8.
…眩しい。
突然閉じていた瞼の奥から光が入り込み、
手探りで布団を頭から被るが、それはすぐに剥がされた。
「お嬢様、朝です。起きてください。」
「んー…あと5分」
「今日は皆様揃われての朝ごはんですので、
そろそろ起きないと間に合いませんよ?」
…みんな揃って?
「…そうだ!仲良し作戦っ!」
ガバリと起き上がった私を見て
侍女が驚きの声をあげる。
「仲良し作戦…?」
「あっ、いや…」
…ごめんね、メイリン。
あなた、昨日から混乱しておかしな事を言ってるって
思われちゃってるわ。
言い淀んでる間にも、ベッドの周りでは
朝の支度をするため何やら準備がされていく。
お嬢様になった気分…本当にお嬢様なんだけど。
ぼーっとみんなの動きを観察していると、
昨日お母様と話していた侍女が
ベッドの側までやって来た。
「お着替えいたしますので、手を…」
あぁ、そっか…
侍女に支えられながら、
ひょこひょこと歩くのは何とも慣れない。
それに、
朝からこんなに怠いなんて…
「座りたい…」
「申し訳ありません。もう少しだけ頑張ってください」
「お嬢様、こちらに凭れられますか?」
「ん…」
侍女へ凭れかかりながら、
ただ着せ替え人形のように自身の着替えを見つめる。
…これももしかして、我儘に換算されるのかな。
でも…そんなこと気にしてる余裕がない…!
「終わりましたよ」
「…ありがと」
朝からちょっとした運動をした気分だわ…
これは、先に体力を付けないと…
断罪を待たずに、ちょっとした風邪にも
負けそうよ。
腕だってこんなに細いし…
「それでは、皆様の所へ行きましょう」
「うん。」
侍女に連れられ、部屋を出ると
扉の前で待機していた騎士らしき人に
さっと抱き上げられた。
…おぉ。
これは…悪くないわね。
人前でこんな姿は少し恥ずかしいけど…
今の私は、か弱い子供のメイリン。
気にしてなんかいられない。
いざ、戦場(朝食会)へ!