幻想を超えし『モノ』
はいどうもニノハジです〜
この章のラスボスだと思われていた『幻想種』が実は死んでいる!?
そんな展開です!
ワクワクしていただければ嬉しいです!
ではどうぞ!
レイ達の目の前に現れた巨大な死骸。
その有り得ない大きさに誰もが目を疑うが、しかしその物体から放たれる強烈な腐臭が、これが現実だという事を示してくる。
「この強烈な臭い……これが原因か」
「確かに、この大きさなら納得ね」
流石にこの距離では『柒翼』といえど辛いものが有るのだろう。
表情を歪めながら呟くディードに同意を示すレイ。
しかし半ば上の空で同意しただけで、目の前の現実を受け入れられた訳では無い。
何せ目の前の存在が、今乗っている船とほぼ同じか下手をすればそれ以上の大きさなのだ。
レイ達が乗っている船は決して小さくは無い。
寧ろ30人以上が乗船して尚余裕が有り、この国の頭首が乗るに相応しい物だった。
それと同等の大きさの生物など、レイは見た事も無かった。
そう、現実では。
「本当に、御伽噺に出て来る怪物の様な大きさね」
思わずそう呟くレイ。
それは他の乗員も同じ様で、2人を除いてほとんどの者が強烈な腐臭も忘れ、目の前の存在を呆然と眺めていた。
「多種多様な生物が存在すると言っても、これ程の大きさを誇る生物は『幻想種』以外存在しないでしょう。もちろん全ての『幻想種』が大きい訳ではありませんが、これでもまだ『幻想種』の中では普通のサイズです」
「これで普通か……俺の知ってる『幻想種』はこれ程デカくは無ぇが、だが存在感は確かに共通するところが有るな」
その例外であるニイルとディードがそう語る。
確かにディードの言う通り、体が大きいだけでは説明がつかない何かを、レイは感じていた。
確かに異様では有るのだが、それだけでは無いモノを感じる。
(これは……そう。『神性付与保持者』に出会った時の様な……)
そう思い立ち、『神威賦与』で解析を試みるレイ。
しかしその瞳で死骸を視た瞬間、眼と脳に激痛が走る。
「ぐっ!」
「先程の気絶でパスが途切れていましたからね。まだ1人で『幻想種』を視るのは止めた方が良いでしょう」
思わず呻いてしまったレイに、ニイルがそう告げる。
その瞬間ニイルとのパスが再接続されたのを感じ、激痛が和らいでいく。
そう、激痛の正体はその死骸から流れてくる情報量の多さによるものだった。
「一体、なんで……」
「『神性付与』や『神性』と同じで、『幻想種』も神の力を有しています。そもそも神の力を有しているから『幻想種』と成るのです」
疑問を口にするレイに、ニイルは『幻想種』について語り出した。
「『幻想種』とは基本的に、何かの要因で後天的に神の力を得た魔獣の事を指します。そのほとんどが大量の魔力が変質した結果生まれる力ですが、それでも神の力と呼ばれるだけ有りその力は強大です。そんな存在を識ろうと思えば、膨大な量の情報を処理しなければなりません」
確かにニイルの言う通り、パスを通して視てみれば、それは元は魔烏賊だった事が判明した。
今まで簡単に討伐出来ていた魔獣も、状況次第によってはこれ程強力な個体になる事に衝撃を受けるディード。
「マジかよ……これが元は魔烏賊だとはな……だが言われてみれば確かに巨大なイカって感じだな」
「今は死んでいるのでその眼で視えますが、今の貴女の力ではこのレベルの存在は視えない筈です。言い換えれば死んでいるからこそ、この程度で済んでいるとも言えるでしょう」
その事実に、神の力の強力さを垣間見て衝撃を受けるレイだったが、続くニイルの言葉が更なる衝撃をもたらす。
「しかし、そうなると問題は何故それ程強力な存在が死んでいるのか、という事です」
その言葉に全員がハッとなり、死骸に視線を戻す。
ニイルは続けた。
「確かに寿命という線も有るでしょう。いくら長い年月を生きる『幻想種』であろうと寿命は存在します。たまたま今寿命を迎えたとしても不思議ではありません。しかし死因がそれ以外だった場合、事態はより深刻なものとなるでしょう。何せこれ程の存在を殺せるモノが、近くに居るという事になりますから」
その言葉に周囲を見回してみるレイ。
しかし目の前の存在以外特に異変は見られず、今までと同じ海が広がるのみだった。
「流石に大きすぎるので、私達の眼をもってしても全てを解析するのには時間が掛かります。まずは解析を続けつつ、この死骸を観察して何か分かる事がないか調べてみましょう」
そのニイルの提案にレイとディードも同意し、船は更にその死骸へと接近するのであった。
獣人族達に無理をさせない様、交代で観察しながらレイとニイルもその眼で解析を続ける。
しかし先程のニイルの説明通り、『神性付与』での分析は思う様に進まなかった。
「いくら全力での使用じゃ無いとはいえ、この力でもここまで解析出来ないなんて思わなかったわ」
「死骸でも隅々まで調べようとすれば、その情報量は先程の魔獣の群れを優に超えるでしょうからね。制限された状態の私達では、いくら2人で分担しようとも本気で視れば脳が耐えられません」
遅々として進まない進捗に、少しの憤りを感じながら言うレイ。
それに渋面を浮かべながらニイルが返す。
何度も言う様にニイルは当然ながら、レイも成長中とはいえ自身の『神性付与』を十全に使用出来る訳では無い。
そんな中途半端な2人が『幻想種』を視ればどうなってしまうのか、先程の魔獣の群れでの事を思い出し舌打ちをしそうになるのを堪えるレイ。
「そもそも元は魔獣の筈なのに存在そのものがここまで変わってしまうなんて、実物を視た今でも信じられないわ」
「気持ちは分かりますがそれだけ『神性』、神の力が強力という事です。『神性付与保持者』や『神性保持者』が普通の人間とは一線を画す存在だというのは、その力に触れている貴女だからこそ分かるでしょう」
「それはそうなのだけれど……」
だからといって現状に対して不満をこぼさずにはいられないレイ。
しかし今まで出会ってきた『柒翼』やその部下達を思い出し、ニイルの言葉に納得してしまっている自分も居ると感じていた。
そしてその『柒翼』の1人であるディードに目を向ける。
彼は他の者が近寄りたがらない中、率先して観察を行っており今ではその死骸の上に立ち、その体をくまなく調査している最中であった。
そんな彼も一通り調べ尽くしたのか船へと戻ってくる。
しかし浮かべるその表情で結果はどうだったのか、大体は察せられた。
「とりあえず調べてみたが、特に何も変化は見受けられねぇな。まぁ見た事も無ぇ生物だから見落としてるって可能性も考えられるが……」
そういうディードの顔からは疲労の色も伺えた。
それはそうだろう、何せ他の獣人族達の代わりに、酷い悪臭に長時間晒され続けているのだ。
レイ達は人間故にそこまで酷くは無いものの、獣人族である彼にとってはキツイ現状であろう。
「確かに『幻想種』ならば魔獣以上に特殊な器官を備えているモノも居ますが、それらが死因に繋がる可能性はほぼ無いでしょう。彼らが死ぬ原因は老衰か攻撃による外傷……」
「あれ?これって……」
その時解析を続けていたニイルが何かを発見する。
同時に、同じ力で解析していたレイも何かを視た様で声を上げた。
しかしそれを言おうとした直前、別の場所から声が上がる。
「ボス!大変だ!コイツの死因が分かりましたぜ!」
それは一応の為と周囲を索敵させていた魚人族からの報告だった。
周囲の索敵の後、死骸の調査も行っていた彼からの報告に、その場の全員は驚愕する。
「このバケモノ、水から出てる部分は傷1つ無ぇのに、沈んでる部分がゴッソリえぐれてるんでさぁ!他にも触手が何本か千切られてたりして見えない所はボロボロですぜ!」
「んだと!?」
その報告を受けて急いで全ての魚人族に指示を出すディード。
その結果、水中のその傷が死因だという事が明らかとなった。
そしてそれはレイとニイルが発見した情報とも通ずるモノがある様で。
「確かに、死因の所で外傷と表示されているのだけれど……何故か不自然に情報が見えないのよね。こんな事初めてだわ」
レイとニイルの『神性付与』をもってすればその外傷や死因が何かすらも詳細に解析される。
例えばナイフによる刺殺や魔法による火傷等……
怪我の種類や原因、それがどれだけ命に関わるのかすらも詳細に識る事が出来る。
しかしそれが今回に限りその部分だけ解析出来なかったのだ。
詳細に言うなら見えなかったと表現する方が正しいだろう。
そしてそれはレイだけでなくニイルですら同じだった。
つまりこの事象が示す事実は1つ。
「しまった!これは……!」
その事に気付いたニイルが眼を全力で解放。
死骸では無く周囲の海を見つめて不自然に視えないモノが接近している事に気付く。
「全員!飛べぇぇぇぇぇ!!!」
ニイルの『神性付与』をもってすら認識出来ない存在、つまりより高位の『神性』の持ち主の接近に気付き声を上げるが一足遅く。
レイ達の船は一瞬して真っ二つになったのであった。
如何でしたでしょうか?
突然の事態に襲われるレイ達。
果たして『幻想種』を殺したのは何者なのか?
そしてレイ達を襲った存在とは?
次回に判明しますのでお楽しみに!




