閣下、王国は四方を自然と敵に囲まれた、いわば“袋小路”のような状態かと」


 南雲は静かに地図を畳んだ。


「世界がどう回っているか、少しずつ見えてきた。

 この地で我々がどう動くか……慎重に考えねばならんな」


 アリアは不安げな瞳で南雲を見つめた。


「日本……この世界、どこか……わかるまで……

 王国、いっしょ……いい、ですか?」


 その問いに南雲は短く答えた。


「互いに助け合う。それがよいだろう」


 会談室に、ようやくわずかな安堵が広がった。


「ではまず、王国の防衛状況を伺いたい」


山口多聞が静かに核心を突く質問を投げかける。

その場の視線がアリアへ向くと、彼女は一度深呼吸し、ゆっくりと言葉を選んだ。


「ワタシたち……王国、兵……すこし。三千……王都、まもる、兵です」


草鹿参謀が穏やかに補足する。


「王都の常備軍は三千名。訓練が行き届いた兵は、その部隊に限られる、とのことです」


山口は真剣な表情でうなずいた。


「装備は?」


アリアは地図を指しながら、懸命に日本語を紡いだ。


「ヤリ……タテ。カワ、よろい。カタい、よろい……すこし。ナイト……だけ」


草鹿が即座に解説を挟む。


「主力は槍と盾。革鎧が大半で、全身を覆う金属鎧は騎士のみ。資源と技術の不足で大量生産は難しいとのことです」


「なるほどな……」

山口の声は低く、だが真摯だった。


アリアは続ける。


「ほか……ノウミン、兵。よぶと……二万? でも……れんしゅう、すくない」


草鹿が即座に訳す。


「領邦軍を徴集すれば総勢二万。ただし民兵が多く、連携訓練が不足しており、大規模戦では統率が難しい、とのことです」


南雲中将は腕を組んだまま、静かに聞き入っている。


アリアは北の山脈を指し、眉をひそめた。


「ドラゴン……くる。ソラ、はやい。ウチ、なげる……とどかない」


草鹿が説明を補う。


「飛行型魔獣――とくにドラゴン種は速度が速く、弓では届かず、対空手段が現状存在しないそうです」


山口がわずかに目を細めた。


「では城の防衛は?」


アリアは両手を胸の前で組み、不安げに言った。


「ジョウ……カベ、つよい。でも……ヨル、みえない。なかま、しらせ……おそい」


草鹿が補足する。


「城壁自体は堅牢。だが夜間の監視や警報体制が弱く、魔獣が現れても迅速な連絡が難しい。伝達手段は狼煙と走り使いのみ……と」


南雲中将は静かに息を吐いた。


「なるほど……情報網が脆弱だ」


アリアは申し訳なさそうにうつむいたが、必死に言葉を続けた。


「ワタシたち……がんばる。でも……ちから、たりない。みなさん……きて、うれしい」


草鹿参謀はアリアの言葉を正確に受け止め、柔らかく訳す。


「――王国は努力している。だが力が足りない。皆様が来てくれたことを心から歓迎している……と」


室内に一瞬、静かな重みが満ちた。


南雲中将はゆっくりと彼女に向かってうなずく。


「……事情はよくわかった。

あなた方を助けられる範囲で、第一機動部隊は協力する」


アリアは安堵したように微笑み、深く頭を下げた。


「アリガトウ……ございます」


草鹿参謀もその横で静かに頷いた。


アリアと国王の一行が礼をして退室すると、比叡の作戦室は一転して重苦しい緊張に包まれた。

扉が閉まった瞬間、南雲中将は静かに椅子へ腰を下ろし、低い声で切り出した。


「……諸君。状況は聞いての通りだ。

我々は、間違いなく“異世界”と呼ぶべき場所にいる」


作戦図の上には、見知らぬ大陸の粗い地図と王国が用いた羊皮紙の資料が広げられている。

地名も、地形も、潮流も――何ひとつ既知の情報と一致しない。


草鹿参謀が軽く咳払いし、三つの問題を簡潔にまとめた。


「現状の主たる懸念は三点。

第一に、“帰還手段が不明”。

第二に、王国より正式な支援要請を受けつつあること。

第三に、当艦隊の保有弾薬・燃料が有限であり、継続行動の限界が存在することです」


山口多聞少将が腕を組み、淡々と付け加えた。


「まず帰還だが……現状、手がかりは皆無だな。

天文観測も星座がまるで違う。潮流も異常。元の太平洋とは完全に別物だ」


航海長が苦い表情でうなずいた。


「緯度計算すら怪しい状態です。

太陽の動きは“似ている”が、決定的に同じではない……帰還のための基準が存在しません」


南雲は眼を閉じ、一呼吸置いてから問う。


「では次。王国からの支援要請をどう判断する?」


山口少将が地図を指さす。


「ドラゴンの襲撃……異世界らしい話だが、実際に零戦が撃墜している以上、現実だ。

王国軍だけでは北方防衛は不可能だろう。

だが、我々の弾薬や燃料にも限界がある」


航空参謀が補足する。


「“確実な総攻撃10回”。

無理をしても12回。

その間に補給手段を見つけられねば、艦隊は漂う鉄の塊になります」


南雲は重くうなずいた。


「つまり……王国を助ければ感謝と信頼は得られるが、長期戦は自殺行為。

逆に王国を見捨てる選択肢は、艦隊の安全を確保しつつも……情報と支援を完全に失う」


草鹿参謀が、地図上の海岸線を軽く叩く。


「王国領内には鉱山が多いようです。

鉄、銅、硝石……資源が得られる可能性は高い。

王国と協調すれば、補給体系の再構築は“ある程度”可能かと」


「ただし、燃料は?」

山口少将が鋭く問い返す。


「それが最大の問題です。

原油の確保が不明な以上、われわれの航行能力には必ず限界が来る」


会議室に重い沈黙が落ちた。

誰もが理解している――燃料は命だ。


最後に南雲中将が静かに結論を述べる。


「……まずは、王国と協力する。

ただし“全面的な戦闘参加”ではなく、情報収集と限定的支援に留める。

帰還の可能性を探りつつ、資源状況を調査する――それが第一機動部隊の生存策だ」


各将兵が静かにうなずき、決意を固めていく。


異世界の海で、第一機動部隊の新たな航海が動き始めていた。


比叡の作戦室にふたたびアリアと国王が案内されると、先ほどとは異なる緊張が室内に漂っていた。

南雲中将は机に広げられた羊皮紙の地図を閉じ、静かに立ち上がる。その表情は決意を秘めつつも、礼節を失わない軍人のものだった。


アリアは胸の前で手を揃え、国王も深く頭を下げた。

「オマチ……しました」とアリアが片言で告げる。


南雲中将は一歩前に出て、まず国王に敬意を示す短い礼を返した。


「陛下、アリア殿。

先ほどいただいた情報を踏まえ、第一機動部隊としての方針が決まりました」


アリアの肩が小さく震える。

国王も静かに顔を上げ、真剣に南雲の言葉を待った。


南雲は言葉を慎重に選びつつ、はっきりと告げる。


「我々は――王国に協力します」


その一言に、アリアは目を大きく見開き、国王の表情には安堵が広がった。


南雲は続けた。


「だが、我々の力には限りがあります。

燃料、弾薬、部品、兵力……いずれも補給手段は未知のまま。

そのため、協力の形は“限定的”なものとなることをご理解いただきたい」


アリアは小さくうなずき、「ワカリ……ます」と言った。


草鹿参謀がその言葉を補足し、丁寧に言い換える。


「――王国の状況は理解した。そのうえで、できる範囲で力を貸すが、現状では長期戦を行える体制ではない、とのことです」


国王は深くうなずき、「その覚悟は出来ておる」と静かに返した。


南雲は二本の指を立て、方針を明確に示す。


① 山岳地帯への偵察の実施


「第一に――北方の山岳地帯への偵察です。

王国を脅かす魔獣の巣、敵勢力の動向、地形構造、風の流れ……これらを確認します。

偵察は主に航空戦力で実施し、必要とあらば小規模な上陸調査も検討します」


アリアは息をのんだ。


「テイサツ……ハイカイ、ソラから……? ドラゴン、きます……あぶない」


草鹿参謀がすぐに補足する。


「我々の航空機は速度も高度もドラゴンを上回ります。

万一の場合は交戦も可能ですが、基本は“回避優先”です」


国王は感嘆したように目を細めた。


「天を飛ぶ強き兵……まこと異邦の軍よ」


南雲は微かにうなずき、次の指を示す。


② 戦闘時の“限局的介入”


「第二に――戦闘が発生した際の対応です。

王国が魔獣や敵国に襲われた場合、我々は“限定的に介入”します。

航空戦力または艦砲射撃で支援は可能です」


アリアの顔が明るくなった。


「アリガトウ……たすかる!」


だが南雲はそこで声を引き締めた。


「ただし――

艦隊の防衛が危険にさらされれば、我々は直ちに撤退します。

王国を見捨てるわけではない。だが、艦隊を失えば今後の協力そのものが不可能になる。

その点だけは必ずご理解いただきたい」


草鹿参謀が丁寧に訳すと、国王は重く、深くうなずいた。


「……無理を申すつもりはない。我が国は貴軍の善意に感謝したい」


アリアもまた、胸に手を当てて言う。


「ワタシたち……みなさん、まもりたい。

デモ……ムリ、しないで。イッショに……がんばる」


その言葉に、室内の空気がわずかに柔らかくなった。



ほどなくして面会は終了し、アリアと国王は深く礼をして船を後にした。

護衛の騎士たちも、どこか誇らしげな表情で彼らを取り囲んでいる。


甲板に戻る際、アリアはもう一度振り返り、ぎゅっと両手を結んで小さく声を上げた。


「ミナサン……ヨロシク、お願いします!」


その声は、比叡の甲板にいる兵士たちの胸に直接響いた。


艦が再び静けさに包まれると、南雲中将は参謀たちに短く指示する。


「……艦内放送を準備する。全艦へ伝えねばならん」



南雲中将の艦内放送


比叡、そして第一機動部隊全艦に、低く威厳ある中将の声が響いた。


『こちら第一機動部隊司令官、南雲である。

諸君、状況はすでに承知の通り――我々は未知の世界にいる』


乗組員たちは作業を止め、固唾をのんで耳を傾ける。


『本艦隊はこれより“王国”と呼ばれる国家と協力し、状況確認のため北方山岳地帯への偵察を実施する。

また、王国が戦闘に巻き込まれた場合、可能な範囲で支援を行う』


ざわめきが一瞬広がる。


『しかし――艦隊の安全を最優先とする。

弾薬も燃料も限られた中で、無謀な戦闘は行わない。

諸君には、これまで以上の冷静な行動と技量が求められる』


声には揺るぎがなかった。


『我々は日本の海軍である。

どの世界にあろうと、その誇りを忘れるな。

以上だ』


短い沈黙ののち、艦内には整然とした動きが戻り、

第一機動部隊は静かに、新たな異世界の作戦へと動き始めた。

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