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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第4章 ???編

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海上の死闘

はいどうもニノハジです〜

遂に始まりましたボス戦です!

恐らくこの章最大のバトルとなりますので、楽しんでいただければ幸いです!

ではどうぞ!

 ケートスが魔法を発動させる。

 すると一瞬にして周囲の水が浮かび上がり、空中で形が変わっていく。

 それは魔鮫(スクアルス)が使っていた斬撃の様だったり、槍や巨大な弾、果ては鞭の様な長く伸びる物まで多種多様。


 そんな様々な形をした海水が、瞬く間にレイ達の視界を埋め尽くす程展開される。

 それはレイが今まで見てきた魔法の中でも1番展開が速く、そして()()と感じる程。


 そう、マーガやルエル、そしてニイルですら凌駕していると思う程に。


「ハハッ!こうでなくっちゃなぁ!?」

「これは……凄まじいわね」

「『幻想種』以上の存在はその存在が神秘、つまり魔法そのものに近い存在。故に彼らは魔法を意識せずとも使う事が出来ます。彼らにとっては魔法は手足を動かすのと同じ事なんでしょうね」

 目の前の現実に、ディードは興奮しレイは(おのの)く。


 ニイルの言葉が正しければ、つまりケートスには魔法師相手に生じる隙や、魔力枯渇を狙った長期戦が意味を成さないという事。

 その上でこれだけの物量を捌かなければならないという事実に、確かに一流の実力者でも倒すのは不可能だろうと思わせられる。


【まずは挨拶代わりよ】

 しかしここに居る3人は普通では無く、一流を超越した3人である。

 ケートスの言葉と共に放たれた弾幕を、レイとディードは軽やかに『空底』で、ニイルはその弾幕を相手するに相応しい量の魔法を作り出し、撃ち落としていく。


「良いねぇ!流石だ!ニイル(アイツ)の物量も凄ぇが何より、人間で『空底』を使いこなす奴が居るとはなぁ!?人間の身体能力じゃ使えねぇ筈だが、テメェもバケモノって事か!?」

「私はニイル程じゃ無いわよ。これもちょっとしたズルを使っているだけだわ」

 2人の技量に益々笑みを深めるディードに対し、レイは淡々と言い放つ。


 実際レイの言っている事は本当で、獣人族(ビースト)達が使用していた『空底』を解析した結果、()()()レイでは使用不可能という事が判明した。

 使用するには精鋭の獣人族(ビースト)と同等の身体能力、つまり『+7(ブーストセブン)』以上の身体強化を施さなければならない。

 レイも日々鍛錬しているにも関わらず、それだけの性能差が生まれる獣人族(ビースト)の能力の高さに驚かされるが、しかしレイには魔法が有る。

 現在は『+10(フルブースト)』を使用し、ディードに並ぶ程の動きを披露するに至っていた。


「余裕が有るのは良い事ですが、このままではジリ貧ですよ?何か策でも有るんですか?」

 そんな2人にニイルが問い掛ける。

 声色だけならニイルも余裕が有る様に感じるが、その実ニイルに弾幕が集中している為、動く事もままならず攻撃の処理に手一杯であった。

 お陰で2人が比較的自由に動けているというのが実状である。


「私達で隙を作るわ。その間攻撃を引き付けておいて」

 この現状を打開する為、レイが行動に移る。

神威賦与(ギフト)』を発動し魔法の構成、規模、数を把握し、弾幕の薄い所を探ろうとする。


「くっ!……ん?」

 膨大な魔法量に頭痛が走るが、魔獣の群れ程の痛みでは無い。

 力を全開にしている訳では無く視ているのも魔法だけである為、先程よりも情報量が少ないからだ。

 そんな痛みを堪えて魔法を視て、レイはある事に気付く。

(やっぱり、内容は簡単な魔法の筈なのに上手く()()()()()()?)


 今レイ達に襲い掛かって来ている魔法達は、水の形状を変化させ飛ばすという、通常なら簡単な部類の魔法だとレイは推察していた。

 しかし実際に解析しようとすると、高度な魔法を視ているかの様に構造が分かり辛いのだ。


 ただ、全く視えない訳では無い。

 試しに魔法を解析してみるが、通常より時間は掛かるものの魔法の解除に成功する。

(今ので確信した。魔法にも神性が混じるという事に。そして、その魔法は今の私じゃ解析に手間取るという事も)


 レイは知らない事だがこれはニイルも同様であり、先程の攻撃がニイルに届くギリギリまで解除出来なかったのはこれが原因である。


 しかし逆に言えば、()()()()()()()()()()()()だという事。

(なら、基本は斬って間に合わない物だけを見極めれば良いだけ)


 如何に物量が多くとも、その全てがレイを追尾してくる訳では無い。

 つまり戦い方次第で、回避も反撃する余裕すらも作り出せるという事。

(神性が混じってる魔法を斬った事は無いけれど、この眼と併せれば出来る気がする)


 その隙を生み出す為、ケートスの一挙手一投足を見逃すまいと全ての神経を目の前に集中させる。

 それが命懸けのこの状況と相まって、再びレイをゾーンへと導いた。


「そこ!」

 弾幕の薄いルートを見つけ出し、叫びと共に『雷装』を展開するレイ。

 ゾーンによって最適化された事により、瞬時に『雷装』を『100%に(リミットカット)』しケートスへ駆け抜ける。


 更に道中の魔法も瞬時に解析。

 1つ1つに込められた魔力量も多いそれらを斬るのは普段なら不可能だが……


(斬れる!)

 ゾーンに入った事で理想的な身体の動きを実現、『雷装』による疾さと『剣聖』直伝の剣の鋭さで、その全てを斬り捨てて行く。


「ハアアアアアア!」

 渾身の叫びと共に剣を振り下ろすレイ。

 その剣は見事にケートスを斬り裂くが、しかし。

(浅い!)


 その巨体に阻まれ、全体から見れば小さな傷を負わせる事しか出来なかった。。

 それを証明するようにケートスは何事も無く魔法を展開、無数の弾幕がレイに襲い掛かり離脱を余儀なくされる。


【ふむ……そこな人間からも忌々しい気配を感じるな?】

 そうしてようやくケートスがレイを認識した(みた)

 それだけで怖気(おぞけ)にも似た圧力(プレッシャー)を感じるレイ。

(チッ!今まで私達は意識すらされていなかったという訳ね!)


 襲い掛かる恐怖、しかしそれ以上に今まで眼中にすら無かったという事実に怒りが込み上げて来る。


「テメェの相手は俺達だっつーの!」

 それはどうやらディードも同じの様で、レイと同じく眼中に無い事に気付いたのだろう。

 怒りの声と共にケートスの脳天へ向けて駆け抜け、拳を振り下ろす。


「ハッ!ちったぁこれでこっちを見る気に……」

()()()()()()()()()の、矮小な獣風情が……図に乗るなよ】

 激しい衝撃に海面だけでなく空気すら震える程だったが、それすらも大したダメージになっていないかの様にケートスは言う。


「あ?そりゃどういう……」

【失せろ】

 その言葉に一瞬気を取られたディードの目の前に、小さな水の球が生まれる。

 その中心は光り輝いており、ディードが危険を感じその場を離れようとした瞬間。


 激しい爆発が巻き起こり、周囲を水蒸気が覆った。


「ディード!」

 レイが慌てて名を叫ぶ。

 突然発生した爆発も気掛かりだが、何よりもその直撃を受けたディードの方が心配である。

 レイの目から見てもかなりの威力に感じたのだ。

 魔法防壁を扱えないディードではひとたまりもないだろう。


 そんなレイの心配をよそに、水蒸気からディードが飛び出して来る。

 レイ達の近くに降り立ったディードに一瞬安堵するが……


「ディード!その腕!」

「チッ……流石に防ぎきれなかったぜ」

 右腕は肘から下が吹き飛び、左腕も肉がえぐれ骨が剥き出しになっていた。

 全身もかなりの火傷を負っており、見るからに致命傷なその姿に、思わず治癒魔法を掛けようとするレイ。


「要らねぇよ。つか邪魔だから離れてろ」

「な、何を言ってるのよ!早くしないと死んでしまうわ!」

 しかしそれを断って前へ進み出るディード。

 それに慌てるレイだったが、ディードの表情を見て思わず動きが止まってしまった。


 そんなディード達に向けて、追撃の魔法を展開しながらケートスが言う。

【まだしぶとく生き残っていたか。これだから獣は不快なのだ。大人しく海の藻屑となるが良い】


 その言葉と同時に放たれる無数の魔法。

 しかしそれに怯む事無くディードは進み続け、吠えた。

「クソが!いつまでも舐め腐りやがって!ぜってぇぶっ殺してやる!」

 そう叫ぶディードの顔には隠しきれない怒りと。


 そして、新たな玩具を見つけた子供の様な笑みが浮かんでいた。


「『神性(アルカヌム)』!『発動(オープン)』!」


 そうしてレイは目の当たりにする。


神性保持者(ファルサ)』達の。


「『喰らう冥犬(ベルゼブブ)』!」


 真の実力を。

如何でしたでしょうか?

遂に披露されるディードの実力。

その力とは...…

詳細は次回に明かされるでしょう!

それまでお楽しみに!

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