5.
パラパラと、ノートをめくり
何も書かれていないページを開く。
…よし。
確か、私が書いたストーリー通りであれば、
この世界は、人間界と魔族界の2つの世界が共存して…
いや、共存っていうのは変か。
『人間界』と『魔族界』の文字の間に
書いた共存の言葉にスッと線を引く。
「敵対、と。」
人間と魔族は交わることのできない存在。
魔族の中には知性を持った者もいるが、
その殆どが知性がない魔物で、人間を襲う。
人間が安心して住むためには、
魔法陣が必要不可欠。
「だから、魔法師や魔力が高い人間は、
この世界で重宝されるのよね」
魔力というのは、生まれ持った力で、
遺伝的要因が大きい。
つまり、魔力を持つ親からしか
魔力を持つ子供は生まれないのだ。
極稀に、魔力を持たない親から、
魔力を持った子が生まれるけど、
そんなのはせいぜいヒロインくらい。
明確な身分階級制度が存在しているのもこのため。
身分や将来の職業までもが、
生まれた時点で決まっているから。
そして、貴族階級の子供達は10歳になると、
家庭教師から基礎知識を学び、
15歳で、首都にある学園に通うことになる。
将来、国を支える魔法師や騎士を育てるために。
そして、小説はこの学園に入学する所から始まる。