海の支配者
はいどうもニノハジです〜
遂に現れましたこの章の真のボス!
ここから盛り上がっていく予定ですので、是非楽しんでいただければ幸いです!
ではどうぞ!
「『幻想神種』?」
聞き慣れない言葉に思わず聞き返すレイ。
それはどうやら『幻想種』を知っていたディードも同じの様で、疑問符を浮かべニイルに視線を送る。
その2人の問に応える様に、ニイルは語り出した。
「以前説明した通り、『幻想種』とは神の力を得た魔獣ですが、ごく稀に『幻想種』以上の力を得た者や、神から産み出された魔獣が存在します。それらは『幻想種』とは一線を画す程の力を持っている為『幻想種』の上位存在、『幻想神種』へと成ります」
『原初の海獣』へと厳しい視線を送りながら、ニイルは尚も続ける。
「特に目の前のケートスは空の『龍』、地の『巨人』と並び称される程で、神に代わり海を支配する為に産み落とされた存在です」
その言葉に息を飲む2人。
ただの死骸でさえ圧倒的な存在感を放っていた『幻想種』、それの上位存在が居るという事実に驚きを隠せない。
しかし続く言葉に更に驚愕する事になる。
「その力は絶大で、相性にもよるでしょうが『神性保持者』が複数人で相手取り、ようやく互角に持ち越せるレベルでしょう」
「嘘!?」
ニイルの言葉に思わずケートスを見るレイ。
未だにレイは、全力の『神性保持者』達と戦った事が無い。
それにも関わらず、自分よりも格上だと分かる程の圧倒的な力を持っていた。
そんな存在相手に、複数人でようやく互角という事実に恐怖すら覚えそうになる。
しかし、ディードはその言葉に何故か納得したかの様に言う。
「なるほどな。確かにアレの放つ重圧は尋常じゃねぇ。……アイツと同じでな」
最後の呟きが気にはなったレイだったが、それを意識する余裕は無い。
ディードの言う様にケートスから放たれる威圧感に、下手をすれば意識を持っていかれそうになるのを必死に堪えている為。
そして1番の理由が、どんな時も余裕の態度を崩さないニイルが、かなりの緊張感を持っている事だった。
「何より厄介なのが、奴が私達を見逃してくれないという事です」
「?それってどういう……」
そんな様子のニイルの言葉が気になり、追求しようとしたレイだったが。
【ハハハハハハハハハハハハハハ】
「ぐっ!」
「ちっ!」
「な、何!?」
突然脳内に響いた音により中断される。
大音量を直接脳に叩き込まれる様な不快感、そして聞いた事の無い音の筈なのに意味が理解出来るその不快感に、軽い頭痛を覚え思わず声を上げる3人。
「なに……これ……!?笑い声!?」
「相変わらず、人を不快にする声ですね貴方は」
耳を塞いでも響いて来るその音、いや、笑い声にレイが呻き、そして旧知の存在の様にニイルが声を掛ける。
それに驚いてニイルを見る2人だったが、暫く笑い声が響いた後、新たな言葉が3人へと届いた。
【貴様こそ、相も変わらず我らを不快にする存在よなぁ?未だに生きていようとは、醜いバケモノぶりは健在のようだな?】
その言葉に、どうやらこれは目の前のケートスの言葉だという事に気付くレイ。
『神威賦与』で周囲を視てみるが、不自然な程に何も視えない。
つまりこの現象は魔法では無く、ケートスの神性が由来なのだろう。
仮に視えたとしても、解析出来る自信が無い程の意味不明な現象に困惑する。
そんなレイを置いてニイルとケートスの会話は続く。
【しかし貴様の力は随分と弱まった様だな?先程感じた力も、昔と比べてか弱く儚い。我らから受けた傷は深いと見える】
「貴方こそ、今までコソコソとよく逃げ延びていましたね?海に入っても力を感じられなかったので、とうの昔に死んだものと思っていましたよ」
ケートスの言葉に挑発を返すニイル。
一瞬の間の後、激しい怒りと共に言葉の濁流が3人へと流れ込んでくる。
【ふざけるなよバケモノ風情が!貴様が我らに、いや我が主達に行った蛮行!その罪を贖わせる迄は、我は決して滅びん!】
その強烈なまでの激情に、レイだけでなくディードすら思わず身構えてしまう。
しかしその怒りを向けられて尚、ニイルは不敵に笑みを浮かべ、吐き捨てる様に言った。
「ハッ!蛮行と言うなら、貴方達の行いの方が余程蛮行でしょうが!私達は抵抗しただけ!恨むなら自分達の愚かさと弱さを恨むんですね!」
先程からニイルにしては珍しい態度のレイに、余程の因縁がある様だと悟るレイ。
それは関係の浅いディードですら感じた様で、2人の会話に口を挟んでくる。
「随分と因縁深そうじゃねぇか?テメェら一体何があったんだ?」
それに少し頭が冷えたのか、ため息を吐きながらニイルが答える。
「昔、彼らと殺し合いをしただけですよ。まさかこんな所で出会うとは思ってもみませんでしたが」
そのニイルの言葉にケートスも答える。
【それはこちらのセリフよ。まさか我にじゃれついてきた『幻想種』を追って来てみれば、忌々しい気配を感じようとはな。これで積年の恨みも果たせるというもの】
その言葉にハッとし、ニイルを見るレイ。
「まさか、さっきの戦闘で全力を使ったから!?」
それにディードも気付いたのだろう。
2人の視線を受け止めながら首肯し、ニイルが答える。
「えぇ、先程の戦いで大々的に力を使い過ぎてしまった。それで奴に私の存在がバレてしまったのです。私も奴が生きていると知らなかった。それ故に油断しました。知っていたらあんな強硬手段は用いなかったのですがね」
忌々しげな表情を浮かべ、ニイルは続ける。
「話して分かった通り、奴との対話は不可能であり、そして戦力差は絶望的です。恐らく逃げる事も厳しいでしょう。何より、奴らに私が生きていると知られるのは不味い。故にここで確実に殺すしかありませんが……」
「殺すにしても勝算なんてあんのかよ?テメェが勝てねぇと言ったんだぜ?」
先程の自分が狙われているという言葉の真意を知り、それで得心がいったのだろう。
なるほどと呟きながらディードが口を挟んでくる。
「私が本気を出せばいけるでしょうが、そうなればどちらにせよ他の奴らに私の存在がバレて終わりです。本当ならここで詰んでいたかもしれませんが……」
ニイルも厳しいと分かっているのだろう。
苦悶の表情のままそう答えるが、一転して笑みを浮かべレイとディードを見つめ口を開いた。
「貴方達となら何とか出来るかもしれません。どうです?協力してくれますか?」
最後にディードを見やり、そう問い掛けるニイル。
レイは当然ながら、ディードはケートスにとって眼中に無い存在である。
そんな彼を巻き込むと暗に伝えたニイルだったが。
「ハァ?協力も何も、こんな面白そうな事を目の前にして、俺を除け者に出来ると思ってんのか?寧ろ俺の邪魔をしねぇ様にテメェらが協力しやがれ」
獰猛な笑みを浮かべ、ディードにそう返されてしまった。
これには思わず苦笑してしまうニイル。
そんなニイルにレイも言葉をかける。
「例え相手が『幻想神種』なる存在だろうと、私達もただの人間では無いわ。それに一度は退けた相手なんでしょう?なら私達が負ける道理も無いわね」
何の気負いもなくそう言い放ったレイに、今度こそ自然な笑みが漏れるニイル。
レイの成長を感じつつ心強い2人に気を取り直し、ニイルは高らかに吠えた。
「よろしい!では私達3人で、御伽噺の様な怪物退治といきましょうか!」
その言葉に更に怒りを募らせたケートスが、魔法を展開しながら叫び返す。
【ほざくな!バケモノ風情が!今度こそ貴様に天罰を与えてくれようぞ!】
こうして神話の時代を彷彿とさせる戦いの幕が、切って落とされたのだった。
如何でしたでしょうか?
次回よりこの章最大の戦闘が始まります!
ちゃんと分かるように書けるか不安ですが頑張りますので、応援よろしくお願いします!




