幻想の果て
はいどうもニノハジです〜
ケートス戦もいよいよクライマックス!
どうなるのか是非その目で確かめてくださると嬉しいです!
ではどうぞ!
次々とケートスを貫いていく魔弾。
それと同時に彼の身体から、光り輝く粒子の様な物が飛び散っているのが見える。
氷の欠片かとも思われたソレ。
レイがよく視てみると、それはケートスの体を構成していた魔力だと判明した。
(ニイルの言っていた様に、本当に魔法みたいな存在なのね。道理でこれだけ攻撃しているのにも関わらず、血が出ない訳か)
解析を通してそう思案するレイ。
改めてケートスを見てみると、あれだけの魔弾を受け体が穴だらけになっているにも関わらず、肉片はおろか血の一滴も流れていなかった。
代わりに、可視化出来る程圧縮された魔力が流れて行くのみ。
最早生物としても、完全に別次元の存在なのだろうと考える。
そしてそれは、生物としての常識も通用しないという意味で。
【調子に乗るなぁ!】
一瞬。
『幻想新種』に対する考察、更にこれだけの攻撃を受けて、通常の生物ならば死んだだろうという気の緩みが、レイの対応を遅らせた。
ケートスの叫びと共にその体の周りの海流を操作。
普通では有り得ない動きで周囲を陥没させ、ケートス自身を更に1段海中へと落とす。
結果、沈み込んだ分魔弾はケートスから外れ、その背中を掠めるに至った。
たった1発。
しかしその1発を回避しただけで瞬時に氷の壁、及び魔法障壁を回復。
更に傷を治癒魔法で再生させ始めた。
「ごめん油断した!」
(バカ!あれだけ油断大敵だと言ったのに!)
自責の念に駆られながらも瞬時に魔法を修正、照準を合わせる。
「チッ!マヌケが!」
「まだです!」
そして残り2人もそれに対応しようと動き出す。
ディードが氷の壁へ拳を振るい、ニイルがナイフを飛ばそうとしたのだが……
【調子に乗るなと言った!】
再びケートスの声が響いた瞬間、自身の体に違和感を感じるレイ達。
その違和感を確かめる間もなく、体温が急上昇するのを感じ、そして。
「「ガハッ!」」
体内から爆発した様な感覚の後、レイ達は吐血してしまった。
当然魔法や『空底』も維持出来なくなり、海へと落下し始める。
「クソが!」
「一体……これは……!?」
既の所で『空底』が間に合い、海に沈むのを回避した2人だが、その動揺は隠しきれないものだった。
「ざけんな!何で俺に魔法が通じやがる!今のは魔法じゃねぇのか!?」
特にディードは現在、『神性』を発動中である。
故に全ての魔法は彼には効かず、寧ろ力に変える事が出来る筈であった。
にも関わらずダメージを受けた事に、困惑と憤りを露わにするディード。
「いえ、今のは……」
【貴様の力も、体内で魔法を直接発動されれば、無効化出来ぬ様だな?】
そんなディードを嘲笑うかの様な声。
声の主であるケートスを見れば、無残に舞い散るナイフ達の中、新たに魔法を展開していた。
更に空いた穴も大半が塞がりつつある中、続けて言う。
【貴様達に流れる血液もまた、液体である。ならば我が操れるのは道理であろう?この技を破れぬ限り、貴様達に生き残る道は無いと知れ】
そうして生み出した魔法を次々と発射するケートス。
レイ達は急ぎ回避行動に移ろうとするが……
【させぬ】
「がぁ!」
「カハッ!」
またしても身体の内部が爆ぜる様な感覚に襲われ、身動きが取れなくなってしまう。
その一瞬の硬直は弾幕相手に命取りだ。
ろくに回避も防御も出来ず、多数の魔法が2人に直撃する。
「「ああああああ!!!」」
流石のダメージに今度こそ海へと落ちてしまう2人。
直後海水がまとわりつく様に2人を包み込む。
魔法や『水底』で脱出しようとするのだが、複雑に操作された海流のせいで満足に動く事も出来ず、方向感覚も狂わされる。
(こんな状態じゃ『略式』による魔法陣の変数も定められない!せめて動きを止められれば……!)
自分でも理解出来ない動きを常に続けられている現状では、魔法陣の構築に必要な座標等の変数が決められない。
その上、手足も動かせない状態なので魔法陣を描く事すら不可能であった。
(不味い……息が……)
【フハハハハ!そのままそこでもがき苦しむが良い……待て】
レイ達の意識が遠のく中響くケートスの声。
最早勝利を確信した声色だったが一転、何かに気付く。
【どこだ?海に沈んでいない?ならば奴は!あのバケモノはどこに行った!?】
それにレイ達も気付く。
先程の攻撃の後、無数のナイフが海へと落下していく光景を目にした事で、全員がニイルもやられたのだと錯覚していた。
しかし、こうして海に沈んでいるのはレイとディードのみ。
それ以外の人影は見当たらなかった。
「やっぱりお前らは昔から!人を見下してるから!詰めを誤り足をすくわれるんだよ!」
その時3人の耳に声が届く。
しかしケートスが辺りを見回すが、やはり人影は見つからない。
【どこだ!】
「レイ!借りるぞ!」
【……!上……がはぁ!】
更に続く声でようやく居所を掴んだケートスだったが、直後襲った閃光に貫かれ魔力を撒き散らす。
声を発した人物、ニイルはケートスの真上、完全に死角となる場所に立っていた。
そこから不意をついて、『複製』したレイの『電磁加速魔弾』で貫いたのだ。
【ぐぅ……!またしても小癪な真似を!次こそは貴様を粉微塵にしてくれる!】
そう叫びながら魔法を展開するケートス。
その魔法は先程からレイ達を苦しめていた体液を操る魔法だったが……
【何故だ!?何故貴様には何も起こらんのだ!】
ニイルの身体には変化は訪れず、代わりにケートスを見下ろしながらニイルが答えた。
「貴方が呼んだんですよ?バケモノと」
【なん……】
「それより良いのですか?私にばかり気を取られて」
ニイルの言葉で気付いた時には一足遅く。
激しい水飛沫を上げながら、海中からレイとディードが脱出してきた。
「さっきから人の体をズタボロにしやがって!だが来ると分かってりゃあこんなもん!いくらでも耐えてやらぁ!」
そう言いながらディードは能力を全開。
脅威の速度で傷を治していく。
【どこまでも邪魔な獣が!】
それにケートスが魔法を展開。
瞬時にディードの身体から血が吹き出すが、即座にその傷を治療し一直線にケートスへと迫る。
(つまりは高い回復力による痩せ我慢。確かに1番手っ取り早い対策ではあるのだろうけれど……)
「それに付き合わされる身にもなってほしいものね!」
その後を、全力の治癒魔法で治しながらレイが追う。
いくら一流の魔法師として成長したレイでも、治癒魔法には限度がある。
ディードの様に傷を瞬時に回復出来る訳では無いので、体力と魔力、そして精神力を大いに削りながら叫ぶ。
【えぇい!ならばそこの小娘だけでも!】
「させないと言った筈です!」
それに気付いたケートスが、レイへと攻撃を集中する為に水魔法を展開。
しかしその魔法は現れた途端、すぐに消え去ってしまう。
「ぐっ……今……です……!」
「分かってらぁ!オッラァァァァ!!!」
『電磁加速魔弾』と『神威賦与』による同時使用の負荷で、あらゆる場所から血を流しつつ叫ぶニイル。
それに呼応して懐に潜り込んだディードが、なんと有り得ない程の巨体であるケートスを蹴り上げた。
【ぐぅおぉぉぉ!なんだとぉ!?】
「今だぁ!やれぇ!」
「レイ!合わせろ!」
「えぇ!」
流石のディードもこの巨体を浮き上がらせたのは無茶だったのか、下半身の全ての骨は折れ筋肉が断裂していた。
追い打ちを託し叫ぶディードに2人が答える。
『雷装』を展開し一瞬でニイルの隣へとやって来たレイは、同時に『電磁加速魔弾』も展開。
ニイルも同じく展開し、その砲門をケートスへと向けた。
「1人で足りないのなら!2人で!」
「今のお前にこれは捌ききれまい!」
「「12連!!」」
6門と6門。
合計12門の砲身から雷撃が降り注ぐ。
空中に浮いているケートスは、為す術なくこれに撃ち抜かれると誰もが想像していたが、しかし。
【まだだぁぁぁぁ!】
空中に魔法で水を生成。
それを氷の壁にし、『電磁加速魔弾』を防いでいく。
もちろん、全ての魔弾を防げている訳では無い。
しかし致命傷だけは瞬時に壁を作り出し、避ける事に成功していた。
「くそっ!何としても海に落ちる前に仕留めるぞ!」
「なら!」
海に落ちれば海水も利用され、今より更に攻撃が通りにくくなる。
それを危惧して言うニイルに、レイが動き出す。
「『制限解除』!」
『雷装』と『電磁加速魔弾』の同時使用。
今まで出来なかった事をこの土壇場で行っていたレイは、更に『雷装』の制限を取り除く。
魔弾で一瞬空いた氷の壁から侵入し、ケートスへと肉薄した。
【なに!?】
(今までは貫通力が高過ぎて致命傷足り得なかった!だったら……)
「これで……どうだぁぁぁぁぁ!!!」
その上で『電磁加速魔弾』の変数を変更。
ニイル同様血を吹き出しながら、至近距離からの一斉射撃を開始する。
【がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!】
その弾は完全に貫通せず、ケートスの身体の中心辺りで爆発。
雷撃を身体中に撒き散らすという、対巨体相手への弾に改良されていた。
流石に体内で爆発と雷撃が暴れ、断末魔の叫びを上げるケートス。
しかしその命は潰えておらず、レイの周囲に大量の光り輝く水球が生まれる。
【まだだ!せめて貴様だけでも道連れに……】
「残念だったなぁ!いただくぜぇ!」
【なっ……!】
だがケートスは失念していた。
魔法で生み出した物質は、ディードの吸収対象だという事を。
突然現れたディードがレイの周囲の水球を取り込み、己の力へと変換。
そして恐ろしい速度でレイが空けた穴から体内に侵入する。
「ここで俺の『神性』を使ったら、テメェはどうなるんだろうなぁ!?」
【やめ……!】
ニイルの言葉とケートスの身体から出る魔力で、ディードは1つの疑念を抱いていた。
自身の能力ならこの『幻想神種』を喰えるのではないかと。
事実、何度かケートスに攻撃を与えた際、ほんの少しだけだが吸収に成功していたのに気付いていた。
そして疑念は、この反応で確信へと変わる。
「終わりだ!喰い尽くせ!『喰らう冥犬』!」
叫ぶと共に能力を全力解放。
すると予想通り凄まじい勢いで、魔力がディードへと吸収されて行く。
かつて無い程の力が漲ってくるディードに対し、徐々に身体が崩壊し始めるケートス。
【おのれ!おのれおのれおのれおのれ!忌々しい劣種共が!そこなバケモノ共々!必ずや神の裁きがぁぁぁ!】
怨嗟の声と共に散って行くケートス。
そうして呆気なく。
レイ達にとっては永遠と思える刻の果てに。
『原初の海獣』は完全に姿を消した。
後に残ったのは広い海原のみ。
激闘の跡すら残っていない、変わらぬ光景で。
しかしこの日。
永い歴史の中で初めて。
人類は『幻想神種』という名の神を、討ち果たしたのだった。
如何でしたでしょうか?
遂にケートス戦終了となります!
ここまで楽しんでもらえたでしょうか?
それならとても嬉しいのですが・・・
さて、この後もお話は続きますので、是非読んでいただければ幸いです!
では次回にお会いしましょう!




