デミーラ共和国
はいどうもニノハジです〜
新章も始まりましたね!
今後物語がどう動くか、楽しんでいただければ幸いです!
ではどうぞ!
デミーラ共和国。
今からおよそ100年前、現頭首であるディード・ホグウェルがオスウェルド大陸にて作り上げた獣人の国である。
オスウェルド大陸とはアーゼストの中でも2番目に小さい大陸、そして太古より亜人達が暮らす大陸として有名であり……
かつては人間と亜人間の確執と迫害の象徴たる存在でもあった。
亜人族は例外も存在するが、基本人間族よりも長命である。
それ故人間族よりも個体数が少なく、絶滅の危機に瀕している種も存在した。
しかしその最たる理由が、長きに渡る人間からの迫害であった。
遥か昔からその希少性や多様性などから、亜人族は観賞用や労働力として人間族から扱われてきた。
それに加えて見た目や能力が自分達と違うから、そんな理由だけで殺されたり追い立てられたりする事が常であった。
対して亜人族も、自分達こそが優れた人類だと主張し、特に年齢を重ねた存在程神を信じ、その神に作られた選ばれし存在だとして、数が多いだけの人間族を見下してきた。
そうしてる内に、気付けばお互いのテリトリーが出来上がり、ほとんどの亜人族はオスウェルド大陸に住み始め、そこから出た亜人族は人間に迫害されて当然という扱いが定着していた。
逆もまた然りで、オスウェルド大陸に足を踏み入れた人間族が、その後無事に帰ってきた事例も存在しない。
そんな両者が大きな戦争を今まで起こさずこれたのは、偏にオスウェルド大陸のお陰であろう。
この大陸は世界的に見れば小さい方だが、それなりに広大な土地を有している。
そしてその大半を豊かな自然が占めている為、亜人達が住みやすく、また農作物も潤沢だった。
更にオスウェルド大陸は陸続きでは無く、周りを海に囲まれている。
レイ達がこの地に辿り着くのに1年以上経過した理由がこれであった。
フィミニアが有るズィーア大陸からオスウェルド大陸へは、遠過ぎて直通の船が存在しない。
最も最短だったのが、テデア大陸にある港町だったのだ。
そんな巨大な島を連想出来る場所故に、海産物も豊富、何より攻めにくいという利点を生んだ。
海上戦が得意な魚人族や、空中戦で有利な鳥人族を乗り越え仮に上陸出来たとしても、地上には人間の魔法師よりも優れた魔法の使い手である森人族、人間族では考えられない程の身体能力を持つ獣人族など、数が少ないという弱点を補って余りある戦力が出迎える。
そんな場所へわざわざ大量の人員と船を用意し、戦争をしに行こうという奇特な者は存在しなかったのだ。
また亜人族は自分達から侵略を行わなかった。
放っておけば無害な彼等に構うより、同じ人間族との戦争に手一杯だったという側面も有った。
それらの理由から人間が地上に現れて約1,500年。
人間族と亜人族は冷戦状態のまま今に至る。
そんな状況を変えたのがディード・ホグウェルであった。
彼はその圧倒的な武力により亜人族を統一、全ての種族を纏めてデミーラ共和国として国を立ち上げた。
大陸1つを丸々国として扱っている事から、豊かな自然を活かしたリゾート地への開拓、更にここでしか採れない海産物や農産物も利用する事が出来る。
今では世界有数の貿易の国、そして観光の地へと生まれ変わった。
そのお陰で100年経った今では、両種族間のわだかまりは薄れつつあり、亜人族の間では英雄として有名なのであった。
「また、たった100年でこれ程の国を作り上げた賢王として世界からの注目も熱い。世界有数の貿易国というのも合わさって、彼の名前が世界中に轟いているのです」
そう語り終えたニイルにレイは頷く。
今4人が居るのはデミーラ共和国へと向かう船の中、その一室。
この船で約2日掛けて、目的地のデミーラ共和国へと赴くのである。
そして今はいつもの如く、ニイルの部屋に集まり情報共有を行っているところであった。
「私も名前だけなら知っていたわね。市場とかあらゆる所で彼の名前やオスウェルド大陸、それにデミーラ共和国の名前を見聞きするもの。確かザジも言っていたわね……デミーラ産の食べ物はどれも美味しいって」
レイが記憶を探りながらそう返す。
元王女で有り、過酷な幼少期を過したレイであっても聞いた事がある程、その名前、その存在は有名であった。
「そうですね、それにあの国には険しい山も有りましてね。そこで取れる鉱石も、装飾品や素材として高品質な物として有名なんですよ」
と、ニイルは更に説明する。
オスウェルド大陸のほとんどは豊かな自然では有るが、普通の人間にとっては豊か過ぎる。
登るにはかなり険しい山々やとても深い樹海等、自然に慣れている亜人族でなければ命を落としかねない環境が多い。
事実、デミーラ共和国がリゾート地として開拓してあるのは大陸の約10%程で、そこ以外は過酷な環境の為、人間が住むのは難しい。
例えるなら自然の要塞がもっとも適しているだろう。
そのお陰で密猟もされにくく、その分希少性も上がり値段が更に吊り上がる。
だからこそ鉱物や食物、草木に至るまで質が良く、高値で取引されるのであった。
「じゃあ、物流が滞ってる今の状態は、世界的に見てもかなり不味い状況だという事ね」
改めて現状の深刻さを認識するレイ。
もはや彼女の最優先事項はデミーラ共和国を救うという事に、その大部分が推移していた。
本来であればそれに異議を唱えたいところではあるニイルだが、聞く耳を持たない事は十分理解している。
何より……
「今回の調査で解決出来ないとなれば、あの国にとっても焦らざるを得ないでしょう。そうなればディードにとっても事態の解決は急務。私達との接触は後回しにされる可能性が高い」
そうニイルに言われたところで、レイは昨夜の会話を思い出す。
自分達がこの事態を解決出来れば、ほぼ確実に面会の機会が得られるかもしれない、と。
そして、それに対する問題点も。
「ひとまずデミーラ共和国に着いたら、最優先はスコルフィオの手紙を届ける事。その後は情報収集を行いつつ、私達も調査隊に入れるかどうか調べる、という形かしらね」
話を統合し今後について提案するレイ。
ニイルもそれに同意しながら所感を述べる。
「そうですね、あの手紙にどれだけの効力が有るか分かりませんが、効かなかった時の事も考え自分達でも行動しておく事は必要でしょう。問題が有るとするなら……」
「彼等が、私達が加わる事に同意するかどうか、ね……」
レイの言葉に肯定を返しながらニイルは言う。
「いくら1つの国になったとは言え、彼等も一枚岩では無いでしょう。ただでさえ同じ種族である人間がバラバラだと言うのに、それが他種族であれば尚の事。更に人間である私達に対し、嫌悪感を抱いている方も居るでしょう。妨害は想定して動きべきでしょうね」
何より、とニイルは視線を動かす。
レイもニイルの視線を辿れば、その先に居るのはランシュとフィオであった。
「昨夜言った通り、私達に対する悪意も無いとは言い切れません。もしそういった奴らが居れば、年齢を重ねているだけにかなり厄介な存在となり得るでしょう。最悪、ディードが敵に回る可能性も否定出来ない」
相変わらず詳細を語ってはもらえなかったが、当時ニイル達と諍いを起こした者達が今もあの国に居るのなら、彼等は今ではかなり重要な役職に就いているだろう、とニイルは語っていた。
その可能性は低いだろうが、下手をすればディードを従える可能性も有る、とも。
(つまりその出来後が起こったのはかなり昔の話であり、今も生きいればかなりの高齢で、立場も上だと言う事)
今までの会話からそう推察するレイ。
長命の亜人族が寿命を迎える程の過去という事は、容易に想像出来た。
(相変わらず年齢とか、そういう事に関しては話してくれないけれど、こうして間接的に話す様にはなってきてくれたのよね)
ニイル達が不死身であろうというのは、以前フィオから話を聞いた時に察している。
ニイル達もその事には気付いている様だが、それに触れられたくないのか、その話題が出される事は無かった。
レイも深く知りたいと思ってはいない。
いつか語ってくれる日を待つ、今はそのスタンスで落ち着いていた。
「しかし、何にしろ今は想像する事しか出来ません。最悪を想定するのは良い事ですが、悲観し過ぎるのもいけませんからね。調査隊が戻って来るまでは派手に動く事は出来ないでしょう。その間は比較的自由に過ごせると思います」
重くなりかけた雰囲気を切り替える様に、努めて明るくそう語るニイル。
それにレイも、何より暗い表情を浮かべていたフィオに笑顔が戻る。
「それに、期待出来ませんか?」
と、ニイルは笑みを浮かべて言う。
それに疑問符を浮かべるレイだったが、続く言葉で心が踊るのを抑えられなくなるのだった。
「世界有数のリゾート地と言われる場所が、どれ程素晴らしいのかを」
2日後の早朝、丁度日が昇り始めた頃にようやく船は停止した。
大量の貨物を横目に眺めながら、レイ達も下船を開始する。
久しぶりに感じる地面を踏めしめながら……
一行は亜人族の国、デミーラ共和国へと降り立つのだった。
如何でしたでしょうか?
今回は説明回となりました!
新天地に降り立ったレイ達に待ち受けるものとは?
引き続き楽しんでいただければ嬉しいです!
では次回もお楽しみに!




