平行線
はいどうもニノハジです〜
新たな幻想神種の気配!?
それにレイ達はどう動くのか!
楽しんでいただければ幸いです!
ではどうぞ!
「ここに居るんだろう?『幻想神種』が」
そのニイルの言葉に、思わず辺りを見回すレイ。
しかし特に変化は感じられず、そもそも今の『神威賦与』では『幻想神種』は視えない事を思い出し、唇を噛む。
そんなレイ見て、苦笑を浮かべながらニイルは続ける。
「それならば全ての辻褄が合う。何故ここだけ特別な扱いを受けているのか。そもそもここ数百年で、何故この国がこれだけ栄える事が出来たのか。もちろん、ディードの手腕もあるのでしょうが、『幻想神種』の後ろ盾があればそれも容易……」
「黙って聞いていれば!」
それに突然長老が叫び、ニイルの言葉を遮る。
驚くレイを他所に、長老は続けた。
「先程から我が神聖な御方を『幻想神種』などと、貴様らの分類に括るでない!あの御方が居たからこそ、我らが、いや!この国がここまで大きくなる事が出来たのだ!それを貴様の様な下賎な者が語るでない!」
興奮冷めやらぬ様子でそう語る長老。
しかしそれを見ても、ニイルは一笑に付すのみだった。
「やはり居るじゃないか。お前達がどう思ってようがこちらには関係無い。ただでさえ『幻想神種』とはほぼ全員、多かれ少なかれ因縁が有るんだ。そんな奴らが居る場所に、わざわざ長居する理由が無い。用が無いなら帰らせてもらうぞ」
そう言って踵を返すニイルの前に、道案内をした森人族が立ち塞がる。
それにニイルの視線が鋭くなり、口を開こうとしたその時、先んじて長老が話し始めた。
「貴様の様なバケモノやそこの下賎の子など、こちらから願い下げじゃ。どこえなりとも失せるが良い。ワシらの用はただ1つ。そこな娘よ」
「え?」
「何?」
そう言い指を指す長老。
レイとニイルが驚きのあまり声を上げ、その視線の先を見る。
その視線の先には……
「……?」
困惑した表情を浮かべるランシュが居た。
ニイルでさえ予想外の展開だったのだろう。
訝しげな表情を浮かべ、長老を問い詰める。
「何故ランシュなんだ?お前は以前にも会っただろう。その時にも言った筈だ。この2人、特にランシュは、この場所との関わりは全く無いと」
「それは覚えておる。だが今回はそれとは全く関係無い話よ。我らが神が、そこの娘に会いたいと申しておる。それ故に呼び出したまで」
我らはお止めしたのだが、と、渋々といった表情でそう締める長老に、尚も疑念が募るニイル。
「ならきちんと止めろ。俺達の意見は一致している。お前達は会わせたくない。そして俺達も会いたくない。ならこの話は終わりだ」
「そ、それはそうだが……だがあの御方が望まれているのならば……」
「ならばソイツ自身が頼むのが筋じゃないのか?よく知らん奴の頼みを聞く義理は、こちらには無い」
そう言って話を切り上げようとするニイルに、長老が怒鳴る。
「あの御方は今眠ってらっしゃる!それ故にワシらがこうして動かざるを得んのだ!」
その一喝を受けて、ニイルは呆れた表情を浮かべため息を吐く。
「なんだ。お前達の独断じゃないか。なら余計に会う事など出来るものか。もし仮にソイツが俺の敵だった場合、戦場はここになるんだ。そうなったら、お互い百害あって一利なし。それはお前にも分かっているんだろう?」
「……っ!」
ニイルの言葉は的を得ている様で、悔しげに口を噛む事しか出来ないでいる長老。
そんな長老を見やり、今度こそこの場を立ち去ろうと歩き始めるニイルの前に……
「貴方もですか?ディード」
今度はディードが立ち塞がった。
「悪ぃな。だが、いけすかねぇ連中だがアイツらも俺の国の民だ。そしてあの『幻想神種』は獣人族にとっても偉大な存在でな。そんなヒトに恩を少しでも返してぇのよ。だから少しだけ、融通を利かせてくれねぇか?」
そう言い頭を下げる殊勝なディードに、ニイルも少し毒気が抜かれた様で視線の鋭さが薄れる。
だが先程ニイルが言った様に、下手をすればここで戦争になるかもしれないリスクを孕んでいるのだ。
そう簡単に引き下がる事はニイルにも出来ない。
「ならもし私達が敵同士だった場合、どうするのです?下手をしたら、この国ごと消滅するかもしれませんよ?」
「あのヒトに今、そんな力は無ぇ……筈だ。海での『原初の海獣』と比べて、存在感は同じだったが、息が詰まるような威圧感は感じなかったしな」
「なっ……!ディード!貴様!」
ディードの言葉に、思わずといった様子で長老が叫ぶ。
それに構わずニイルは続けた。
「では、この機会に乗じて私達がその『幻想神種』を討とうと考えていた場合はどうするのです?」
しかしその言葉に、寧ろディードは上機嫌に笑い、言った。
「そん時ゃテメェらを殺してでも止める迄さ。テメェらとはちゃんと戦ってみたかったしな?」
「ほう?私達4人相手に勝てると?」
「テメェらこそ、俺の国に居て生きて帰れるとでも?」
そして暫し無言で視線をぶつけ合う2人だったが、先に折れたのはニイルの方だった。
「はぁ……せめて相手の特徴位は教えてくれませんか?そうすれば私達も会える存在かもしれません」
「そりゃ……」
「ならん。あの御方の敵となる得ると分かった以上、不用意に情報は教えられん」
だがここで長老が待ったをかける。
それで話は振り出しに戻ってしまった。
「そもそもお前達が余計に話を拗らせているんだ。少しは黙っている事を覚えたらどうだ?」
「ワシらとてあの御方を守らねばならん立場。そもそも貴様が過去に行った所業を思えば、警戒するに越したことはないであろう?」
「それはお前達が……!」
そうして再び口論が始まりそうになった時、レイが1歩進み出て口を開いた。
「なら決闘で決めましょう?」
その言葉は全員へと響き渡り、そして少しの間、全員の思考を止める程の威力を有していた。
「はい?レイ、何を言っているんです?」
代表して、ニイルが困惑顔で問う。
他の者達も、全員がニイルと同じ表情を浮かべていた。
それを無視してレイは語る。
「だってこのままじゃ平行線だもの。お互いが守りたいモノを持ち、その為に衝突している。なら明確に白黒つけないと、どうしたって遺恨は残るわ。だったら、ここで決めてしまった方が早いでしょう?それに……」
そしてディードを見据え、レイは続けた。
「私の目的の為にも、貴方とは戦ってみたいと思っていたのよね」
「貴女まさか……最初からそのつもりで?」
困惑しつつそう問い掛けるニイルに、苦笑を浮かべるレイ。
それにニイルは盛大にため息を吐いた。
「良いねぇ!俺も同感だ!常々テメェらとは戦いてぇと思ってたんだよ!」
全員が未だに困惑する中、ディードだけは凶暴な笑みを浮かべ、レイに同調する。
そうする事で段々と、特に森人族側から賛同する声が上がり始めた。
「確かに、ワシらの中で1番の強者である首領殿なら、ワシらも文句は無い。だがその相手がそこなバケモノでは……」
「あ?俺相手じゃ不安だってか?」
代表して口を開いた長老に、ディードが噛み付く。
だがそれにレイは否を返した。
「勘違いしないでちょうだい?相手はこの私よ。貴方達との因縁を知らない、ただの人間なら、問題無いでしょう?」
「むう……」
それに長老は思わず口を噤む。
だが代わりに今度はニイルが静止の声を上げた。
「待ちなさい。貴女の意思は尊重したいですが、それにしたって相手が悪過ぎます。貴女との相性は最悪なんですよ?ここは私が……」
だがニイルの言葉を遮り、レイは首を横に振る。
「ごめんなさい。貴方の懸念は全て分かっているつもりよ。でもどうしても……『柒翼』と真っ向から戦ってみたいの。今後の為に」
そう力強く主張するレイに、何度目か分からないため息を吐くニイル。
フィミニアでの時もそうだったが、レイは意外と頑固である。
特に自分が強くなる為だったら、余程の事が無い限り止まることは無い。
多少の無茶どころか、かなりの無謀でも得られる物があると感じたら、どこまでも突っ走ってしまうのが玉に瑕だと、ニイルは常々思っていた。
(強さへの渇望……それがこの子の強みでもあり、弱点でもある。分かってはいましたが、まさかここまでの戦闘狂に育ってしまうとは……育て方を間違えましたかね?)
その理由の1つに、ニイル達に追いつく為というのも多分に含まれているのを自覚していないニイル。
そんな彼にレイは笑いかける。
「そもそも、貴方が出たんじゃ向こうも納得しないもの。ここは私が適任よ。それに……」
そして、傍から見ても分かる程の闘志を目に宿し、言うのだった。
「私をただの人間だと侮った事、後悔させてやるわ」
こうしてバケモノの弟子は遂に。
初めて正々堂々と、本気の『柒翼』に戦いを挑むのだった。
如何でしたでしょうか?
レイがどんどん戦闘民族みたいになってるwww
まぁ、彼女は若いから暴走しがちなんですよ……
それに彼女なりに色々考えているでしょうから、広い心で見てあげてくださいwww
今後ともよろしくお願いします!




