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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第4章 ???編

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動き出すナニカ

はいどうもニノハジです〜

遂に物語が動き出します!

水着回が少なかったのが私の唯一の心残りですwww

そんな回ですが引き続きよろしくお願いします!

ではどうぞ!

 今までレイ達の周りを泳ぐだけだった魔鮫(スクアルス)達が、一斉に襲い掛かって来る。

 通常、単独でしか行動しない魔鮫(スクアルス)が群れを成し、連携を用いてレイ達に迫っていた。


 確かに魔獣化すると魔法を使える様になる分、知能は上がると言われている。

 しかしその分凶暴性も増し、更に個体数も多くない事から、例外はあれど基本魔獣は群れを形成しない。

 特にレイ達の目の前に居る魔鮫(スクアルス)はその特徴が顕著で、複数体の同時目撃すら一切報告された事は無かった。

 そんな存在が10体以上、しかも全員が協力し1つの獲物を狙うというこの事態は明らかに異常であり……


「クソッ!」

 その厄介さはニイルでさえ顔を歪める程であった。

 故に瞬時に魔法障壁を展開する。


 直後魔鮫(スクアルス)の半数が全方向からから襲い掛かり、残りの半数がその隙間を埋める様に魔法を放つ。

 その魔法は水魔法によりヒレから水刃を打ち出すという物。

 水中で使う事により新たに水を生み出す必要も無く、威力も連射性能も高い。


 そんな無数の水刃が、水の抵抗など無視して4人へと迫る。

 よく見れば接近して来る魔鮫(スクアルス)達の背ビレや胸ビレも、魔力により薄く光り輝いていた。


 その魔鮫(スクアルス)達のヒレが、障壁にぶつかる。

 激しい音と共に海中が揺れ、魔鮫(スクアルス)達が距離を取った。

 しかし安心したのも束の間、その隙を埋める様に更に水刃が4人へと迫る。


「装填!」

 そこでレイが魔法装填で雷魔法を剣に宿す。

 レイの剣が青白く輝き、周囲に稲妻の弾ける音が響き渡る。

 それは数年前と比べ洗練され、威力も上がり魔力の拡散も極限まで減らされていたが……


「チッ!」

 水刃を弾いた際、正確に言えば周囲を覆う海水に触れた途端、雷となった魔力が海水を伝って流れ出してしまう。


「水中では雷が広がりやすくなる為威力が落ちてしまいます!別の魔法で対応を!」

「なら!」

 ニイルの助言に従い雷魔法を解除、先程魔鮫(スクアルス)が使っていた水刃を生み出す水魔法を剣に込める。

 そしてそれを振れば切先のみならず、剣の左右からも水刃が現れ、合計三本の水刃が海中を走り魔鮫(スクアルス)達の魔法を弾き飛ばしていく。


神威賦与(ギフト)で瞬時に解析し魔法を真似たばかりか、それを元に改良し威力も効果も上げている。能力と知識が向上している証拠だがしかし……)

 レイの咄嗟の対応に内心驚嘆するニイルだったが、如何せん数が多い。

 更に性能を上げたとは言え、水中ではレイの水刃より魔鮫(スクアルス)達の方が速い。

 4人へと迫る魔鮫(スクアルス)達はその全てを回避し、防壁を破らんと攻撃を続けていた。


「面倒ですね。この程度で障壁が破られる事は有りませんが、こちらも決定打が無い」

 ニイルが鬱陶し気に周囲を見渡しながら言う。


 もちろん本当に決定打が無い訳では無い。

 レイ以外の3人はほとんど戦闘に参加しておらず、レイも『雷装』すら使用していない。

 本気を出せばこの状況を突破する事も可能だろう事はニイルも理解していたが、しかしこの特異な状況下で今、本気を出して良いものか悩まされていた。


「なら、作れば良いのよ」

 そんな状況で響く、レイの一言。

 レイは魔法装填を再び雷に変え、剣先を海水に差し入れる。


「ハア!」

 次の瞬間、裂帛の声と共に剣に宿した雷魔法を全力で解放。

 周囲に激しい閃光が迸る。


 いくら威力が減衰すると言ってもレイの強力な魔法を、それも至近距離で受けた魔鮫(スクアルス)達。

 数体は絶命し、残りも弱らせる事に成功した。


 その弱った魔鮫(スクアルス)に、レイはまたしても瞬時に魔法を切り替え水刃を装填、剣を振り下ろす。

 避ける暇を与えず、次々と魔鮫(スクアルス)を斬り裂いていく。


 レイ達に直接襲い掛かって来ていた魔鮫(スクアルス)達を全て斬り捨てたレイ。

 しかし魔法を撃ち込んでいた残りの半数は距離が離れていた為、大して弱らせる事は出来ず水刃を回避していく。


「なら、もっと速く……」

 その様子を見たレイは、そう呟き構えを変える。

 脳内で展開していた水魔法も書き換え、状況に適応した魔法へと作り替えていく。


 回避出来ない程速く、視認出来ない程鋭く――


「フッ!」

 勢い良く吐き出した息と共に、凄まじい速度で剣を突き出すレイ。

 その剣先、遥か先に居た本来なら届かない距離に居た魔鮫(スクアルス)が、身体に拳大の穴を空け絶命した。


「ほう!」

 これにはニイルも驚きの声をあげる。

 この一瞬で、しかも戦闘中に全く新しい魔法を作り出したのだ。

 今までのレイなら出来なかったその行動に、レイの成長を感じるニイル。

(水刃の形状を変え、線では無く点で放つ。そうする事で速度を上げる、か。考えたな)


 その圧倒的速度に対応出来る筈も無く。


 残りの魔鮫(スクアルス)が全滅するのに、大して時間は掛からなかった。



「これで終わったかしら」

 周囲を見渡しながら剣を収めるレイ。

 ニイルも辺りを確認した後、ランシュへと視線を向ける。

 見ればランシュは目を瞑り、耳を小さく動かしていた。

 恐らく音を聞き分け、周辺の索敵を行っているのだろう。

 こうした索敵能力はこの中ではランシュが1番高い。

 ニイルも信頼している事から、その能力の高さは伺い知れる。


 その後目を開け頷くランシュ。

 どうやら周囲には脅威となる様な存在は居ないらしい。

 それに一同が安堵の息を零し、ニイルが口を開く。

「よし、では戦利品を回収した後周囲の……?どうしましたか?」


 辺りにはかつて魔鮫(スクアルス)だった亡骸が散乱している。

 そこから金に成りそうな物を回収した後、更に周辺の確認をしようと考えたニイルだったが、ランシュがそれに待ったをかけた。

 正確には言葉は発していないのだが、全員の前に進み出て、とある1点を指さしたのだ。


「そこに何か有ると?」

 ニイルの問に無言で頷くランシュ。

 ランシュの指の先、それは今の4人より少し上、つまりここから少し先の海上を示していた。


 ニイルが全員の顔を見渡し、3人がそれに頷きを返す。

「行きましょう」


 警戒を最大限にしながら、4人はランシュの指し示す方へと移動するのだった。



「これは……」

 ランシュの示す場所に近付くにつれ、一行の周りに木材が漂い始めてきた。

 明らかに流木では無い加工された木材、それが流れて来る理由はその道中で判明した。


「船が……沈んでる……」

 最早見る影も無い程に無残な姿と化した、恐らく大型帆船だったであろう存在を海底で目の当たりにし、思わず呟くレイ。

 そして思い出す。

 あの形状、先日見た調査団の船と全く瓜二つの物で……


「っ……!」

 そこまで思い至った瞬間、反射的に船へと近付こうとするレイ。

 しかしその手をニイルが掴んで引き止めた。


「なんで……!」

「まずはランシュの方を確認しましょう。あちらはその後でも……遅くはありません」


 言外に、もう手遅れだと言うニイルに思わず目を背けてしまうレイ。

 確かに船としての原型はほぼ留めておらず、更に海底に沈んでしまっている。

 理性では生存者など皆無と分かってはいるものの、納得出来る物では無かった。


「……いえ、そうね。ごめんなさい」

 だからこそ、この事態を一刻も早く解決する為と気持ちを切り替え前を向くレイ。

 そうしてランシュの示す先、海上へと視線を向けると木材とは違う何かが漂っているのに気付く。


「あれは……」

 周囲を確認しながらも、神威賦与(ギフト)を発動しその物体を視てみるレイ。

 するとそれは人、更に言えば獣人族(ビースト)の男であり、微弱ではあるものの……


「生きてる!」

 生体反応を返して来ていた。

 レイの叫びに急いで浮上する4人。


 辺りを警戒しながら近付くと、木材を浮き輪代わりに若い獣人族(ビースト)の男が気を失っていた。

 風魔法を使い、慎重に海から引き揚げるニイル。

 空中に横たわらせ容態を診てみると、かなり衰弱しているが呼吸は安定している。


「しっかりして!何があったの!?」

 レイが治癒魔法を発動しながら声を掛けると、それに反応したのか意識を取り戻す男。

 弱々しく瞼を開け、掠れた声で何かを呟いてくる。

「たす……くれ……」

「ど、どうしたの!?」


 更に腕を伸ばしレイへと縋り付く男。

 その姿はかなり弱っていたものだったが、しかしレイを掴むその力はしっかりしていて、あまりの力強さに驚愕する。


()が……」

 そして恐怖を思い出したかの様に顔を歪め、男は悲痛な声をあげた。

()()()()が……来る……!」


 それは、これから訪れる災厄の始まりを告げるものだった。

如何でしたでしょうか?

動き出す謎の存在…

少しでもドキワクしてくれれば幸いです!

ではまた次回、お会いしましょう!

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