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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第4章 ???編

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83/87

幻想神種

はいどうもニノハジです〜

新たに現れた謎の存在!

遂にその正体が判明します!

楽しんでいただければ幸いです!

ではどうぞ!

 ニイルの声に反応出来た者がどれだけ居ただろうか。

 レイやディード、その他数人の獣人族(ビースト)は反応し海に飛び込むが大半の者達、特に先程の戦いで怪我を負い治療中だった者達などが取り残されしまった。

 彼らを巻き込み沈み行く船。


 無事だった者達も何が起こったか理解出来ず、思考停止に陥りそうになった時、2人の叫び声が意識を現実へと引き戻す。

魚人族(マーフォーク)!沈んだヤツらの救助!残りのヤツらはそれを援護しこの場を離脱しろ!」

「レイ!全力戦闘!」


 ディードとニイルの叫びにいち早く反応し、全ての力を解放するレイ。

 それに1拍遅れ、亜人達がそれぞれ行動を始める。


 鳥人族(ハーピー)以外の全員が海へと落ち、レイも水中行動が出来る様に魔法を展開しながら周囲を見回……


「レイ!下です!」

「くっ!?」

 ……そうとしてニイルの警告に咄嗟に障壁を展開。

 その瞬間障壁が破壊され、衝撃で水上へと弾き出される。


「レイ!クソ!」

 それを心配する余裕すら与えず、ニイルにも下から巨大な水刃が襲い掛かる。

 その大きさはニイルの身長を優に超え、更に速度は魔鮫(スクアルス)の比では無い程に速い。

 故にその破壊力は凄まじいものがあり、レイはそれに耐えられず弾かれてしまったのだろう。

 ニイルも間一髪避ける事に成功するが、更に次々と水刃が迫る。

 連射速度も魔鮫(スクアルス)とは比べるべくもない。

 そんな斬撃の雨が下から襲い掛かって来ていた。


「舐め、るなぁ!」

 その全てを『神威賦与(ギフト)』にて解析、ニイルに()()()()()()全て吹き飛ばす。

 そのまま水刃が迫って来た方向へ向けて、大量の氷魔法を撃ち込んだ。

 更にその隙にニイルは他の者が巻き込まれない様、船から移動する。


「んだこりゃ!一体何が起きてる!?」

 大量に魔法を撃ち込んだお陰か。

 一時的に攻撃が止み、その隙を縫ってディードがニイルの隣にやって来る。

 咄嗟の判断で部下に指示を出したものの、彼も事態を完全に把握出来ていない様だった。


「敵の狙いは()()()()です。私達が引き付けている間に、貴方は全員を避難させてこの場を離脱してください」

 そんなディードにニイルは指示を出す。

 先程の攻撃、あれはレイとニイルのみが狙われ、その付近に居たディード達は全く狙われていなかった。

 つまり今なら2人以外はこの場から離れる事が可能だと言う事。

 そしてニイルは()()()()()()()()()()()


「何か知ってんのか?」

 それ故の指示だったのだが、その言葉でディードも気付いたのだろう。

 少しの懐疑心をもってニイルへと問い掛ける。

 それに厳しい表情を浮かべながらニイルが答えた。

「この事態は想定外であり、そして最悪以上の事態です。そして、この事態を招いた理由の半分は()()()()()()()()()。今は時間が惜しいので詳しく説明出来ませんが、意識がこちらに向いている今がチャンスです」


 それに尚も疑いの目を向けつつディードは言う。

「テメェら2人で相手にすんのか?こちとら亜人部隊だが精鋭だ。戦える奴らは残した方が……」

「無駄です。足でまといにしかなりません。()は普通の人類では戦いにすらならない。今は一刻も早く彼らを避難させる事が先決です」

 ディードの言葉を遮りニイルが答える。


 ニイルの予想が正しければ、今襲って来ている存在は人では到底太刀打ち出来ないモノであった。

 ()()()()『英雄』レベルでも無理であろう。

 であれば国へと戻り、戦力を整えた方がまだ希望は見えると判断したのだ。


「チッ!なら後で説明してもらうからな!」

 その説明にディードも一応理解はしたのだろう。

 渋々といった様子でそう言い、船の方へと『水底』で()けて行く。


 先程のニイルの言葉で、ニイル達に裏切りの疑惑を抱いたのだろう。

 しかし、それよりも部下の命を優先したディードの後ろ姿を見つめながらニイルが呟く。

「生きていたら、な……」


 ニイルでさえ死を覚悟する程の事態に、思わず弱音が零れる。

 それに自嘲気味に笑い、気を取り直してレイへと通話魔法を繋いだ。

(レイ、無事ですか?)

(大丈夫よ、吹き飛ばされただけでダメージは受けてないわ。今は攻撃も止んでいるから、水上で様子見しつつ皆の救助を手伝おうと思っているのだけれど、どういう状況なの?)


 それに、一応念の為神威賦与(ギフト)による索敵を行いながらニイルが答える。

(敵の狙いは私達です。今は私が引き付けておきますので貴女は一刻も早くその場から退避してください。念の為救助には加わらず亜人達から離れて撤退する様に)

(分かったわ。ならとりあえず貴方の援護に向かうわね)


 そのレイの言葉にやはりな、と苦笑を浮かべつつニイルは言う。

(私は逃げろと言いましたよ?今私達を狙っている存在は貴女どころか私でさえ敵うか分からない相手です。そんな相手と貴女を戦わせる訳には……)

(狙われてるのは私もなのでしょう?なら逃げたっていずれは戦う事になるわ。であれば貴方と一緒に戦う方がよっぽど安全でしょう?家族なら助け合うのが1番じゃないかしら?)


 レイから想像通りの言葉が帰ってきて、思わず笑ってしまうニイル。

(見捨てないと思ってたが、やはりこうなるか)

 例えどんな相手でも以前からの家族を裏切らないという、言葉通りの言動をするレイにそう独りごちる。


(分かりました。では敵は遥か深海に居ます。ひとまずこちらにおびき寄せ……っ!)

 最早何を言っても聞かないだろうと半分諦めを含んだ指示をレイに伝えていた時、周囲の海水の流れが不自然に変化したのに気付く。

 すぐさま障壁を展開するが直後、見えない何かが障壁にぶつかる。

 その衝撃は凄まじく、先程のレイ同様水上へと押し上られたのだった。


「ニイル!」

 通話魔法の途中でニイルからの応答が途切れた直後、凄まじい勢いで水中から弾き出されたニイル。

 それを見ていたレイは叫び声を上げるが、その直後にニイルに続いて現れた物体に声を失う。

「なに……あれ……」


 突然水中から現れた巨大な存在。

 どうやらそれがニイルを、水上を超えて空中にまで弾き飛ばしたのだろう。

 あまりにも大きな物体に一瞬思考が停止しかけるが、瞬時に意識を切り替えその物体を解析する。

 しかし……


「何も見えない!?」

神威賦与(ギフト)』を用いてその存在を視ようとすると、何故か視界に何も映らないのだ。

 不自然にその空間だけ、その部分だけの情報が全く表示されない。

 今まで無かった現象に驚き、能力を解除してみると途端にその物体が見える様になる。

 どうやら能力を使っている時だけ、目の前の存在が認識出来なくなる様だった。


(そういえば以前ニイルが言っていたわね。上位の『神性』持ちは視る事が出来ない……こういう事ね。つまり()()も『幻想種』という訳かしら)


 改めて観察してみると御伽噺に出てくる龍の様な鱗を持ち、更に巨大な目が存在しているのが見える。

 近くにいる為分かり辛かったが、鱗も相まって今見えている部分が物語に出てくる龍の顔に似ていると感じるレイ。

 身体全体は未だ水に隠れて判別出来ないが、海から出ている顔の部分だけで先程の死骸よりも何倍も大きい。

 それだけでこの『幻想種』が規格外の巨大さだという事が分かる。

 そんな存在がこの海で生きている事実に衝撃を受けた。


(確かにこのアーゼスト(ほし)の約7割が海だと言われているけれど、これ程巨大な存在が潜む事が可能なのかしら?)

「オオオオオオオオッラァ!!!!」


 思考が分析に集中しかけた時、遠くから聞こえて来る叫び声に意識を引き戻される。

 見れば凄まじい勢いで飛来してきたディードが『幻想種』へと飛び蹴りを繰り出していた。

 激しい音と共にレイにまで届く程の衝撃。

 しかしその巨体故少しグラつく程度に収まり、『幻想種』は海へと潜っていく。


 その時垣間見えた身体は鯨の様に太く、そして全体を見渡せない程に長い物だった。

 そんな身体にそぐわない俊敏さで、完全に海中へと姿を隠す『幻想種』。

 その間に体勢を立て直したニイルに、レイとディードが『空底』で近寄る。


「どうしてここに?部下達はどうしたのですか?」

「アイツらなら全員この場を離脱したぜ。だが、船も無い状態でこの距離だ。どう頑張ったところで国に戻るまで1日は掛かるだろう。その間に()()の足止めをしなきゃなぁ?」

 ニイルの疑問にディードが答える。

 そしてニイルに疑念の目を向け、ディードがこう続けた。

「それにテメェらが裏切ってねぇか見張っとく必要も有るからな?」


 それはニイルがこの事態を引き起こしたという発言から来る物だったのだが、それをレイは知らない。

 故に抗議の声を上げようとしたその時、海上から派手な音を立てて水柱が上がり、その中から『幻想種』の顔が姿を現した。


「やっぱとんでもねぇデカさだな。死んでた奴とは比較にならねぇ。最早立派な島だぜ。ありゃ一体なんなんだ?」

 改めて見るその顔の大きさ、そしてそこから伸びているであろう胴体を想像し、流石のディードも驚きを隠せずニイルへと問う。


 その質問を受けて、そして『幻想種』を含む全員の視線を一身に受けて、ニイルはこう答えるのだった。

「奴は『原初の海獣(ケートス)』。全ての生態系の頂点に君臨する神に最も近い存在、『()()()()』と呼ばれる存在の内の一体です」

如何でしたでしょうか?

色々な伏線回収が出来た回だと思っております。

詳細は次回以降判明していくと思いますので是非ご期待ください!

ではまた次回にお会いしましょう!

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