9.
ゆらゆらと僅かな振動を感じながら、
長い廊下を進むと、見えて来たのは重厚な扉。
…ここかな?
すとん、と床に降ろさると扉はより大きく見える。
…と思ったのも束の間、
扉が開いてすぐに誰かの足音が聞こえ、
数秒前に降ろされた体はすぐに宙へと戻っていた。
「おぉ、メイ。もう大丈なのか?」
「お父様…?」
「どうしたんだ?」
この人が…
あのメイリンが我儘になった元凶であり、
1番甘やかしていたっていう父親ね。
…まぁ、そう書いたのは私なんだけど。
メイリンの深い海のような青い瞳は父親譲り。
ただ、切れ長の目と、瞳と同じ紺色の髪色で、
メイリンとはかなり違う印象だ。
そして、
イケメンとは書いた覚えがあるけれど、
まさかこんなにとは…
「かっこいい…」
これが世に言うイケオジってやつね…!
「ん?」
抱かれた腕もこんなに筋肉質だし…
って、惑わされちゃだめよメイリン!
「ううん!なんでもない」
「そうか…お前に会えず寂しかったよ。
さぁ、席に行こうか」
そのまま、父は私を降ろすことなく、
抱えたままで連れられたのは少年の隣の席。
そっと優しく椅子に降ろされると、
隣にいた少年は心配そうにこちらへ視線を向けた。
「だいじょうぶ?」
「あっ、うん。」
メイリンと同じ、淡いブロンドヘアに青い瞳。
…この子がロナルドね。
作中で美少年とは書いたけど、
コテンと首を傾げる姿はまさに天使のよう。
父親がクールイケメンだとすると、
ロナルドは可愛い系ね。
メイリンと双子というだけあって、
目や髪色がよく似ている。
そんな彼から目が離せずにいると、
突然、反対から、すっと手が伸びてきた。