『森』の森人族
はいどうもニノハジです〜
終わりかと思われた4章ですが、新展開です!
引き続き楽しんでいただければ幸いです!
ではどうぞ!
『森』。
以前説明した通りオスウェルド大陸は自然が溢れており、森に該当する場所もいくつか存在する。
しかしデミーラ共和国に住む亜人達が言う『森』とは、とある場所だけを示す言葉であった。
それが大陸の端。
一際深い樹海であり、『森人族』が住む場所である。
もちろん、その場所以外でも森人族は生活しており、更に言うならデミーラ共和国以外の国でも、極少数ではあるが生活している。
では何故その場所だけが特別なのか。
それは、そこに住む森人族が、自分達以外の全てと相容れない、というのが最大の理由であろう。
亜人種は基本的に、個体差はあれど人間より長命である。
その分繁殖力は人間に劣り、必然的に同族同士の繋がりが濃くなっていく。
長命種であればある程その傾向は顕著であり、特に森人族がその際たる象徴とも言える存在だった。
生まれながらに優れた魔法の才を持ち、全員が容姿端麗な種族。
それ故に人間どころか他の亜人種すら見下す彼らは、当然同族との小さなコミュニティにしか属さない。
稀に存在する、異種族を受け入れる者達は『森』を出て国内外で生活をする様になり。
そういった思想の者達すら排除して、今尚存在しているのがこの『森』と呼ばれる場所であった。
当たり前ではあるが、亜人種統一の際にディードは彼らとも友好を築こうと努力した。
しかしその全ては徒労に終わり、今では『森』に住んでいる者達とそれ以外の亜人種とで、相互不干渉の状態で落ち着いている。
自分達以外を全て見下し、悪く言えば大昔からの因習を変える事が出来ない。
そんな者達の集まる場所、そして森人族発祥の土地。
それが『森』であった。
「だからこそ、そんなヤツらが俺を呼び出す事なんざ滅多に無ぇし、ましてや人間を呼ぶ事なんざ、この国が出来てから一度も無ぇ」
そう歩きながら語ったディード。
今現在レイ達は、ランシュとフィオの2人と合流した後、その『森』へ向けて移動中であった。
『森』の住民を下手に刺激しない様に、徒歩での移動である。
その間、明らかに沈んだ空気を変えるべく、ディードが行き先について説明していたのだ。
「だからいつ、テメェらは『森』の連中と繋がりを持ったんだ?」
「私はこの国自体が初めてだから分からないけれど……」
ディードの問に曖昧に返す事しか出来ないレイ。
そしてチラリと後ろを振り返り、ディードもその目線を追う。
そこにはこの事態になって以降、全く喋らなくなったニイル達3人の姿があった。
それに、何度目か分からないため息を吐きながらディードは言う。
「つまりアイツらは、俺なんかよりよっぽど長生きしてるって事になるんだが?」
そしてその問にレイは答える事が出来ない。
その辺の事は未だに秘密にされている為、確たる証拠を持ち合わせていないのだ。
レイすら黙り込んでしまった為、またしてもため息を吐き、自分の頭を乱暴に掻きながらディードは口を開く。
「まぁ、仮にそうじゃ無かったとしても、実際に見ちまうと呼ばれた理由は大体察するがな」
言葉と共に視線を送るディード。
その視線の先、フィオがその言葉に微かに震えた。
それを見て、レイがディードを非難する様に睨みつける。
「つか大体よぉ!今更だがテメェら全員が見た目っつか、色がおかしいんだよ!他の国なら、こういう対応が普通なんじゃねぇのか!?」
舌打ちしながら、若干居心地悪そうに言い放つディード。微妙にフォローの様な意味合いを感じる事から、レイも視線の鋭さを和らげる。
そして改めて自分達の姿を思い出し、レイは答えた。
「確かに私は特殊だという自覚は有るけれど、貴方から見ても3人は特殊に見えるの?」
世界広しといえど、レイの髪色はエレナート王家の者にしか遺伝しないと、かつて幼い頃に両親から聞いていた事があった。
故にこの薄紫色の所為で苦労する事も多かったが、思い出と、誇りと覚悟を忘れない大切な色でもあったのだ。
「テメェも知ってると思うが、森人族にあんな真っ赤な髪は絶対に生まれねぇ。そしてニイルの黒髪。黒は不吉の象徴として亜人種全体から嫌われている。それは確か人間共も同じだった筈だよな?」
「え、えぇ……」
それにニイルの事を考え、遠慮がちに頷くレイ。
気にして無さそうとはいえ、あまり本人を前にして肯定したくは無かったのだが。
(まさかその認識が亜人種まで一緒だったなんて。これじゃあ……)
人類全体から忌み嫌われる存在と言われても過言では無いのでは、と考えてしまうレイ。
そして、それ程嫌われる要因となった魔人族とは何なのか、考えを巡らせる。
そんなレイを気にせずディードは続けた。
「そしてあの獣人族。あの女が1番……」
しかし、言葉の途中で不自然に途切れる。
それに訝しむ前に、レイも違和感に気付いた。
(囲まれてる……かなりの実力者達ね。殺気を隠すのが上手い。私も気付くのが一瞬遅れちゃった)
剣に手を伸ばそうとするレイだったが、ディードが小声で諌めてくる。
(止めろ。相手は『森』の奴らだ。テメェらにビビって警戒してるだけだからほっとけ)
それに自然な流れで手を戻し、歩みを続けるレイ。
残りの4人も、全員が気にする事無く歩みを続けていると、暫くこちらを観察した後、自然の中へと気配を消していった。
「奴らの住処が近くにある証拠だ。気にしねぇで行くぞ。最も、気付いてたかどうかは、知らねぇがなぁ……」
そう言って僅かにフィオを眺めるディード。
それどころでは無さそうな様子のフィオを見て、不安に駆られるレイなのであった。
「見えたぞ。あれが『森』と呼ばれてる森人族の集落だ」
そんな騒動から数分後。
確かに近い距離を移動しただけで、目の前に櫓が見えてくる。
そして近付いていくにつれ、村の全容が明らかになってきた。
(本当に、小さな集落みたいね。それもかなり小規模の)
それを見て、レイはそんな感想を抱く。
かつてレイがザジと出会う前、各地を転々としていた時に見た小さな集落に似ている。
そこも目の前の集落の様に、周りに獣や外敵の侵入を防ぐ柵を配置していた。
いや、こちらの方が柵は頑丈そうであり、櫓もある事から本格的だと考察する。
そしてそんな櫓の下。
そこには大きな門と、その前に集まる森人族達の姿があった。
人数は恐らく十数人程度。
全員が美男子であり、その中には先程港にやって来た青年の姿も見られた。
先程の偵察部隊が、レイ達の接近を知らせていたのだろう。
ディードが気付いたのとほぼ同時に、森人族側もレイ達の存在に気付いた様だった。
そして露骨に殺意にも似た悪意の視線を浴びせてくる。
「約束通り来てやったぞ。さっさと用件を済ませろ」
しかしディードはそれを全く意に介さず、完全に無視し森人族達に話し掛けた。
「こっちだ」
その中の1人、リーダー格と思しき男性がぶっきらぼうに言い、踵を返して歩き出す。
それにレイ達も後に続き、集落の中へと入っていく。
こうしてニイル達3人にとって因縁の場所へと、レイは足を踏み入れるのであった。
如何でしたでしょうか?
こうして新たな地へと辿り着いたレイ達ですが、果たして彼女達を待つ者とは!?
次回もご期待ください!




