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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第4章 ???編

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78/88

海上の激闘

はいどうもニノハジです〜

本格的な戦闘が始まりました!

初の試みとなるので楽しんでいただければ幸いです!

ではどうぞ!

 レイの叫びと共に瞳が黒く染まる。

 それと同時にレイにしては珍しく、空中に魔法陣を展開していく。

 その数は次第に増していき、ほんの1分足らずで視界を覆い尽くす程にまで膨れ上がった。


「おいおい……こいつぁ……」

 魔法に疎い獣人族(ビースト)であるディードでも流石に分かる。

 レイが行おうとしているのは『大規模魔法』だと言う事に。


 大規模魔法とは、複数の魔法師達で構成する魔法の事である。

 その名の通り大規模故、1人では到底処理しきれず複数人を必要とし、各々が作り上げた魔法陣を組み合わせ1つの魔法とする、そのほとんどが広域殲滅用として使われる魔法だ。

 遥か昔に起こったという戦争の際に開発され、軍事兵器として使用されたソレは、もちろん1人が使用出来る物では無い。

 先述の通り、この魔法は広範囲であり高出力。

 故にその魔法はかなりの複雑さを有しており、それぞれの魔法陣を魔力で無理やり繋げる為、魔力の消費も尋常では無い。


 当然、普段のレイでは1人で使用する事など不可能。

 あらゆるモノを解析する眼と、今まで得てきた知識や技術を総動員し、それを行うのに必要な脳の演算処理を、ニイルに少し肩代わりさせている。

 ルエル戦の時から繋がっているパスを用いる事で可能とした偉業であった。


 しかし、それでも普通の人であれば1人で魔法を発動する事は出来ない。

 それを可能とするのは彼女がそれだけの魔力を扱うことが出来き、そしてそれに(おご)らず努力する魔法の天才である事。

 何よりこの短期間でそれ程までに『神威賦与(ギフト)』を使いこなすという、以前ニイルが疑問視していた順応性の為せる技であった。


(雷魔法をベースに余分な箇所は削除、更に魔力効率を上げるために『重複』を使用し、ここを書き換えて魔法陣を自然に繋げる……)

 解析した魔法陣を書き換え、先日学んだ技術である『重複』すら利用して、今有る全てで魔法陣を構築していく。

 そうする事で視界全てに広がる程存在した魔法陣が、段々と1つの魔法陣へと形を変えていく。

 その間僅か数分。

 一流の魔法師が複数人で発動する魔法を、1人の少女がそれだけの時間で作り上げてしまった事実に。


「まさかこれ程とは……」

 初めて目にするレイの姿に、ニイルも驚きの声を上げる。


「まずは数を減らす!」

 そうして目前まで迫った魔獣達へ向けてレイは叫び、魔法陣に魔力を流し込んだ。


「テメェら伏せろぉ!」

 それと同時にディードは部下達へ叫び、ニイルは船に障壁を展開。


 そして世界が閃光に包まれた。


 次いでやって来る轟音。

 激しい揺れと共に肌が粟立つ感覚が全員を襲う。

 そして目が光に慣れ始め、(まぶた)を開いてみるとそこには。

 無数の魔獣が息絶え、海上を漂っていた。


「ふう……」

 一息つくと共に剣を抜くレイ。

 ぶっつけ本番の試みだったが、無事に成功した様で安心する。

 それを見て笑いながらディードが問い掛けた。

「ハハッ!凄まじいなぁ!?今のは雷か!?」

「えぇそうよ。海に向かって雷を落としたの。水中では威力が落ちる代わりに広範囲に広がるのでしょう?それを利用させてもらったわ。でもやっぱり威力が落ちた分、あまり数は減らせなかった様だけれど」


 冗談だろ、と未だ肌がビリビリとする感覚を抑えながらディードは思う。

(減らせなかったとコイツは言うが、それでもざっと見た限り半数近くは殺ってるんじゃねぇか?生き残りも痺れて動きが鈍ってやがる。これをたった1人でやり切るたぁなぁ?)


 ともすれば『柒翼(じぶんたち)』に並ぶかもしれない強者との出逢いに自然と笑みが零れ、武者震いが起きる。

 その感情を爆発させる様にディードは高らかに吠えるのだった。

「野郎共ぉ!外者に目立たせてどうすんだ!俺達の実力を見せてやれ!」


 ディードに共鳴する様に雄叫び上げ、海へ飛び込んでいく亜人達。

 ディードもそれに続き海へ飛び込んで行く中、ニイルがレイに声を掛けた。

「やれやれ……無茶をしましたね。まさかあれ程派手にやるとは思いませんでしたよ。障壁が間に合って良かった」


 苦笑いを浮かべながら言うニイルだったが、レイはそれどころでは無い様子で。

「そこはニイルを信用して……それより!彼等が海に飛び込んで行くのだけれど大丈夫なの!?」

 と、慌てて叫ぶ。


 以前獣人族(ビースト)達は魔法が使えないと教わったレイ。

 それなのに海に飛び込んで行く彼等を見ての心配から来る言葉だったのだが。


「あぁ、大丈夫ですよ。彼等も伊達にこの辺の警備をしていません。彼等は魔法が使えない代わりに、それ以上とも言える程の身体能力を備えていますから」

 そう言って飛び込んで行った方を見るニイル。

 レイもそちらに視線を流すとそこには。


「オラオラオラァ!」

 魔獣をその爪で切り裂きながら水中から空中、そしてまた水中へと自由に翔けるディードの姿が有った。


「嘘っ……!」

 それに驚き、船縁(ふなべり)へと駆け寄るレイ。

 見ればディードだけで無く、他の獣人族(ビースト)達も同様に、自在に空を翔けていた。


「あれは『空底(くうてい)』と言って、空中の空気を蹴り、移動する方法だそうです。それを応用し水中の水を蹴って進む『水底(すいてい)』の2つで自由に移動しています。獣人族(ビースト)の優れた運動神経が為せる技ですね」

「へぇ……」


 そう解説するニイルだったが、レイの意識は最早そちらに無く、その黒い瞳で獣人族(ビースト)の動きを解析するのに夢中であった。


(あの動きを解析し、自分のモノにしようとしている。やはりこの子は貪欲だな)

 修行の時も感じていたが、レイの貪欲さと負けず嫌いが彼女の成長を何倍にも引き上げている。

 対象が亜人という違う人種でも、その学習意欲は失われないのだろう。

 その事に自然と笑みが浮かぶニイル。


「おいおいどうしたぁ!?さっきの魔法でもうへばっちまったかぁ!?その程度で動けなくなるんなら大した事ねぇなぁ!」

 そんな2人を挑発するディード。

 そうする事によって、レイとニイルの更なる実力を目撃しようと考えているのだろう。

 現に、挑発しながらもディードの顔には無邪気な子供の様に笑顔を浮かべている。


 いくらレイが半数近くを片付けたといっても、未だ危機的状況には変わりない。

 そんな状態にも関わらず、そう言ってのけるディードに呆れるニイル。


「……上等!」

 そしてそうと分かっていながらも、負けず嫌いの性分故海へと飛び込もうとするレイ。

 それにニイルが言う。

「レイ、魔力の方はまだ大丈夫ですね?」

 ニイルも『神威賦与(ギフト)』を使用している事からレイの状態は把握出来ているのだが、一応の為問い掛ける。


「えぇ!節約もしたし、まだまだ余力は残っているわ!」

 そう答えるレイにニイルは言う。

「よろしい、ならば忠告です。魔法を使うのならなるべくディード(かれ)に近寄らない事です」

「それってどういう?」

 不思議そうに言うレイにニイルは答えた。

「視れば分かります」


 尚も疑問が残ると思いつつも、これ以上の問答は無駄だと判断したのか海へと飛び込んで行くレイ。

 そんな彼女に、以前使用した水中活動を可能とする魔法を掛け……

「全く……中身はまだまだ子供ですね」

 と、ため息と共にそう吐き出すのだった。



 海中へと飛び込んだレイ。

 自身で付与しようとした水と風の複合魔法がニイルから与えられた事に気付き、心の中で感謝を述べつつ周囲を見回す。

 解析結果によると、先程の魔法でランクの低い魔獣は倒す事が出来たが、魔鮫(スクアルス)等の高ランクの魔獣は少し弱らせる程度に留まり、ほとんど倒せていない事が判明した。

 お陰で他の亜人族達が、数的不利も相まって厳しい状況に陥っている事を教えてくれる。

 その中でも一際派手に暴れているディードを見つけ、彼も水中に入ってきたレイを発見する。


「さぁ見せてくれや!てめぇの実力を!」

 ディードのその言葉に不敵に微笑み、まずは近くに居た魔鮫(スクアルス)を一体、斬り捨てるレイなのであった。

如何でしたでしょうか?

この作品始まって初の水中戦となります!

色々書きすぎて訳分からなくならない様に気を付けたいと思いますので楽しんでいただければ嬉しいです!

では次回もお楽しみに!

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