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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第4章 ???編

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99/100

『紫電』の『女王』VS『暴食』の『獣王』

はいどうもニノハジです〜

第4章の真のボスとの対戦が遂に始まりました!

楽しんでいただければ幸いです!

ではどうぞ!

 攻略法が有る。

 その言葉を聞き不快に感じるでも無く、寧ろディードは歓喜に震えながら言う。

「ほぉ?攻略法……ねぇ?ま!そうじゃなきゃ面白くねぇわなぁ?」


 だがディードは内心、レイの言葉はハッタリだと考えていた。

(何せさっき良いのが入ったからなぁ?手加減しねぇでぶち込んだあの拳。常人なら穴が空くレベルのアレを、モロに喰らってもピンピンしてんのは想定内だが……大分堪えた筈だろ)


 ただでさえ魔力の消費も通常より多いのだ。

 心身共に限界が近く、それ故に油断を誘っているのだろうと。

 それに何より……


「テメェの(えもの)を手放しちまって、何が出来るってぇ!?」

 そう叫ぶと同時に『神性(ちから)』を解放。

 目にも止まらぬ疾さでレイへと飛び込むディード。


(獲った!)

 魔法を発動する暇も与えず、ディードの動きに対応出来ないレイはこの攻撃を回避出来ない。


 ――そう考えていた。


「っ!?」

 拳を繰り出す寸前、ディードの生存本能が最大級の警告を鳴らす。

 それに従い咄嗟に防御体勢に移った瞬間、強烈な衝撃が襲い掛かる。


「ぐうおぉぉぉぉぉ!」

 その威力は凄まじく、木々を巻き込みながらディードを遥か後方へ吹き飛ばし、更にはニイルの張った障壁すら破壊してようやく収まった。


「な、なんだ!?何が起こった!?」

「あのバカ娘が!それは想定外だぞ!」

 初めて見る光景に慄き、狼狽える森人族(エルフ)達。

 反してニイルは呆れと怒りを込めて叫び、結界の再構築を開始する。

 まさか魔法が効かない相手に、自身の奥の手たる魔法を使うとは思っていなかったのだ。

 失敗すれば一気に魔力枯渇で倒れるか、吸収した魔力で瞬殺されてしまうだろう。

 博打に出た弟子を見ながら、結界の強度を上げる事を決意する。


 そんな爆発の中心地に居たディードは、土煙でその姿を確認出来ない。

 しかしレイの()()()を至近距離で喰らったのだ。

神威賦与()』からの情報も、ディードに動きが無い事を伝えていたので、レイは悠然と歩を進める。


 いや、それどころか普通なら即死の状態であるとすら、『眼』は教えてくれる。

 何せ防御に用いた両腕は消し飛んでおり、更に胸部には巨大な穴が空いていたのだ。

 肺や心臓といった生命維持に重要な器官が、完全に消失している状態では、()()()()生きてはいない。


 だが、そんな状態に関わらずディードは死んではいない様で。

 レイが視ている間も、身体の修復が物凄い勢いで行われていた。

 どうやら吸収した魔力が残っていれば、即死すら治せる様だとレイは考える。


「……ハッ!?なんだ!?一体何が……いや、まさか……」

 程なくしてディードが意識を取り戻す。

 あらかた修復されていたが、自身の身体を確認し何が起こったか確認する。

(強化された知覚ですら、何をされたか見えなかったぞ!?なのにこの威力。つまりこれはあん時見た……)

「ご推察の通りよ」

 混乱するディードの耳に、レイの声が届く。

 レイの歩みはとある場所、自身の愛剣が落ちている場所で止まり、剣を拾いながら続けた。

「さっきのは海でも見せた『電磁加速魔弾(レールガン)』よ。あの巨体を貫く威力だもの。流石の貴方も、ひとたまりもなかった様ね?」


 疲労の色を隠し切れず、しかし勝ち誇った笑みを浮かべるレイ。

 それに反抗する様に、ディードも笑いながら言う。

「ふざけろ。ありゃ魔法の筈だろうが。魔法は俺には効かねぇ。テメェ、俺を騙してたのか?」


 その言葉を待っていたとばかりに、レイは嬉々として語る。

「いいえ?騙してもいないし、嘘でも無いわ。あれは正真正銘の魔法よ」

「なら何故……」

「それが貴方の弱点。どうやら貴方の『神性(ちから)』は、一度に大量の魔力を吸収しきれない様ね?だから高威力の魔法は無効化出来ず、貴方に届くのよ」


 レイの言葉に改めて自身を確認するディード。

 確かに先程の攻撃で、この決闘で得た魔力の約3分の1程度を吸収していた。

 しかしその代わりに、今まで吸収した魔力は全て先程の治療に使われてしまい、収支でいえばマイナスであった。


(重要な器官の修復には大量の魔力を使うとはいえ、まさか全部持ってかれるとはな。だが問題はたった一撃、しかも吸収しきれなかった余波でこの威力。更にそれに迫る魔力を吸い取れるたぁ……どんだけ魔力が込められてんだよ)

 そしてそれを可能とするレイの魔力保有量に、改めて驚嘆する。


 ようやく立ち上がれるようになった身体を見下ろし、対策を講じるディード。

(かなりの魔力を回復出来るとはいえ、次喰らえば治癒しきれねぇ。恐らく死にゃしねぇだろうが、確実に戦えなくなるだろうな。弾速も速すぎて今の状態じゃ撃たれてからじゃ対応出来ねぇ。となれば……)

 次なる一手を決め、眼光の鋭さが増すディード。

 それを鋭敏に察知し、レイも剣を構え直した。


「確かにその威力は脅威だ。自分で受けてみて改めて痛感したぜ。だがな?それも……当たればの話だ!」

 そうして叫び、先程と同様に高速でレイへと迫る。

 だが魔力が減った事により、その速度は数段遅い。

 しかし代わりに、森を縦横無尽に移動しながらの接近だった。

 それはつまり、レイと同じ高速移動による一撃離脱の戦法である。


「こうして撹乱しちまえば、当てられねぇよなぁ!?」

 あらゆる方向から、ディードの声が響き渡る。

 そして四方八方から、目にも止まらぬ速さの攻撃がレイへと迫った。


(やっぱりそう来るわよね!)

 それに『雷装』を展開して対応するレイ。

 本来なら余裕で対応出来る筈のディードの速度だが、レイの魔力が少ない事。

 そして何よりディードの攻撃を防ぐ度に、少しずつ『雷装』を奪われる為、防御で手一杯になる。


(このままじゃジリ貧になるだけだわ!何とか隙を作らないと!)

 そう考えたレイは、ディード同様高速で動き回る。

 そこそこ大きい結界内を、所狭しと駆け抜ける2人。

 最早常人には2人がどこに居るのかすら、完全に見失う領域にまで達していた。


「なんだぁ!?逃げ回るだけかぁ!?俺への攻略法はその程度かよ!」

 挑発する様に叫ぶディードに、それを無視して打開策を練るレイ。

(このスピードの相手を狙える程、まだ『電磁加速魔弾(アレ)』は使いこなせていない。でもこのままじゃいずれ追いつかれるか、私が魔力切れを起こしてしまうわね!)


 実際『雷装』が削れた瞬間、レイの速度が落ちる。

 その隙を狙ってディードは的確に攻撃を入れ、更にディードの速度は徐々に増していた。

 今は何とか捌けているが、いつかこの均衡が破られるだろう事は想像に(かた)くない。


(確実に『電磁加速魔弾(レールガン)』を当てる為の隙を!何としてでも作り出す!今持ち得るモノ、全てを使え!)

 思考をフル回転させ、更に全力で『神威賦与(ギフト)』も使い、ディードの動きを観察する。

(相変わらず『神性(アルカヌム)』は視えない。なら弱点を探すのでは無く、彼の動きを見極める!)


 修行の成果により、一流程度の動きなら『神威賦与(ギフト)』が教えてくれる情報により、次の動きを予想出来る。

 しかしディードはその動きが速すぎる為、その眼でも動きを追う事が出来ない状態であった。


(でも勝つ為には彼の動きすら視える様にならないと!些細な動きすら見落とさない!)

 集中力を極限まで高め、必死にディードを視続けるレイ。

 ギリギリ視える動きと、今まで培ってきた経験と勘で致命傷だけは受けずにいた。

 しかし無情にもディードの速度がレイに並び、そして超える。


「捉えたぜ!」

「ぐぅ!」

 強烈な蹴りが剣の上から叩き込まれ、衝撃により吹き飛ばされる。

 地面に叩き落とされたレイは素早く立ち上がるが、ディードの嵐の様な攻撃によりその場に縫い付けられる。


(この猛攻の中じゃ、『雷装』の出力を上げる事すら出来ない!)

 動きが鈍くなるレイに対し、ディードの動きはキレが増し、次第に追い詰められていく。

 出血も増え、意識が朦朧としてきたのか、段々と周りの音も聞こえなくなってくるレイ。


(これ以上は無理か……流石に本気の『神性保持者(ファルサ)』相手は厳しかった様だな)

 ニイルも現状を鑑み、終了の合図を出そうとする。

 見える者は誰もが、ディード本人すら勝利を確信していた。


 そう、()()()1()()()()()()


「……視えた」

 ディードが放った拳がレイに届く寸前、微かに呟いた一言。

 囁きの様な声、だが確かにディードの耳には届いた。

 その瞬間、全身に悪寒が走る。


 それが正しかったと証明するかの様に、レイは最小の動きでディードの拳を避け、そして。


「『制限解除(リミットオーバー)』!」


 そうして極限の集中力と執念によりゾーンに至ったレイが、反撃の咆哮を上げるのだった。

如何でしたでしょうか?

戦いはもう少し続きますので最後まで応援してくれると嬉しいです!

では次回、お会いしましょう!

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