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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第4章 ???編

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使者

明けましておめでとうございます!

ニノハジです!

2026年最初の更新となります!

今年もよろしくお願いいたします!

 段々と近付いてくる港の景色に、思わずため息を吐くレイ。

 頭では理解していても、やはり無事に辿り着くまでは無意識に緊張していたのだろう。

 心身共に、力が抜けていくのを感じるのだった。


「あん?なんか騒がしくねぇか?」

 しかし見慣れた風景だからこそ、ディードが1番に気付く。

 港に居る人数と停泊してある船の数が普段より多く、そして慌ただしい。

 急いでどこかに出立しようとしている、そんな雰囲気を感じられた。


 何か問題が発生したのだろうか。

 気が逸りそうになるレイだったが、呆れを滲ませたニイルの声が届く。

「当然でしょう?国の首領が乗った船が沈み、その本人がバケモノと戦ってるなんて状況……国としては一刻も早く助けに行こうとするのが道理でしょうが」

「「あ……」」

 それに間抜けな声を漏らす2人。

 今までの戦闘で、他の乗組員を逃がした事をすっかり失念していた。

 余りの失態にレイの顔が真っ赤に染まる。


「そもそも貴方の部下でしょうが。彼らを助ける為に残ったのだと思ってましたが、本当に『幻想神種(ケートス)』と戦いたかっただけなんですか?」

「さ、さ〜て!逃がしたアイツらは無事か〜!?」

 半眼で睨むニイルに、露骨に話題を変えようとするディード。

 まさか本当に、自身が楽しみたいが為に他の亜人達を逃がしたのかと、流石のニイルも呆れ果てる。

 レイもそれには呆れそうになるが、しかし自身も忘れていた事から何も言えず俯くのみ。


「ん?おいアレ見ろ!」

「アレ?」

「アレってなん……まさか!」

 そんな気まずい雰囲気を断ち切ったのは、港から聞こえてくる喧騒だった。

 3人が近付くにつれ、騒ぎがどんどん大きくなってくる。


「おい!誰かベスタ様呼んでこい!」

「良かった……無事で……!」

「ったりめぇだ!ウチらのボスだぞ!?バケモノなんかにやられるかってんだ!」

 口々にディードへの心配や称賛などの言葉が飛び交う中、そのど真ん中へと舞い降りる3人。

 そしていつも見せているのだろう笑顔で、民衆に向かいディードは言い放った。

「待たせたな!無事バケモノ退治!果たしてきたぜ!」


 瞬間、一気に周囲から歓声が上がる。

 まるで祭りかの様に盛り上がる人々に、改めて亜人達のディードに対する忠誠心の高さを実感するレイ。

 感心しながら周囲を観察していると、3人を取り囲む人垣の一部が割れ、1人の人物が進み出て来た。


「待たせたなベスタ!」

 その人物、腹心であるベスタにディードは気安い笑みで語り掛ける。

 それに、盛大にため息を吐きながら答えるベスタ。

「流石の私も今回は肝を冷やしましたよ。相変わらず貴方は無茶をする。そろそろご自分の立場というものを……」

「あ〜あ〜うるせぇうるせぇ!これが1番最善だったんだよ!最大の戦力で最小の被害に抑える!結果全員無事だったじゃねぇか!」


 ベスタの言葉を遮り言うディードに、微かに反応をするベスタ。

「結果論ではそうですが……しかし珍しいですね。他人を、特に人間をそこまで褒めるなんて」


 ディードはその性格柄、差別主義を持ち合わせていない。

 しかし亜人である以上、亜人種に信頼を置くのは当然の事であろう。

 更に言えば、ディードは強者を好む傾向にある。

 そんな彼が人間に対し()()()()()とまで評価するのは、かなり珍しい事であった。


「お前も目の当たりにすりゃ分かるだろうよ。コイツらは()()()()だぜ?柒翼(おれたち)に並ぶ力を持ってるのは間違いねぇ。それに……」

 そうしてレイ達に視線を向け、不敵な笑みを浮かべて続けた。

「コイツらが人間な訳ねぇだろ。もう立派なバケモンだぜ」

「ちょっと?それは褒めているのかしら?」


 さも当然とばかりの表情をするディードに、今度こそ呆れ果てるレイ達。

 本来なら悪意のある言葉に聞こえる物言いだが、そう受け取れないのはディードの性格故か。

 対して嫌な感情にならない2人は、顔を見合せ苦笑する。

 特にレイはバケモノの弟子を自称し、更に柒翼に認められた事から、内心少しだけ喜んでいた。


 そんな彼らを見てベスタは言う。

「そうですか。お二方も、この方のお守りはさぞ大変だったでしょう?国を代表してお礼申し上げます」

「おい?そりゃどういう意味だ?」

 レイ達に対し頭を下げるベスタに、周囲から笑いが起こる。

 主に対し不遜な物言いをしても許されるこの国は、確かに良い国なのだろう。

 かつて見たスコルフィオの国の様な、居心地の良さを感じるレイ。

 故にレイも不敵に笑ってこう返すのだった。

「それは確かにそうね。でも、色々と学ばせてもらったわ」

「な?こういう所だ」

「……確かに、貴方が気に入る訳だ」


 思わず吹き出すベスタに納得いかないと呟くレイ。

 それにまた、笑いが巻き起こるのだった。



「さて、全員の無事も確認出来た事だし、騒動解決の祝勝会と、そして……」

 海に視線を移し、笑みを消してディードは続ける。

「これまでに散っていった同胞達への弔いをしなくちゃあなぁ……」

 その言葉に亜人達全員が深く頷く。


 結局、調査団で帰ってきたのはレイ達が救出した1人だけだった。

 元凶が(たお)れた今、帰ってくる可能性は残っている。

 そして、今後も捜索を続けるとディードは語っていたがそれでも。


「少なくない同胞達が海へと散った。国の為に戦ってくれたアイツらを!盛大に送り出すぞ!お前ら!」

「「「オオオオオオ!!!!」」」

 沈みかけた空気を吹き飛ばす様に叫ぶディードに、周りも呼応し声を上げる。


 こうした気遣いが出来るからこそディードは慕われ、これ程大きな国を興す事が出来たのだろうとレイは実感する。

(だからって、デリカシーが無いのはどうかと思うのだけれど……)

 そう内心で零していた時、とある声がレイの耳に届く。

「お待ちください」


 それはとても静かな一言。

 周りの喧騒に飲み込まれ、本来なら掻き消されても不思議では無い物だったのだが。

 何故かその言葉はレイだけでなく、周囲の者達全員にしっかりと届いた。

 一瞬で静寂に包まれる中、人々の中から声の主が姿を表す。


 その人物はとても整った顔立ちの青年。

 金の長髪に、その奥にチラリと尖った耳が有ったのを、レイは見逃さなかった。

(あれは……『森人族(エルフ)』……)


 フィオと同じ、そしてフィオとは違う()()()()()()()()()をした美青年が、ディードの前まで進み出てくる。


「なんだ?()()テメェらがわざわざ出てくるなんざ珍しいじゃねぇか。俺達はこれから祭りの準備で忙しいんだ。まさか、テメェらも参加してぇのか?」

 亜人種に対しては珍しい、明らかに険悪な空気を纏いながら問い掛けるディード。

 それに対し、全く意に介さず青年は言う。

「申し訳ございませんが、その祭りは後日に。今すぐディード様と……」


 そしてレイ達の方を向きながら告げた。

「客人4()()をお連れする様にと、()()のお達しです」


 瞬間、ニイルから殺気が溢れ出す。

 その威力は凄まじく、周りに居た亜人達も顔が青ざめ、気を失いかける者すら存在した。

 そしてその殺気をぶつけられている青年も、あまりの迫力に顔が強ばり、思わず後ずさってしまう。


「止めろ」

 そんな2人の間にディードが割って入る。

 そのまま青年を庇うように、ニイルへと問い掛けた。

()()()()は気に食わねぇが、それでも俺の国の民だ。これ以上の狼藉は、首領として見過ごす訳にはいかねぇ」


 明らかに戦闘態勢に入りつつあるディード。

 そして困惑するレイの視線を受けてようやく頭が冷えたのか、ニイルが殺気を収める。


「申し訳ありません。少々取り乱してしまいました」

「なるほどなぁ……テメェらが2()()を連れて来なかった理由が、何となく分かったぜ」

「……っ」

 ランシュとフィオを同行させなかった事に勘付かれ、思わず反応してしまうレイ。

 その反応で、疑念は確信へと変わったのだろう。

 ため息を吐き、青年へと口を開くディード。

「テメェは先に行って、必ず行くと()()()に伝えろ。ベスタ、後は頼む」

「かしこまりました」


 お辞儀をし、周囲に指示を出していくベスタ。

 そうして周囲の人々が散っていく中。


「……クソ!」

 青年はそう吐き捨てレイを、いや、ニイルを睨み、人混みの中へと消えていくのだった。

如何でしたでしょうか?

新年早々新たな展開ですwww

ボスを倒して終わりかと思ってましたか?

残念!

4章はまだまだ続きます!

引き続きお楽しみいただければ幸いです!

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