世界で1番自由な首領
はいどうもニノハジです〜
2人目の柒翼との邂逅、果たしてどうなってしまうのか!?
そんなお話となります!
楽しんでいただければ嬉しいです!
ではどうぞ!
「まぁ、大抵の事は手紙に書いてあったんだが、てめぇの口からも聞いとかねぇとな?」
そう言いつつ笑みを浮かべ、レイを見つめるディード。
(まるで捕食者ね)
それに対し、レイがディードに抱いた第一印象はこれだった。
鍛え上げられつつも、しなやかさも併せ持つ肉体。
薄い金色の髪から覗く獣耳。
そして獰猛な笑みと相対した者を射竦める様な鋭い眼光。
その全ての要素が凶暴な肉食獣を思わせる。
それは敵を威圧し、味方を魅了するカリスマの様で。
(……っ!呑まれるな!今更臆してどうするの!)
その雰囲気に圧倒されそうになるレイ。
しかしかつて出会った『柒翼』達を思い出し……
「私達は……」
「貴方に訊きたい事があって来たのよ、ディード・ホグウェル」
ニイルの言葉を遮り、敢えて挑発的な態度をとって意識を切り替えた。
レイの態度に部屋内の空気も変わり緊張感が走る。
亜人達がレイに敵意を向け始める中。
「ハッ!良いねぇ!気の強ぇ女は嫌いじゃない」
当の本人であるディードは、寧ろ愉快そうに笑みを深めていた。
それに他の亜人達の空気も正常に戻っていく。
(流石、私が感じたカリスマ性は本物ね)
彼等の反応から、ディードがただ暴力による支配だけでは無いという事が伺い知れる。
特に同じ獣人族からの人望は厚いとレイは感じた。
「それで?訊きたい事は?……と、言いてぇところだが……」
そこでディードが立ち上がる。
「こっちも時間がねぇんだ。だからこっちの要件だけ伝えるぜ」
そしてディードはレイ達も驚く行動に出た。
「先日、同胞である獣人族を助けていただき、本当に感謝する。貴殿等が居なければ彼は今頃死んでいただろう。この事態が判明するのも遅れたかもしれん。国を代表し礼を言う」
「なっ……!」
「ほう……」
何とディードが頭を下げたのだ。
これにはレイも驚愕し、ニイルは感嘆の声を上げる。
(プライドが高い様に思えたけれど、同胞の為に簡単に頭を下げるのね……成程、これが世界随一の貿易国を創り出した男)
以前出会ったスコルフィオもそうだったが、たった一代で国を興した者達は、優れたカリスマ性を持っていた。
レイは今、その一端に触れた様に感じたのだった。
「なんだぁ?俺が他人に頭を下げるのがそんなに意外か?」
「いえ……」
そんな2人の反応に笑いながら言うディード。
核心を突いたその質問に、思わずレイも口篭ってしまう。
それに益々満足そうな笑みを浮かべディードは言った。
「俺がそういう風に振舞ってるのは舐められない為だ。いくら俺達が、そしてこの国が有用だと証明したところで、未だに偏見の方がデカイ。そんな状況でも部下達を、何より自分自身を守る為には大袈裟な位に力を誇示するのが手っ取り早い」
そして、と瞳の奥に隠しきれない獰猛な輝きを宿しながらディードは続ける。
「それが虚勢で無い事を証明する為に、俺は強くなり続ける。その為なら利用出来る物は何だって使うさ」
と、最後はレイを見ながらそう締め括った。
その視線でレイは気付く。
(つまり『柒翼』に居るのも強くなる為であり、14年前の出来事も否定はしないという事ね)
寧ろ肯定的でさえある、とレイは感じた。
何せスコルフィオの話では、当時のディードは静観の構え、しかもその理由が亜人だから人間と協力し辛い、という物だった。
確かにエレナート国との戦いでは、世界中のあらゆる国が大なり小なり参加していた。
その中に亜人が参加するとなれば、両種族共に不和を生み、要らぬ諍いにまで発展しかねない。
更に、当時はまだ貿易国として発展途上だったと聞く。
ここ数年で一気に発展したとの事なので、当時はまだ地盤固めに奔走していた筈、とスコルフィオは語っていた。
しかしここでレイはとある事に気付いてしまう。
それは自分にとっては最悪の想像だったが、それを確認する為レイはディードへ問い掛けた。
「1つ、いいかしら?」
「なんだ?」
それに深呼吸をし、気分を落ち着かせる。
この想像は考え過ぎで自分の思い違いだ、そう言い聞かせながら口を開いた。
「この国が貿易国として名を挙げ出したのは14年前以降かしら?」
そう、ディードがこの亜人の国を興したのは今から約100年前、そして貿易国として栄え出したのがつい最近の事だという。
ではそのつい最近がもし14年前から始まるのだとしたら……
考えたくも無い、しかし目を逸らしてはいけない想像に。
「だとしたら、なんだ?」
「っ!」
不敵な笑みを浮かべ、ディードはそう答えた。
それに目の前が真っ赤に染まる様な錯覚を覚えるレイ。
怒りで我を忘れそうになるのを必死に堪えながら、自身を落ち着かせるようにスコルフィオの会話を思い出す。
(彼女は言っていた。ディードは賛成でも反対でも無い、中立の立場を選んだと。彼女が嘘を言っていたとは考えにくい。なら……)
ディードはレイの言葉を肯定も否定もしなかった。
つまり戦争には参加しなかったが、その後の恩恵は享受した、という所だろう。
真実は訊いてみない事には分からないが、今はそう考える事で落ち着きを取り戻していくレイ。
「へぇ……」
それに興味深そうに声を上げるディード。
しかし次の瞬間、再び不敵な笑みを浮かべレイへと語り掛けた。
「お前が何を知りたいのか、何を訊きたいのか知らねぇが、何度も言う様にこっちは時間が無ぇんだ。お前達との会話はここで終わり。次会えるとしたらこの騒動が収まった後だな」
そう言って部屋を後にしようとするディード。
それに今まで沈黙していたニイルが内心で舌打ちをする。
(不味いな……今ので明確にこちらの立場が不利になった。これでレイは奴の話を訊くしかない)
今までは獣人族を助けた事により立場は対等に近かった。
しかし今では国の代表として礼を述べ、更にレイの知りたい情報を隠匿してしまっている。
これでは仮に、多少の無茶な要求を突き付けられたとしても受けざるを得ない。
「待ちなさい。まだそっちの話は終わっていない筈よ」
レイもそれを分かっているのか、渋い顔をしながら引き止める。
それに振り返りレイを見るディード。
その顔は獲物を仕留める野獣の様に、ギラついているとレイは感じた。
「何の事だ?こっちの話は今ので終わった筈だが?」
「とぼけないで。私達は貴方から協力要請が有るというからここに来たのよ。まだその話をしてもらっていないわ」
「協力?まさかお前達もこの事態解決に協力してくれるのか?」
(白々しい……奴の思い通りに話が進んでいるのが癪だけれど、今は我慢よ)
忌々しげに睨み付け、せめてもの抵抗を見せるレイにようやく満足そうな表情を浮かべ、座っていた椅子へと座り直し告げた。
「ハッ!冗談だ。手伝ってくれると言うのならこちらも助かる。それが強者なら尚更な。良いだろう、成功した暁には今回の礼も合わせて、お前達の話を訊く時間を設けてやる。それとも今礼金でも渡してやろうか?」
(言外に、言う事聞かないなら金で終わらせても良いんだぞ、という事ね。中々に頭も回る……厄介ね)
とことんまで相手を追い詰める辺り、正しく狩りを彷彿とさせるやり口だとレイは思う。
見た目に似合わず狡猾な手段を執るのも、そう考えれば納得してしまうから不思議だ。
しかし、だからといってそれで溜飲が下がる訳では無い。
「結構よ!その代わりに私達の質問には嘘偽り無く答える事を誓いなさい!」
ディードを睨み付けながらそう吼えるレイ。
「良いだろう。その時は全て正直に答えてやる。これで交渉成立だな」
飄々とそう言って、今度こそ部屋を後にしようとするディード。
しかし扉を開けたところで振り返り、レイ達へと問い掛ける。
「何してる?行くぞ」
それに困惑しながらも、未だ怒りが収まらないレイが問い返す。
「行くってどこに?」
「決まってんだろ?今回の原因の所だ」
レイの問に呆れ顔を浮かべながらそう言い残し、部屋を出ていくディード。
「…………今から!?」
暫しの後、ようやく理解が追い付いたレイの叫びが、屋敷中に木霊するのであった。
如何でしたでしょうか?
タイトルの通り自由かつ、馬鹿では無いという事が表現出来ていればなと思います!
そして次回から更に話が動き出しますので、今後ともお楽しみに!
ではまた次回、お会いしましょう!




