浜辺で暴れる3女神
はいどうもニノハジです〜
なんと今回は皆さんお待ちかねの回!
喜んでいただければ幸いです!
ではどうぞ!
翌朝、レイ達4人は宿泊していた宿を出てギルドへとやって来た。
本日の魔獣討伐の依頼を確認する為である。
「あぁ!昨日の皆さん!おはようございます!こんな朝から依頼を受けてくださるのですか?」
「えぇ、昨日の話では一晩でかなりの数の魔獣が湧くのでしょう?なら早くから行動した事に越したことはないので」
フードの4人組という怪しい出で立ちだが、だからこそ覚えられていたらしい。
昨日の受付嬢が対応したので、各々挨拶を交し代表してニイルが答える。
「とても助かります!では皆さんのランクを鑑みて……こちらの依頼は如何でしょうか?」
受付嬢が1枚の紙を差し出してくる。
依頼内容が詳細に書かれたその紙を確認する4人。
内容は……
「浜辺に現れる魔烏賊の討伐……数は不明」
レイが小さく呟く。
魔烏賊とは体長2m程のイカで、それが浜辺で出没しているらしい。
そもそも魔獣とは、様々な要因によって魔力を得て進化した生物の総称である。
動物に限らず昆虫や植物等様々な種類が存在するが、その全てにおいて凶暴化、巨大化、そして魔法を使うという共通点が有った。
今回はこの近海に住まうイカが魔獣化し、暴れている様だ。
「不明という事はそれだけ数が多いという事ですか?」
ニイルが受付嬢に問う。
「そうなんです。毎日それなりの数を討伐しているにも関わらず、翌日にはまた大量に発生しているんです。お陰で人手が足りなくなって困っていたんですよ」
受付嬢が困惑顔を浮かべながらそう答える。
それに先日に引き続き、またしても無言になり考え込むニイル。
しばしの間の後、ニイルはその依頼用紙を受け取り口を開く。
「分かりました。出来る限り討伐しておきましょう」
そうしてニイルは3人を引き連れ、ギルドを後にするのだった。
「ねぇ、そろそろ何が引っ掛かっているのか聞きたいのだけれど?」
浜辺に到着すると、レイはニイルにそう問い掛けた。
そろそろ長い付き合いになってきた関係である。
彼が何を考えているのか、少しは分かるようになってきていた。
(まぁ、それでもほとんど何考えてるのか分からないのだけれど……)
しかし昔より秘密を開示してくれている事に、最近は嬉しさを感じているレイ。
ニイルの方も、問われれば答えるという考えを無意識に抱く様になっており……
「昨日と今日で聞いた話から考えていたのです。この騒動の原因を」
この様に素直に答えることも多くなってきていた。
「原因?つまり噂のバケモノの正体という事?」
「えぇ、今はまだ確証は無いので言えませんが……調査隊が帰ってくればハッキリするでしょう」
しかし未だにこういった時に秘密にする事も、多々有るのであった。
それに半眼でニイルを見つめるレイ。
それを無視して今度はニイルがレイに問い掛ける。
「では今度は私が聞きたいのですが、何故皆水着なのですか?」
それに自分の姿を見下ろすレイ。
その後、さも当然かの様にこう答える。
「だってせっかくの海に来ているのだし。こういう機会じゃないと着れないからって昨日説明した筈よ?」
そう言って昨日観光した時の事を思い出す。
4人で観光している際レイが足を止めた店、そこが水着屋だった。
今までの生い立ちから水着を着た事が無かったレイ。
興味本位で覗いていたところ、何と他の3人も水着を着た事が無いと言うのだ。
これ幸いにと全員を引っ張り店内へ入るレイ。
嬉々として全員分の水着を選ぶ内、女性陣がどんどん乗り気となり購入するに至った。
そんな経緯で水着姿のレイを改めて見るニイル。
彼女は黒いビキニを着こなしており、そのスタイルの良さも相まって普通の男性が見れば見蕩れるだろうことは想像に難くない。
そして目線を動かしランシュとフィオを見れば2人も同様のビキニ姿であった。
ランシュはパレオを巻いており、青い水着に身を包んだその姿は、普段よりも大人びた雰囲気を醸し出している。
対してフィオは自身の髪と同じ真っ赤な水着を選んでおり、活発な彼女に良く似合っていた。
昨日まであまり元気が無かったが、観光とこの水着のお陰か少し元気を取り戻しつつある様だ。
「そんなにジロジロ見て、貴方も気に入ってる様だし。それに……」
と、そこまで言って通信魔法に切り替えるレイ。
(お陰でフィオも少し元気になったようだし?)
そしてニヤリと微笑む。
それにため息を吐きながら呆れ混じりにニイルは言う。
「3人とも、よく似合ってますよ」
それに気を良くした3人は上機嫌で海へと駆け出し……
そして魔烏賊を蹂躙するのだった。
(やはり気の所為では無いな……)
女性陣が魔烏賊をちぎっては投げている様子を、特にレイの動きを見てニイルは考える。
ここ数年の修行の時も思ったが、動きが明らかに以前より良くなっているのだ。
身体の使い方を知った、というだけでは無い。
確実に相手の動きを読み、それに合わせて最適な動作で行動している様に思える。
更に1度教えた事も1回見れば完全にものにし、使いこなしている。
天性の才能も有るだろうがこれはやはり……
(眼を使いこなしつつある、という事だろう)
レイの持つ神威賦与はあらゆる物を見通す眼である。
それは様々な構造を解析し、理解する事が出来る、という事。
つまり今までは魔法に対してのみ使用していたが、本来なら相手の視線や筋繊維の動きすら把握し、次にどう動くかを予見する事すら可能とする能力なのだ。
(能力が馴染んで無意識だろうが、常人よりも多くの情報を読み取っている。それを戦闘にも利用しているのだろう)
改めてレイを見れば浜辺に現れる魔烏賊の群れを、剣と魔法で薙ぎ払っている。
その魔法も数年前より研ぎ澄まされ、魔力の放出も最小限に、それでいて威力は何倍にも上がる様に工夫されていた。
更に体術のキレも増し、常人なら目で追う事すら出来ないだろう。
最早レイは彼女自身が願っている通り、バケモノと名乗れるだけの実力を身に付けていた。
(だが成長速度が速すぎる……才能も有るだろうが、能力が馴染む速さはどうこう出来るものでは無い……)
その事にだけ、少しの違和感を覚えるニイルなのであった。
「さて、あらかた片付きましたね」
辺りを見回してニイルが言う。
周囲を見れば、そこにあるのはおびただしい数の魔烏賊の死骸のみであった。
ものの数十分でこれだけの数を捌いた3人の実力は凄まじいものだが、違和感を覚えるニイル。
それはレイも同じな様でニイルへと問い掛けてきた。
「流石に魔獣の数が多過ぎないかしら?今まで会った魔獣の群れでも、ここまでの数は無かった筈よ」
ここ数年の修行の中で出会った魔獣達を思い出しながらそう言うレイ。
ニイルも首肯しながら答えた。
「そもそもこれだけの量の魔獣が一夜にして、何より生息地と違う場所に現れること自体異常なのです。だからこそ相手の正体にも見当がついたのですが……」
そう言いながら海を見るニイル。
しばし考え込んだ後、3人に振り返りこう告げた。
「予想通りなら事態はかなり深刻な状態かもしれません。私達も少し調査する為に海へ入ってみましょう」
それに少し困惑するレイ。
彼女自身は海に入るのはやぶさかでないのだが、昨日聞いた話の所為で二の足を踏んでしまう。
「良いの?ランシュとフィオは水が苦手だって……」
そう言って2人を見る。
ランシュとフィオが水着を着た事が無い理由、それは2人共水を苦手とするからであった。
ランシュは魔法が使えない獣人故に、フィオは特殊な事情から水中では大きく戦闘力を削られてしまう。
だからこその懸念だったのだが……
「そこは魔法でカバーするので大丈夫ですよ。それに……」
と、そこまで言って呆れた表情を浮かべ、ニイルが続ける。
「もっと魔獣を討伐して報酬を得ないと、生活出来なくなりますので……」
「あぁ、確かに……」
げに恐ろしきはリゾート地の誘惑。
ただでさえ宿屋が立派で高級だった上に、観光でかなりの散財を強いられてしまった。
そんな過去を振り払う様に、4人は急いで海へと入っていくのだった。
如何でしたでしょうか?
という訳で今回は水着回でした!
っぱ物語には水着回は必要ッスよね!
私も書いてて楽しかったですwww
暫くは水着のまま進むので脳内補完の方よろしくお願いしますwww
では次回もお楽しみに!




