決闘
はいどうもニノハジです〜
急展開が続いていますが、皆様ついてこれていますでしょうか?
楽しんでもらえてるか常に不安ですが、これからも頑張りますので応援よろしくお願いします!
森人族達に案内されるまま森を進む一行。
少し歩いた後辿り着いたのは、木々が無い開けた場所だった。
「ここは俺達が訓練で使う場所だ。ここなら多少派手に暴れても問題無い」
案内役の森人族が言う。
確かに周囲を見回してみると、不自然に地面がえぐれていたりと、荒れた箇所が見受けられた。
だが、訓練を行う程度なら大丈夫でも、これから行うのは決闘だ。
更に言えばバケモノ同士の、である。
それに不安を感じていたレイだったが、察したのであろうニイルが先んじて口を開いた。
「私が結界を張るので、2人とも心置き無く暴れなさい」
ニイルがそう言って魔法を展開する。
一瞬にして広場を覆う程の結界が生まれるが、それにディードが苦言を呈した。
「あ?小さすぎやしないか?こんなんじゃ窮屈でしょうがねぇだろ」
「貴方達2人共、近接戦闘タイプでしょうが。ならそんなに距離は要らないでしょう?そもそも観客が居るんですから、走り回られたら観戦出来ません。それと……」
ディードの文句を受け流しつつ、半眼で睨み返すニイル。
「分かっていると思いますがディード。貴方はくれぐれもこの結界に近付かない様に。故意に近付いた場合は失格と見なしますからね」
「チッ!わぁってるようるせぇな」
ニイルの小言が続きそうだと思ったのだろう。
舌打ちしつつ素直に言う事を聞き、結界内に入っていくディード。
「全く……あぁ、それとレイ」
それを見送った後、レイも入ろうとしたのだがニイルに呼び止められる。
「色々言いたい事は有りますが、お説教は後にしましょう。今は手短にアドバイスだけ。良いですか?最初から全力の、短期決戦で行きなさい。でなければ敗北は必至ですよ」
「そんな事分かって……はい」
「よろしい。では頑張りなさい」
レイもディードの能力を目の当たりにしているので、対策は当然考えていた。
それ故にニイルの言葉にも口答えしようとしたのだが、呆れを含んだ半眼で睨まれ、大人しく引き下がる。
そんなレイの前に、今度はランシュが現れる。
彼女は相変わらずの無言だったが、心配の色を瞳に宿し、耳と尻尾は元気無く垂れ下がっている。
そんな珍しいランシュに思わずレイは笑みを浮かべ、そのまま強く抱き締めた。
「勝手に話を進めてごめんなさいね?でも安心して?負けるつもりは毛頭ないから」
驚いた様に固まるランシュへ向けて、そう声を掛けるレイ。
その言葉はランシュの心身を解きほぐした様で、力強く抱擁を返してきた。
それに満足そうに笑い、次いで後ろに控えていたフィオに視線を向けるレイ。
「応援、お願いね?」
そう言うレイに、ようやく少しだけ笑顔を取り戻すフィオ。
そうして最後にニイルを見やり。
「征ってきます!」
そう告げて、結界の中へと入っていくのだった。
「なんだ?作戦会議はもう良いのか?」
レイが中に入ると、ディードがそう声を掛けてくる。
その顔はまるで肉食獣の様に凶暴で、そしてとても楽しそうな笑みをしていた。
(本当に戦闘狂ね)
完全に自身を棚上げにしつつ、呆れた表情でレイが答える。
「作戦会議をしたところで、ほとんど意味なんて無いでしょう?貴方への相性なんて最悪なのだから」
そう言って剣を構えようとするレイに、ディードの視線が鋭くなる。
「あ?じゃあテメェはこの戦い、ハナから負けるつもりだってのか?」
若干の怒りを含ませそう言うディードに、今度はレイが怒りを込めつつ答えた。
「馬鹿にしないでくれる?言ったでしょう?私の今後の為にも、ここで戦い、そして勝つ必要があるの。貴方程度に負ける訳にはいかないのよ」
剣を突きつけながら挑発を返すレイ。
それにディードが笑いながら言う。
「ハハッ!言うじゃねぇか!俺程度と来たか。随分舐めた態度だが、その心意気は嫌いじゃ無ぇ」
そうして拳を構えるディードだったが、当然レイはディードをその程度と軽んじた事は無い。
確実に自身より格上だと理解しているし、レイ達魔法師にとっての天敵だと考えている。
だが敢えてその言葉を使う事で挑発し、相手に本気を出させる事と、何より自分を鼓舞する事が目的であった。
ディードもそれを理解しているのだろう。
レイに対し本気で怒る事もなく、変わらず笑みを浮かべていた。
そんなディードが愉快そうに続ける。
「確かに強くなるんなら実践が1番手っ取り早いわな?本当なら殺し合いの方が1番良いんだが……」
「そんな事許す訳無いでしょうが。そうなる前にちゃんと止めますからね?」
「へぇへぇ分かってんよ」
冗談で言ったのだろうディードの提案を、ニイルが食い気味に却下する。
拗ねた子供の様な態度をとるディードを半眼で睨みつけるが、すぐに諦めて言葉を続けた。
「ですが、即死で無ければ私が治しますので。お互い存分に戦う様に。勝敗は相手を戦闘不能にするか、降参させるかのどちらか。故意に結界の外に出ても失格です。異論は有りますか?」
「いいえ」
「無ぇな」
2人がそう答え、互いの緊張感が一気に高まる。
全員が固唾を呑んで見守る中、始まりの合図であるニイルの声が響き渡った。
「では、始め!」
「ハア!」
……瞬間レイが『雷装』を展開。
ディードに何かさせる暇を与えず斬り付け、その衝撃でディードは後方へと吹き飛ぶ。
木々を薙ぎ倒しながら土煙の中に消えるディード。
「な!?」
「今……何が起きた!?」
驚きの声をあげる森人族達。
彼らには何が起きたのか、全く見えなかったのだろう。
たかが人間だと侮っていたのも有るが、純粋にレイの速度に対応出来る程の実力を持っていなかった事の証左であった。
だがしかしニイル達、見えていた者の反応は違う。
「クソ!予想以上ね……」
特にレイは苦悶の表情でそう呟き、ふらつきかけた脚に力を込め直す。
(たった一瞬……その刹那の間に『強化魔法』の全部と『雷装』のほんの少しを持っていかれた!しかも剣が当たる寸前、自ら後ろに飛んでいたわね。まさか能力無しで『雷装』に反応するなんて……)
ニイルが言っていた通り、ディード相手に長期戦は出来ない。
何故なら純粋な身体能力の差、そしてそれを埋める為の魔法を使用しなければ、戦いにすらならないからである。
しかしディードはその魔法を吸収し、己の力へと変える事が出来る。
相手は身体能力が上昇し続けるが、対してレイは魔力の消費も倍、更に得意な魔法も意味を成さないという、圧倒的不利な状態であった。
それ故の短期決戦。
一撃必殺を狙ったその斬撃は、しかしディードの両腕を切り落とすだけに留まってしまった。
そして更にレイの魔力を吸われたという事は……
「危ねぇ危ねぇ!勘に従ってなけりゃ、今頃やられてたかもしれねぇなぁ?」
「チッ!」
土煙の中から姿を表したディードが、楽しげに言う。
その両腕は綺麗に肘から先が無くなっていたが、瞬きする間に生え、傷も最初から無かったかの様に完治していた。
これには思わず舌打ちが出てしまうレイ。
(そういえば、初めてランシュと戦った時も『雷装』に反応していたわね。全く……獣人族の勘は厄介過ぎるわ!)
ニイル達と出会ったばかりの時も、ランシュとの模擬戦で『雷装』を破られていた事を思い出すレイ。
あの時も勘で対応したとニイルが告げていた。
身体能力も然る事乍ら、その勘も凄まじいものだと、改めて驚嘆する。
「んじゃあ次はこっちの番だ!これで終わって、くれるなよぉ!」
(!?疾……!)
そんなレイを当然ディードは待ってくれず、裂帛の気合と共に殴り掛かって来る。
だがそのスピードが、尋常では無い程に速い。
離れていた距離は瞬時に詰められ、気付けばレイの目の前に拳が迫って来ていた。
爆発音の様な音と共に周囲を襲う暴風。
それはディードの拳圧が生み出した物だったが、当の本人であるディードはあらぬ方向を見て、不敵に笑っていた。
「へぇ?これを避けるたぁ、やるじゃねぇか」
「ハア!ハア!ハア!」
その視線の先、そこには咄嗟の対応と死への恐怖で、息も絶え絶えのレイが立ち尽くしていた。
左の頬には一筋の切り傷が付いていたが、それ以外の傷は見当たらない。
だが、そこから流れ出る温かな血液が、先程の危機を物語っている。
(咄嗟に『雷装』の出力を上げたのが、あとほんの少しでも遅かったら……私の頭は吹き飛んでいたかもしれないわね。掠っただけでこの威力。スピードもパワーもさっき迄と桁違いだわ)
息を整えつつ剣を構え直すレイ。
そんなレイを待つ様にディードはゆっくりと構え直し。
「さぁ、祭りはまだまだこれからだ!もっと楽しもうぜぇ!」
そう捕食者の様に吠えるのであった。
如何でしたでしょうか?
遂に始まったディードとのタイマン!
戦闘狂同士の戦いはどう決着を迎えるのか!
ぜひお楽しみください!




