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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第3章 色欲花柳編

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58/100

あの日の真実

はいどうもニノハジです〜

レイがこの過酷な運命を背負うに至った訳が語られます。

伏線回収と新たな伏線貼りの回となりますので楽しんでいただければ幸いです!

ではどうぞ!

 ここはとある大陸のとある場所。

 普通の人間なら近寄りすらしない辺鄙(へんぴ)な場所である。

 そして本来そこを使用する者達も、常ならば一年に一度の定例会にしか集まらないのだが、今日に限ってはとある人物の招集により臨時で集まっていた。


 巨大なテーブルに席が7つ。

 特に指定は無いのだが、いつもの様にまるで自分の席が決まっているかの如く座る6人。

 その各席の後ろに控える様に6人が立ち、合計12人がこの場に集っていた。


「さて、本日は急な呼び掛けにも関わらずお集まりいただき、誠にありがとうございます」

 そう言って話し出したのは『傲慢』と呼ばれる男。

 ここに集う者達は、お互いの本名も素性も知らない者達ばかり。

 更にそれを探るのも暗黙の了解として禁じられている。

 故にお互いの事を、自分に冠せられた罪の名で呼び合う事が通例となっていた。


「急な招集という事もあり、生憎『憤怒』殿は来られませんでした。なので本来なら次の定例会でお話するべきなのでしょうが、緊急の案件につきこの様に緊急招集という形で……」

「『憤怒(ヤツ)』が来ないなんざいつもの事だろうが。能書きは良いからさっさと用件を話せ」


『傲慢』の話を遮り『暴食』と呼ばれる男が口を開く。

 恐らくこの中で、唯一全員に素性がバレているであろう人物。

 それ程までに彼は世界的に有名で、他の素性を隠しているメンバーと比べても異質だった。


『色欲』と呼ばれる女性も最近そこそこの知名度を獲得する様になって来ていたがそれでも彼には遠く及ばず、何より他の人物達、特に『憤怒』に関しては定例会にすら殆ど顔を出さない為、謎の人物として認識されていた。


 その顔立ちから極東に存在する島国の人間なのではないかと思われているが、その詳細を誰も知らず、また知ろうとする者も居ない。

 何故なら大なり小なり各々の正体を隠しておきたい人物が集まっているのがこの『柒翼』と呼ばれる組織であり、自ら望んでやぶ蛇と戯れたいと思う奇特な存在が居ないからである。


「……そうですね、では本題に入りましょう」

 故に『暴食』の性格も把握しており、『傲慢』はそんな彼を咎める事も無く話を進める。


「本日皆様に来ていただいたのは、とある国の存亡を決めていただく為です」

「存亡?」


『暴食』が訝しげな表情を浮かべながら言う。

 それはそうだろう、今までの議題と言えば裏社会の情勢や把握されない程度の自分の勢力等、お互い牽制しつつ情報のすり合わせを行う程度の物だった。

 それが突然一国の趨勢(すうせい)を決めてくれ等と、内容があまりにも突飛過ぎる。


「困惑されるのも無理からぬ話では有ると、重々承知しております。しかし私が掴んだ情報ではその国を放置していてはいずれ世界にとっても大変驚異となる、そう判断したのです」


『傲慢』が、まるで演説を行うかの様に熱を帯びながらそう話す。

 恐らく人の上に立つ素質を兼ね備えているのであろう。

 その民衆を煽るかの様な話し方や人を惹きつけるカリスマ性が見え隠れし、この場に居る誰もがそう感じた。

 しかしここに集っているのは一癖も二癖もある者達ばかりである。

 当然この『傲慢』も腹に一物抱えているのは想像に難くなく、そんな人物を信用する程のお人好しも、この場に存在しなかった。


「そういうのは俺等の役割じゃねぇだろ?どう見ても俺達は悪の秘密結社って感じだし、事実そうだろが。ヒーローごっこがしてぇなら他を当るんだな」

『暴食』が吐き捨てる様に言い、席を立とうとする。

『強欲』を除いた他の4人も多少なりとも似た事を考えていた為、解散する流れの様な雰囲気に包まれる。


 その雰囲気を断ち切る様に『傲慢』が口を開いた。

「勿論、正義感等ではありませんよ?上手くすればそれだけ強大な力が手に入る、というのが理由です」

「なに?」


 その言葉に全員が動きを止め、『傲慢』を見る。

 それに満足気な顔を浮かべながら男は話を続けた。

「調べたところによると、その国の魔法技術は凄まじく、その国だけで数世代先の魔法理論が使用されているらしいのです。そしてこれが重要な点なのですが、その国には秘匿された魔法が存在するらしく、その力は()()()()()()だと言われているそうです」


 その聞き捨てならない言葉に全員が反応する。

 神からの祝福、まるで自分達の持つ力の様ではないか、と。

 まるでその全員の思考を読んだかの様に、『傲慢』は笑みを浮かべ尚も続けた。


「もし仮にその力が私達の想像通りなら、私達の新たな驚異と成りかねません。しかしその力を迎え入れる事が出来たならば……我々の力が増すと、そう思いませんか?」


 それに全員が思案する。

 確かにこの場に居る殆どが何かしらの目的を持ち、そしてその為の更なる力を欲している。

 己の野望の為、そして何より自分達と同じ力を持つ他勢力とのパワーバランスを崩す一助にもなり得るかもしれない。

 その場のほぼ全員がそう考えた。


 そして全員がそこまで考えたであろうタイミングで、追撃を掛けるように『傲慢』が(まく)し立てる。

「勿論、この案に協力してくれた暁には、その国で手に入った全ての情報を共有する事をお約束します。そして矢面に立つのは私。皆様の情報もお守りすると誓いましょう」


 常に他者を見下している様な男にしては破格の条件である、と全員が思う。

 罠の可能性も有るが、彼がそれだけその技術に執心していると考えれば不思議では無い。


「テメェにしては随分お優しい提案じゃねぇか。それで俺達に何させようってんだ?」

 他のメンバーを代表して『暴食』が口を開く。

 この時にはもう全員が話を聞いてやっても良い、と考える迄に至っていた。

 全て『傲慢』の話術の術中だと気付かずに……


「皆様には情報操作のお手伝いをしていただきたいのです。自分達に影響が無い様に情報を操り、その国を世界最悪の国として祭り上げ戦争を仕掛けます」


 そこまで聞いて暴食も口を(つぐ)み、長考に入った。

 他の者達も同様で、思案するか後ろに控えている人物と相談するかしている。


 その光景を眺めながら『傲慢』は内心でほくそ笑んでいた。

 彼1人でもやろうと思えば引き起こせる戦争、それを他のメンバーに頼んでまで引き起こす理由としては、その方が早く済むというのが一番の理由だった。


 仮にも彼等は『柒翼』のメンバー。

 その影響力は絶大である。

 彼等の協力があれば戦力が不明瞭な敵国に対しても、こちらも十全な戦力を短期間で用意する事が出来る。

 彼の野望の早期達成の為、例え1人で国を滅ぼす力を持っていたとしても万全を期して臨みたい、そう考えていた。

 そうすればその後の、とある国の掌握に早くから着手出来る。


 結局のところ、この男も自身の野望の事しか考えていないのである。


「俺達にメリットが有るのは分かった。それに対してのデメリットも少ないのは確かに上手い話だとは思う。だが、そこまでするお前の利益は何だ?お前は一体何を企んでる?」


『暴食』の言葉に自身の思考を止め、意識を現実に戻す『傲慢』。

 今まで他人を蹴落す事しかしてこなかったが故の信頼無さが露呈するが、日頃の行いの所為なので諦めて弁明する。

「敵の敵は味方と言うでしょう?今回、かの国が本当に強大な力を持っているのならば、それは私にとっても脅威となります。この組織、引いてはこの世界の勢力図を強固な物とする為に皆様と協力し、そして得た力を分け合おうと思っているのです」


 その後の野望の事には触れず、自身の目的を語る。

 まるで詐欺師の様な語りだが嘘は言っていない。

 この戦争で得た魔法を共有するのは少し惜しいが、その後強大な国力が手に入ると思えば安い物だろう。


「それと、その情報の信ぴょう性は?」

 その『暴食』の問に笑顔で答える『傲慢』。

「ほぼ確実かと。しかしその証拠はありませんので信じてもらう他ないですね」

 その答えを聞き『暴食』は考え込んでしまう。


 その後も暫くざわめきが続いたが、落ち着いてきたところで『傲慢』が切り出す。


「意見は纏まったでしょうか?では慣例通り多数決で決めたいと思います。今回『憤怒』殿からは好きにしろ、とのお言葉をいただいておりますので、今回は特別に私が2票投じさせていただきます」


 その言葉に全員が話しを止め、『傲慢』を見る。

 この時点で彼が裏で手回ししていそうだが、誰もそれを追求しなかった。


「ではこの案に反対の方は挙手を」


 そうして手を挙げたのは『色欲』と呼ばれる女性ただ1人。

 それ以外は全員そのままの状態を維持していた。


「ふむ、では賛成の方は挙手を」


 そしてこれに手を挙げたのは3人。

『傲慢』は当然ながら『強欲』の女性、そして『嫉妬』の男性の3人であった。

 これで4票を獲得し、実質過半数を獲得した訳だが、残りの2人はどちらにも手を挙げなかった。


「おや、お2人はどちらにも手を挙げなかった様ですが、何故でしょうか?」

 と、そう問い掛ける『傲慢』に『怠惰』と呼ばれる中年男性が答えた。

「私には私の目的以外興味はありませんのでね。今のままでもそれは充分に果たせますのでどうでもいい、というのが正直なところです」


 その後、もう1人手を挙げなかった『暴食』も続く。

「確かに旨味のある話だと思うが今は自分の所で精一杯だ。他人に手を貸す余裕は無ぇし、貸せたとしても()()()()()()()()()()()()()()だろう。そして何よりお前が信用出来ん。だからこの件に関しては傍観させて貰う」

「そうですか……残念ですが無理強いは出来ませんものね」


 少し悲しげな表情を作りながら『傲慢』は言う。

『暴食』の発言力があれば話しはよりスムーズに進みそうだったのだが、彼の言う事は一理ある。

 今はこの案が可決された事を素直に喜ぶべきと判断し、思考を切り替えた。


「では、『強欲』殿、『嫉妬』殿、ご助力よろしくお願いいたします」

 そうして2人に頭を下げる『傲慢』に、『強欲』の女は問い掛けた。

「ところで、結局その国の名前は何と言うのかしら?」


 それに一同の視線が『傲慢』に集まる。

 その全員を見渡し、立ち上がって彼はこう答えるのだった。

「エレナート王国、それが世界最悪の国の名です」



 こうして会議は解散となり賛成派が動き出した。

 実質動いていたのは『傲慢』、『強欲』、『嫉妬』の3勢力のみだったが流石と言うべきか。

 裏社会を支配しているだけあって瞬く間に情報は拡散、世界がエレナート王国を敵と認定し、その共通敵に向けて団結した。


 そしてこの会議からたった1年という短期間で世界は纏まり、世界連合対エレナート王国の戦争が勃発。


 こうしてエレナート王国という名の1つの国家の歴史は幕を下ろし、『傲慢』と呼ばれた男ルエル・レオ・ナヴィスタスは、この戦争を機にセストリア王国の中枢へと潜り込んだのだった。

如何でしたでしょうか?

改めて見るとルエルクソじゃね?www

良い感じの憎まれ役になったのではないでしょうか?

皆さんもそう感じて貰えたら作者冥利に尽きます!

さて次回はこの話を聞いてレイがどんな対応をするのかという話になります!

難しいですね・・・

そんな次回もお楽しみに!

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