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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第4章 ???編

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98/100

違和感

はいどうもニノハジです〜

決闘が本格的に始まります!

勝負の行方はどうなるのか!

是非楽しんでもらえたら幸いです!

ではどうぞ!

「首領殿がただの人間程度に負ける筈が無いと思っていたが……やはりバケモノの貴様が連れ歩いてるだけあるという事か?」

 と、苦虫を噛み潰した様な表情で言う長老。

 他の森人族(エルフ)達も驚愕に顔を歪ませながら、目の前の光景に見入っている。


 そして言われた当人であるニイルは、長老を一瞥するだけで視線を戻し、無表情で返す。

「そうやって他を見下してるから……人間にすら迫害される様になったんだと、お前達はいつになったら気付くのかね」


 その言葉に、咄嗟に言い返そうと口を開く長老だったが、目の前の戦闘を目の当たりにし、言葉を紡ぐ事が出来ない。

 いやそもそも、長老も他の森人族(エルフ)達も。

 目で追う事すら出来てない時点で、目の当たりと言っても良いのかどうか怪しいところでは有るのだが。


 それ程までにレイとディードの決闘は、常軌(じょうき)(いっ)していた。


(高い魔法の素質に胡座(あぐら)をかき、停滞を続ける森人族(エルフ)達と。数も技術力も常に上がり続ける人間達。どちらがより優れている種族か、考えるまでも無いだろうが)

 内心苛立ちながらニイルは思考する。

 もちろん、全ての森人族(エルフ)がそうだとは思っていない。

 しかし、この『森』に住まう者共は軽蔑に値すると、今も昔も変わらず考えていた。

 このままでは近い未来、ここの住人は人間に搾取される側になるだろうとも。

 その証拠を現在、レイが体現していた。


 圧倒的速度でもって一撃離脱を行うレイ。

 彼女の最も得意とする戦法であり、かつディードも先程の速度を出せないのか、防戦一方の状態に見える。


 確かに見る者が見れば、レイが優勢だと考えるだろう。

 だが、ディードの『神性(ちから)』がその現実を否定する。


 一撃当たる事にその傷は瞬時に回復し、その攻撃が次第にかすり傷しか負わせる事が出来なくなり、そして今では完全に防がれるか回避されている。


(普段より魔力が減り続けるレイに対し、近付くだけで能力が向上していくディード。いつかはこの状況も逆転されてしまうだろうな)

 そう分析するニイルだったが、決して悲観している訳では無い。

 寧ろ、人間でここまで戦える事が出来ている時点で凄まじいのだ。

 現に、レイのそのスピードは衰えること無く未だ上がり続け、お互い決定打を与える事が出来ていない状態が続いている。


(今のレイなら、この『森』の奴らを殲滅するのも容易いだろうな)

 普通の人間であったレイが、ここまでの力を付けて亜人種の、更にその1番の実力者と拮抗している。

 ニイルはこの光景に、人類への希望を見出さずに居られなかった。


(いつか人間は亜人種を、いや、()()()()も越えて行くだろう。だが……)

 その片鱗を先の『原初の海獣(ケートス)』で、そして今も魅せてくれる自慢の弟子に。

 しかし以前から感じていた違和感、それだけがニイルの中に、しこりの如く残り続けるのであった。



「クソが!まだ上がるのかよ!飽きさせねぇヤツだなぁ!テメェは!」

 疑問は戦っている当人だからこそ明確に、ディードも感じ取っていた。

 悪態をつきつつ、しかし満面の笑みで拳を振るう。

 だがその拳は虚しく空を裂き、逆に神速の刃がディードへと迫っていた。


「っぶねぇ!良いぜ良いぜ!もっと上げてこうや!」

 その剣を間一髪で避けながら、ディードはレイの動きを観察する。

(アイツの纏ってる魔法に、通常じゃ有り得ねぇ程の魔力が込められてやがる。お陰で、一瞬でも接触すれば俺の能力(ちから)もかなり増すが……そのせいでアイツの持久力もかなり有るのが厄介だな。どんな魔力量してんだよ)


 続け様に放たれた斬撃を強化した身体で受け止め、あるいは受け流すディード。

 その際に纏っていた魔法を吸収し、レイの動きが鈍る。


(極めつけはこれ……だ!)

 刹那の隙を突いたディードの拳は、瞬時に再展開された魔法により敢え無く避けられる。

 そうしてまた、怒涛の攻めが再開されるのだった。


(アイツの魔法再展開が速すぎる。この高速戦闘の最中(さなか)だぞ?俺は魔法に詳しくねぇが、そんな事が可能なのか?)

 強者を求めるその性格故に、ディードは人間の魔法師とも、更に森人族(エルフ)とも戦った事があった。

 その中にはレイの様に、一瞬で魔法を展開出来る者も存在した。

 しかしその者達はその場から動く事も出来ず、全員が固定砲台と化していたのだ。

 移動しながら、特に人間には到底辿り着けない速度で移動しつつなど、ディードの認識では有り得ない事だと考えていた。


「だがテメェはやっぱ違うなぁ!楽しませてくれるぜ!」

「別に貴方を楽しませたい訳じゃ、無いのだけれど!?」

 そう言いながら掠める刃に、自然と笑みが零れるディード。

 それに対し、嫌そうに言うレイに思わず吹き出してしまうディードだったが……


(だがアイツの纏ってる雷の魔法……か?あれの展開はいくら何でも速すぎやしねぇか?)

 ()()()()()()()()()()()()()()かの様な速度だと、内心(いぶか)しむ。


(ちと、試してみるか)

 そしてディードは次なる一手を考えながら、拳を振るうのだった。



(おかしい……いくら何でもスピードが遅過ぎる)

 そしてレイの方でも、ディードとは違う疑問を抱いていた。

 それはこの決闘が始まってから、()()()()()抱いていた違和感。

(確かに彼の『神性(ちから)』は厄介だわ。一瞬でも気を抜けばそれで終わり。でもそれにしたって()()()()


 レイは初撃以降、極力魔法を吸い取られない様に一撃離脱を繰り返し、決定打を決められるタイミングを狙っていた。

 その所為で膠着(こうちゃく)状態に陥り、持久戦の様相(ようそう)(てい)しているが、このままでは負けるのはレイだろう。

 何せ、一撃与える度にこちらの『強化魔法』の全てと『雷装』の少しを持っていかれるのだ。

 そしてその度、ディードはレイの動きに対応しつつある。

 今では魔力消費を抑える為に『強化魔法』を使用せず『雷装』のみで戦っていた。

 そんな肉体に多大な負荷を掛ける状態が長続きする筈も無く、魔力と体力を大幅に削りながら戦っているのが現状だ。

 そしてレイの考えが正しければ……


(海での戦いで得た魔力があれば、拮抗すらしない筈!)

 レイが感じた違和感、それは『原初の海獣(ケートス)』を取り込んで得た魔力を使っていないのでは、というものだった。

 何せレイから見てもかなりの魔力量だったのだ。

 実際、戦闘直後にディードも力が有り余っていると証言していた程。

 そんなモノを使われでもしたら、もしかしたらディードが圧勝していたかもしれない、そう考える。


 そしてその真実が示す事は1つ。

(明らかに手加減されているって訳ね。腹立たしいけれど、でも現状でもこのままでは負けるのは目に見えてる)


 一刻も早く状況を好転させなければ。

 そんな(あせ)る気持ちが剣筋に乗ったのか、些細な隙を感じ取ったディードが勝負に出る。


「今!」

 ディードが剣を弾いた際に体勢を崩したのか、()()()()()()()()()()()が生まれた。

 本来なら誘いだろうと警戒する筈のレイだったが、(はや)る気持ちからか、『雷装』で一気に突っ込んでしまう。

 手加減されている事に対する怒りと、今なら『雷装』の速度に付いて来れない筈、そんな考えで剣を真っ直ぐに突き刺し、狙い違わずそのままディードの腹部を貫いた。


(このまま横薙ぎに斬り裂く!)

 相手がディードで無ければ、体が上下に分かたれ殺してしまう攻撃も、今は気にせず。

 剣を握る手に力を込めたレイだったが、しかしその意図に反してディードを貫いた剣は微動だにしなかった。

「!?」

「捕まえたぜ!」


(しまった!)

 瞬時に自身の判断ミスを悟ったレイが魔法を展開。

 剣を手放し、防御しつつ大きく後方へ飛び退る。


「ッラァ!」

「ぐふっ!」

 しかしそれより速く、ディードの拳がレイの防御を抜けて腹部へと突き刺さる。

 苦悶の声と共に、後方へ吹き飛ばされるレイ。


「まだまだァ!こんなもんじゃ済まさね……なんだ?っがぁぁぁぁ!」

 追撃の為、1歩踏み出したディードだったが、腹部に刺さったままの剣から電撃が迸り、全身を内部から焼いていく。


「っだあ!クソが!やってくれるじゃねぇか!」

 ふらつきつつ剣を投げ捨て、『神性(アルカヌム)』で回復を始めるディード。


 実は剣を手放す瞬間、雷魔法を装填していたのだ。

 先の『原初の海獣(ケートス)』戦にて判明したディードの弱点。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()、レイはこれを咄嗟に利用したのだった。


「おえっ!ゲホゲホ!」

(防ごうとした腕を掻い潜って的確に一撃入れてきたわね……咄嗟の『強化魔法』も全部剥がされてしまったけれど、お陰で気絶せずに済んだわ)

 しかし追撃を免れたといっても受けたダメージは大きい。

 何せ今のディードは、レイの剣技を正面から弾く程の肉体硬度なのだ。

 その拳を正面からモロに食らい無事で済んでいるのは、咄嗟に発動した魔法のお陰だろう。

 (うずくま)りながら息も絶え絶えなレイは、痛みを堪えながら必死に思案する。

(内部からの攻撃なんて本来なら不可能。こんな騙し討ちみたいな技も二度と通用しない筈!何か策を……っ!)

「オイオイ!まさかこれで終わりじゃねぇよな?」

 レイが1つの事実に気付いた時、ディードから声が飛んでくる。


 自身に治癒魔法を施しつつ立ち上がるレイに、更にディードは続けた。

「そうだよなぁ!?ここからが楽しいんだからよぉ!ようやく身体が温まって来たとこなんだ!こんなんで終わってくれるのよ!?」


 そう言って拳を鳴らすディードに、だがレイは不敵な笑みを浮かべ。


「そう?なら早く本気を出しなさい?なにせ……」


 こう言うのだった。


「貴方の攻略法は、既に見つけたのだから!」

如何でしたでしょうか?

白熱してんな〜……(他人事)

それを少しでも感じてもらえてたら嬉しいのですが……

次回も白熱展開の予定なのでお楽しみに!

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