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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第4章 ???編

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災厄の海

はいどうもニノハジです〜

遂に現れた新たな柒翼、ディード。

そんな彼と出会ったレイ達はどうなったのか!?

それをお楽しみいただければ幸いです!

ではどうぞ!

「まさか本当にすぐ出発するなんて思いもよらなかったわ……」


 呆れを滲ませて言うレイ達が居るのは海上のとある船。

 あの後、半ば連行される様に船へと案内され、そのまま即座に出港したのである。


「以前屋敷のメイドから聞いた通り、随分と自由奔放な人物の様ですね」

 これにはニイルも苦笑しながら答えるしかない。


 2人共早期解決を目指して行動していたが、まさかそのまま直ぐに現場に連れ出されると思っていなかった。

 しかもこの国の頭首に連れられて、である。

 本来なら軍を編成し、国のトップは有事の際の対応の為、国に残るのが必定(ひつじょう)と考えていただけに、全てが想定外に進んでいる現状に困惑を隠しきれない。

 しかしそれはどうやらレイ達だけの様で。


「まぁ、いつもの事ですよ……」

 出発の前、屋敷にてレイはベスタを問い詰めたが、彼から帰ってきたのはそんな諦めを多分に滲ませた言葉だった。

 そしてそれはどうやら他の亜人達も同様で、皆苦笑して誰もディードの暴走を止めようとはしない。

 いや、正しくは止まらない事を知っているかの様な、そんな反応だった。


(彼等も苦労してるのでしょうね……)

 そしてディードの代わりに留守を任せられたベスタに思いを馳せ、少しだけ同情してしまうレイ。


「ハッ!あんな所で無駄な時間を費やす位なら、さっさと動いた方が幾分時間の有効活用になるだろうが!何時までもグダグダ言ってねぇでさっさと腹くくれ!」


 そんな遠い目をしているレイに、ディードが発破をかける。

 彼の言葉も一理有るし、早く動く事にはレイ達も賛成なのだが……

(そういう事じゃないんだよなぁ……)


 こうしてレイも、諦めてため息を吐く事しか出来ないのであった。



「そういや手紙にはテメェらの他に獣人族(ビースト)森人族(エルフ)が居るって書かれてたが、今日は居ねぇのか?」


 船が出発して程なく、船旅も落ち着きをみせ始めた頃、ディードがレイ達に問い掛けて来た。

 ランシュとフィオの2人も、最終的にスコルフィオとは少し仲良くなっていた。

 故にディードへ宛てた手紙にも、その2人の事を記していたのだろう。


「えぇ、彼女達は今別行動中でして。2人は情報収集に長けているのでそちらを任せているんですよ」

 その質問にニイルが答える。

 移動中、2人については口裏を合わす様事前に打ち合わせしていた為、レイも戸惑うこと無く口を開く。

「こちらからも聞きたいのだけれど、そろそろどこに向かっているのか教えてくれないかしら?」


 そして流れる様に話を逸らす。

 以前ニイルが言っていた様にこの国と2人、特にフィオの相性はとことん悪い。

 深掘りされて何かに気付かれない様にする為の策であった。


「ん?言ってなかったか?」

 その策はまんまとハマった様で、話題は今向かっている場所へと切り替わった。


「今向かってるのはこの大陸付近に存在する、()()()()だ」

「海域?」


 その言葉にニイルが反応を示す。

 それにあぁ、と肯定しディードは続けた。

「昔から入れば生きては帰れないと言い伝えられている場所でな?例えば直前まで快晴だったのに突然嵐が起こっただとか新造の船の舵が効かなくなったとか、果てには幽霊を見たなんて話も有る。まぁ、どれも眉唾だがな」

 と、最後は笑って締め括る。


 それを聞いたニイルは考える様に黙り込み、代わりにレイが疑問を口にする。

「眉唾なの?」

「あぁ、何せ随分昔から語り継がれててな。どれが本当なのかも分からん始末だ。しかし危険だという事だけは本当だ。過去に何度か調査しようと試みた奴らも居たが、例外なく全員が……いや1人だけ居たか、帰って来なかった。それでついたあだ名が災厄の海(エーリヴァーガル)、別名死を呼ぶ海と恐れられているのさ」


 その妙な言い回しが気になったレイだったが、代わりにニイルが口を開く。

「もしやその例外というのは、先日私達が助けた()の事ですか?」

「あっ!」


 その言葉にハッとするレイ。

 先日レイ達が海で助けた獣人族(ビースト)の男性は、ギルド曰く事件調査に出た人物だった。

 その彼を助けた事により、今こうして急遽船に乗り込んでいるとも言える。


 そしてニイルの指摘は正しかったらしく、ディードは笑みを浮かべながら答えた。

「鋭いな。その通り、てめぇ等が救ってくれた奴は、今回の事件の調査の為に派遣した奴だったのさ。俺も以前からその海域は怪しいと踏んでいた。だから今回、万全の準備を整えて調査に向かわせたんだが……」

「それでも失敗した?」


 そのニイルの言葉に渋い顔をしながら肯定し、続ける。

「恥ずかしい話、俺がその海域の調査を命じたのはこれで2回目だ。その時は伝承も半信半疑だったから、気楽に考えていた所為で34人も死なせちまった。だから今回はその轍を踏まない様に念入りに準備したんだがな……どうやらこっちの想定以上にヤバイ海域らしい」

「ちょっ、ちょっと待って?」


 そこまで聞いてレイが待ったをかける。

 以前レイ達が見た調査団は護衛の船を含めてかなりの数だった筈だ。

 それが高々海域の調査に行き全滅したという事実にも驚くのだが、レイが指摘したい箇所は他に有った。

「あの時私達が見た船は海底に沈んだ1隻のみで、しかも海底が見える程の場所でそこまで沖合に出ていなかったわ。まさかその海域はそんな近くに存在するというの?」


 もしそうなのだとしたら、他の船は何処に行ってしまったのか。

 あの時周囲を確認したが船の痕跡は全く見当たらなかった。

 もしかしたら今も無事で、調査を続けているのかもしれないとも考えられる。


 何より心配なのは、そんな危険な場所が人々の生活圏のすぐ近くに存在する事という点。

 それではいつデミーラ共和国に危険が迫ってもおかしくない。


 しかし、どうやらレイの考えは杞憂だった様でディードが否定する。

「いや、その海域はもっと沖合の場所で、そこは魚人族(マーフォーク)すら泳いで行くのに一苦労する場所に有る。だから謎なのは何であの場にアイツらが居たのかって事だ。流れ着くにしても距離が離れ過ぎてる。そこで……」

 そこまで言って不敵な笑みを浮かべ、レイとニイルを見やるディード。


「テメェらの考えを聞きたい。ギルドからの報告は受けているが、改めてテメェらの口から聞きたくてな?」


 それにレイとニイルは顔を見合せ、代表してニイルが口を開く。

「そういう事でしたら……」


 こうしてギルドで話した説明を、ディードにも行うのだった。



「という事で、恐らく彼等は『幻想種』の支配下にある魔鮫(スクアルス)に追われ、あそこまで逃げて来たのでしょう。しかしそこで追い付かれ沈められてしまった」

「『幻想種』なんて信じられないでしょうけど、私達はそう考えているわ」

 ニイルが説明し、最後にレイがそう締め括った。

 ギルド支部長もそうだったが、恐らく殆どの人間は『幻想種』という存在を知らないであろう。

 その事を配慮しての言葉だったのだが。


「いや、『幻想種』なら()()()()()

 予想に反して意外な言葉がディードから発せられた。

 その言葉に小さく反応するニイル。

 しかしそこに言及する前にディードは続けた。

「奴等にそんな力が有るとは知らなかったが、それなら全ての辻褄が合う。恐らくその海域に『幻想種』が住み着いているんだろう。なら普通の人間に対処出来なくて当たり前だ」


 まるで『()()()()()()()()()()()()口振りに、ニイルだけでなくレイも気になったのだが、それを指摘する前にディードが更に続ける。

「だが何故今更その『幻想種』が動き出す?少なくとも記録ではここ数百年でこんな事態は確認されてねぇぞ?」


 その点に関してだけはニイルにも分からず終いだった。

 住処に近付いたのなら分かるが、今回は特に前兆なくこの騒動が起きたという。

『幻想種』という存在を知らない人間が多数の中、殆ど人が立ち入らない場所に住んでいるであろう存在を、誰が刺激出来るのか。


「それは私にも分かりません。もしかしたら運悪く何かの拍子に目覚め、暴れているだけかもしれませんが……」

 ディードに感じた疑問点は置いておき、そう答えるニイル。

 しかしその言葉に何か思い当たる点を思い出したのか、考えながらもディードが口を開いた。

「いや、待て……確かここ最近、この近海を荒し回る海賊達が居たな……アイツらが何かしたか?」


 その後一頻り考え込んだ後、ディードが口を開いて。

「よし!この調査の後、アイツらにも話を聞いてみる……」


 そこまで言った所で、船に異変が襲い掛かって来たのであった。

如何でしたでしょうか?

再び海に戻ってきたレイ達ですが何やら事件の予感!?

そんな次回もお楽しみに!

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