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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第4章 ???編

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長老

はいどうもニノハジです〜

遂に『森』へと辿り着いたレイ達。

果たして彼女達に待ち受けるものとは!?

そんなお話です!

ではどうぞ!

(生活水準は私達と同じ位かしら。こんな森の中に有るという事を考えれば、十分凄い事なのだけれど……)

 初めて踏み入れた『森』。

 警戒されない程度に観察した結果、レイが抱いた感想はそれだった。


 想像では樹海の奥深くにある事から、もっと原始的な生活を送っているか、高い魔法力を活かした高度な生活を送っているものと考えていた。

 しかし実際に見てみると、自分達と大して変わらない生活様式だった事に驚く。

 だが、それよりも気に掛かる事が有った。

(生活している痕跡が有るのに、人の気配が全く無い?いえ、これは……)


 そう、直前まで人が居たであろう痕跡は残っているのに、今レイ達の前には誰1人居ないのだ。

 まるで突然村人全員が神隠しにあった様な、異様な雰囲気が村を覆っている。

 しかし気配をよく探ってみれば、その違和感の正体に気付く。


(徹底して気配を殺しているって訳ね。いえ、殺しているというより()()()()()()()()()()感じかしら?ここの住民全てがそれを自然とこなしている。凄いわね)


 下手に気配を無くすより、周りと一体化させる方が相手の意表を突きやすい。

 思い返せば先程の偵察隊も、気付くのが遅れる程の気配操作をしていた。

 恐らく訓練などでは無く、生活の中で自然と身についた技術なのだろう。


(ランシュやフィオが偵察任務に適している理由が、分かった気がするわね)

 そう考えていた時、先導する森人族(エルフ)の男がレイを睨んでいる事に気付く。

 レイがその視線に気付くと、何事も無かったかの様に視線を前に戻した。


(気配を同化し、相手の意識を逸らすことが出来るのならば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……と。ここの手練は厄介極まりないわね)

 下手な事は考える事すら出来ない、と感動すら覚えたレイ。


 そんな一行の前に、次第に一際大きな建物が見えてくる。

 一目見て、この集落の要人が居るであろうその場所が目的地らしく、森人族(エルフ)の男はそこへ向かって歩いて行く。


「⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎。⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎」

「⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎。⬛︎⬛︎」

(会話?かしら。聞いた事のない言葉ね)

 そして門番であろう森人族(エルフ)に、先導していた男が話し掛けた。

 門番もレイには分からない言葉で答え、どうやら中へと促されたのだと察する。


 しかし、全く聞いた事の無い言語に困惑するレイ。

 何せ()()()()()()()()()()()()()()()()()のだから。


「⬛︎⬛︎、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎」

「⬛︎⬛︎」

 そんな困惑を他所に男は先へ進み、辿り着いたのは一段と装飾が施された扉の前。

 そこで男が口を開くと、中から声が帰ってくる。


 そうして、自然と開いた扉の奥へと進む一行。

 そこで目の当たりにしたのは、数人の森人族(エルフ)の姿だった。

 高齢の男性が2人。

 その間に君臨するかの様に上座で座る、更に高齢の女性が居た。

 どうやら先程の、中から聞こえた声はこの女性のものだったのだろう。

 そんな事を考えていると、森人族(エルフ)の女性が口を開いた。

「悪かったね、()()()の首領をこんな所に呼び出したりして」

 レイ達が扱うものと、同じ言語でそう語り掛ける女性。

 それにディードが顔を歪めながら答える。

「本当にそう思ってんなら俺達の元に来いと言ってんだろうが。それに、ここも()()()()だからな。自国のモンに呼ばれちゃ行くしかねぇだろ」


 その言葉に、部屋の中に居た森人族(エルフ)達が殺気立つ。

 それを何処吹く風と受け流し、飄々とするディードに今度は女性が顔を歪めながら吐き捨てる。

「ハッ!神の信仰を忘れたお前達なんかと一緒に居たら、魂が穢れちまうさね。今回はしょうがなくお前様の顔を立ててやったんだ。本来ならお前様に用は無い。有るのは……」


 そうして1点を見つめ、話を続ける。

「アンタ達だよ。まさかまだ生きていたなんてね。相変わらずのバケモノだよ」

 その視線の先、ニイルを睨みそう言う女性。

 当のニイルは無表情のまま、その女性を見つめ返していた。

 女性は続ける。

()()()言ったはずだ。二度とこの地へ入るなと。今更その()()()()()を連れて、何しに戻ってきた」

 そう言い、視線をニイルの背後に居たフィオに移そうとした瞬間、ニイルの全身から殺気が吹き出す。

 それは港で見せた物の比では無く、物理的な圧力を伴って部屋の壁や床が軋む程。

 その迫力に思わず森人族(エルフ)達も後ずさる。


 その光景を目にしてようやく、ニイルは殺気を収め口を開いた。

「お前こそそんなに老いぼれて、今では長老などと持て囃されている様だな?だが歳を食っても他種族を()()と見下す考えは変わらんか。あの時のガキが随分と偉くなったものだ。確かあの時の名は……」

「黙れ!」

 長老と呼ばれた女性が叫び、ニイルが口を閉じる。

 冷めた視線をぶつけるニイルに、冷や汗を流しながら長老が更に叫んだ。

「ワシは何故ここに来たのか問うたのだ!余計な口を開くな!」

「お前が呼んだんだろ。じゃなきゃ誰がこんな所に来るか。俺達はこの国の首領であるディードに会いに来たんだ」


 そしてため息を吐きながらニイルは続ける。

「そもそも、これだけしぶとく生き残ってる老害が居るなんて、誰が想像出来る。お前さえ居なければもっと穏便に……」

「貴様!黙って聞いていれば!」

「我らが長老を愚弄するのもいい加減に……」

「⬛︎⬛︎⬛︎!」


 我慢の限界という風に道案内の森人族(エルフ)が叫び、座っていた男達も立ち上がる。

 しかしそれを制したのは長老の一喝であった。


「⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎。⬛︎⬛︎……」

「そうだ、そのバケモノを呼んだのはお前達だ。()()()の恐怖を思い出させてやっても良いんだぞ?」

 他の森人族(エルフ)達に言い聞かせていたのだろう、長老の言葉を遮り、ニイルが口を開く。

 そして、そのニイルの言葉に全員の時が止まった。

 いや、2人だけ、ランシュとフィオだけは変わらずのままだったが。

 しかしそれ以外の思考が一致した。

 代表して長老が口を開く。

「な、何故貴様が神聖なワシらの言葉を理解出来る!」


 それに、変わらず冷めた視線のまま。

「⬛︎⬛︎、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎?」

 と、レイの理解出来ない言葉で答えるニイル。

 この言語はディードですら習得出来ていないのだろう。

 驚き、ニイルを見つめるがそれ以上に。


「この言葉はワシら『森』に住む者達以外には扱えぬ筈!何故人間である貴様がそれを使えるのだ!」

 森人族(エルフ)にはかつて無い衝撃だったのだろう。

 部屋に居る森人族(エルフ)全員が狼狽し、長老が声を荒らげた。


 それを鼻で笑いながらニイルが語る。

「神聖な言葉?お前達の言葉だと?笑わせるな。これはお前達の言葉じゃ無いだろう?逆に訊くが、()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「なっ……!?」

 それに先程以上の狼狽を露わにする長老。


 その反応で確信したのか、ニイルが振り返り口を開く。

「これで得心が行きましたよ。ディード、何故貴方が『幻想種』や『幻想神種』に驚かなかったのか」

「……バレちまったか」

 元の口調に戻り、そう言われたディードは観念する様に答える。


 思い起こせば、ディードは最初から『幻想種』の事も、更には『幻想神種』の事すら知っている様な口ぶりだった。

 しかしそれが一体今の状況とどう繋がるのか、レイには理解出来ていない。

 故にニイルへと問い掛けた。

「どういう事なの?ディードが『幻想種』達を知っている事と、貴方があの言葉を使える事に、何の関係が?」


 その質問に、微笑みながらニイルは優しい口調で答える。

「彼らが使うあの言葉は、森人族(エルフ)が考えた物ではありません。()()()に使われていた言葉なのです」


 その衝撃に目を見開くレイ。

 ニイルは構わず続けた。

「しかしその文献は無く、この言葉は完全に歴史の闇に消え去りました。ですが証拠は無くとも、使っている者が居るならば話は違いますよね?」

「そ、そんな人居る筈……まさか……」


 今までの会話から1つの事実に思い至ったレイに、満足気な表情を浮かべ、長老へと向き直った。


「そう、()()()()()()()。例えば永きを生きる存在が、この世には存在する」


 その頃には無表情に戻っていたニイルが。


「ここに()()んだろう?『幻想神種』が」


 そう冷たく言い放つのだった。

如何でしたでしょうか?

まさかまた新たな『幻想神種』が現れるなんて!?

一体どうなってしまうのか!

今後もお楽しみいただければ幸いです!

ではまた次回にお会いしましょう!

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