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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第4章 ???編

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力への恐怖

はいどうもニノハジです〜

果たして現状の打開策とは?

そんなお話です!

ではどうぞ!

「向こうの思惑が分からない以上、早期決着をさせた方が良いかもしれません」

 そう語り終えたニイル。


 確かに今回の目的は原因の排除、つまりは『幻想種』の討伐である以上、ここでの疲弊を避けるのは道理である。

 しかし、それが出来ない故の現状なのであって……


「言いてぇ事は分かるが、それが出来たら苦労しねぇよ。現にさっきのとんでもねぇ魔法でだって、雑魚は減らせたが大物は殺れなかったじゃねぇか」

 それを理解しているからこそ、ディードも難色を示す。

 レイもディードと同じ感想を抱いていた。


 先程のレイの魔法、魔力を節約したとはいえレイの持つ全てを用いた本気の攻撃だった。

 それで約半数は減らせたが、高ランクの魔獣は未だ健在。

 同じ手法を繰り返したとしても殲滅出来るかどうかは怪しいところではあった。


 もちろん現状は『雷装』等は使用しておらず、全力で戦っているとは言い難い。

 しかし仮にそれを使用した所で、現状をすぐにでも打開出来るとは到底思えなかった。


「俺の『神性(のうりょく)』だってそうだ。アレは確かに強力だが殲滅力は対してねぇ。1体1ならまだしも、1体多の状況じゃ速攻で終わらせる事は出来ねぇぞ?」

 どうやらディードの方もレイと似た状況らしく、同じ様な所感を述べている。

 未だにその能力の詳細は不明なままだが、この状況を打開する様なモノでは無いのだろう。

 つまりはこのまま現状を維持し、地道に敵を減らすしかない、と2人は思っていたのだが。


「使いたくありませんでしたが奥の手を使います。これが決まれば一瞬で片がつくでしょう」

 どうやらニイルには切り札が有る様であった。

 レイすら知らない事実に驚きの声を上げる2人。

「んだそりゃ!?そんなの有るんならさっさと使えよ!」

「言ったでしょう?奥の手だと。これを使うには色々と制限が有るんですよ」


 この戦闘で少なくない亜人達が重軽傷を負っている。

 それを思えば、声を荒らげてしまうディードの気持ちも分かりはするのだが。

 それでも鬱陶し気にニイルは言い、言葉を続けた。

「まずこの数と、更に水中という事でかなりの負担が想定されます。恐らく私1人ではその負荷に耐え切れません。レイにもその負担を背負ってもらう事になります。それでも相当な物となるでしょう。その後は暫く戦闘に参加する事は出来なくなる筈です。いくら回復薬が有るとはいえ、後々の事を考えると切りたくないカードなんですよ。それに……」

 そこまで言ってディードを見るニイル。

 そして不敵な笑みを浮かべこう続けるのだった。

「貴方達『柒翼』には隠しておきたいでしょう?」

「ハッ!確かになぁ!?」

 それに思わず吹き出してしまうディード。

 確かに今は敵対していないとはいえ、本来ならレイの復讐相手の集団である。

 その内の1人である相手には隠しておきたいと考えるのが普通だろう。


 しかしこういった正直者の手合いは好ましいと感じるディードである。

 寧ろ好感が持てる事から上機嫌でニイルへと話す。

「それで?どうするんだ?」

「発動までに数分時間を要する事でしょう。皆さんにはそれ迄の時間稼ぎをお願いしたい。合図の後、皆さんは船上へと避難してください。敵の掃討が完了したら速やかにこの場から離脱、私達は動けませんので回復する迄の護衛をお願いします」

「良いだろう」


 そうして、ディードは嬉々として部下に指示を出し始めるのであった。



「ふー……」

 亜人達全員に指示が周り、作戦開始の時となった。

 現在、レイは水中にて待機し息を整えている。

 緊張している訳では無い。

 ただ、自分に宿っている力の本当の使い方を知り、少し恐怖してしまったのだ。

 その原因となったニイルの言葉を思い出す。


「貴女に宿したこの『力』、これは本来あらゆるモノを視通す力だと以前説明しましたね?今は魔法でしかその力を活用していませんが、本来ならその眼は本当に()()()()()()を視る事が出来るのです。それは物質だろうと現象だろうと関係無く」

 更にニイルは続けた。

「全てを視通す事が出来るのならば、その構成を知りそれを改変する事も可能。それは魔法を書き換えている事からも貴女は既に知っている筈。ならばそれは物質にだって言えると思いませんか?そして貴女はそれ1度目にした事が有る」


 そしてレイは思い出した。

 かつてまだ2人が出逢ったばかりの頃。

 ダンジョンにて宿敵の1人であるベルリと遭遇し、そして最後には砂となって消えた。

 いや、正確にはニイルが砂にした、と言うべきだろうその時の事を。


「あらゆるモノの情報を書き換え別のモノに。更にはその情報を崩し消し去る事すら可能とする。眼に視えさえすればあらゆるモノを支配出来る、それがその眼の本当の使い方です」

()()()()()()()()()()

 最後に囁いたその声はレイに届く事は無かったが、それでもその身に宿った力の強大さをハッキリと自覚した様だった。


 その時の事を思い出し、少し身震いしてしまうレイ。

 何せこの力の本当の恐怖を正しく理解してしまったのだ。

 それは、全てのモノが情報としてしか認識出来なくなる可能性。

 つまり……


(目の前に居る人ですら()()として捉え、全てのモノに価値を感じなくなるという事……)


 以前ニイルが語った価値観、それをレイも持つ様になってしまうかもしれないという事実に恐怖してしまう。


 かつてその話を聞いた時はそれは悲しい事だと、そんな考えは間違っていると否定したレイ。

 それは今でもそう思っているが、あらゆるモノを作り出し、消し去る事が可能となれば、そこに価値など見出す事が出来るのだろうか?


 全てのモノが無価値と感じる様になった世界で、今までと同じ言葉を吐ける自信はレイには無かった。


「怖くなりましたか?バケモノに成る事が」

 その時レイの後ろから声が掛かり、意識が現実に引き戻される。

 声の正体はニイルだった。

 彼は今、レイと背中合わせで立ち、目の前を見据えている。

 その表情は窺い知れないが、恐らく微笑んでいるのだろう。


「それがバケモノに成るという事の本当の意味です」

 まるで()()()()()()()()()()

 そう諭す様に言うニイルに、怒りが込み上げてくる。


(確かに考えが足りなかったのかもしれない、覚悟が足りなかったのかもしれない……!でも、それでも!私が憧れた彼を!私が惹かれた彼を!大切な家族を見捨てて良い理由にはならない!)

 確かに、全てに対して無価値に思える様になるのは怖い。

 人生にも価値を失い、ニイルがそんな価値観を持つ事になったのも頷ける。


 しかしそれが怖いからとニイルの元を離れれば、それは自身の言った事の否定、すなわち自分とニイル達への裏切りである。

 世界から裏切られたレイからすれば、それは絶対に許容出来ないものであった。


 それに何より……


「舐めないで?寧ろ貴方と同じになれると思えば嬉しい位よ」

 大好きなニイル(ひと)に近付ける、そう思えばなんて事は無い。

 これは心からの言葉であった。


「……ふふっ、そうですか」

 その言葉を受け、一瞬の間の後思わず笑い出してしまうニイル。

(やはり強いな……)

 そう感じ、そして見放さないレイに改めて感謝しながら口を開いた。

「さて、そろそろ作戦が全員に伝わった筈ですし、こちらも始めましょう。では全開でお願いしますよ?」

「了解よ」


 それにニイルとレイが同時に目を閉じる。

 そして『神威賦与(ちから)』を解放しようとした時、ニイルが思い出したかのように話し出した。

「そうそう、貴女の力はまだまだ不完全なので。今のままではバケモノに成る事など到底出来ないので安心してください」


 それは暗にレイの実力不足、そしてバケモノに至る事へ恐怖した事への揶揄(やゆ)だった。

 現にニイルの声色は少し笑っている。


 それを感じ取ったレイは、またしても怒りが沸き立つのを感じながら。

「そう!それは!残念ね!」

 そう叫びながら『神威賦与()』を発動する(ひらく)のだった。

如何でしたでしょうか?

書いてたら長くなったので、本来の想定と違う話になってしまいました…

でもこれはこれで書けて良かったなと感じております!

皆様にもそう思っていただければ幸いです!

ではまた次回!

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