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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第3章 色欲花柳編

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地獄の日常

はいどうもニノハジです〜

先週の金曜日から連続更新し始めたので、本日も更新します!

これでカレンダー的にも1週間ですね!

あれ?日数の数え方間違えた?

 翌日、4人は予定通り二手に別れ行動を開始した。

 レイとランシュは依頼のあった娼館へ、ニイルとフィオはこの街の有志が集まって作ったという自警団へとそれぞれ向かう。


「私がこの自警団の団長、ミリーだ。それで、お前達か?ギルドからやって来たという冒険者は」


 ギルドからの情報を頼りに、自警団が根城とする場所へ向かうと、早速自警団団長のミリーと名乗る女性が現れた。

 お互いに名乗り、自己紹介が済んだ所で依頼内容についての話し合い、と思ったのだが、そこでミリーが待ったをかける。

「待て、私は確かに冒険者を寄越して欲しいと言ったが、腕っ節のある奴、とも言った。だがお前達はFランクだと言う。それではこの仕事を任せる事は出来ない」


 事前にギルドから聞いていた話だと、彼女達は場所柄お世辞にも治安が良いとは言えないこの場所を守る為に、日々活動している組織だそうだ。

 その為、実力のある冒険者が欲しいとの要望があったそうなのだが、やって来たニイルとフィオはお互いがFランク。

 これでは使い物にならないと判断された様だ。


「まぁまぁ、私達はこれでもCランク冒険者がリーダーを務めるパーティの一員でしてね。実力は有ると思っています。なのでまずはそれを見てから判断していただきたいのですが、如何でしょう?」


 しかしそう判断されるのは想定内。

 なので前日の予定通り、実力を見せて認めてもらう作戦へと出る。

 ニイルの提案に明らかに(いぶか)しんでいたミリーだが、2人の態度から試験を行う事を決定した。


「その発言がハッタリでは無い事を祈るわ。じゃあ今ここで模擬戦を行いましょう。貴方達、この2人の相手をしてあげなさい」

 そう言うとミリーの後ろに控えていた男女2人が前に出る。

 男の方は筋骨隆々な大男、女の方はランシュと同じ様に獣の耳と尻尾が生えている、所謂(いわゆる)獣人だった。


「それだけデカイ口叩くんだ、その自信の程を見せてくれや」

「よろしくー!」

 そう言い2人は戦闘態勢に入る。


「ではフィオはあの女性の相手を。私はもう一方をやります」

「分かった!」


 ニイル達も準備が整ったところで、ミリーが開戦の狼煙を上げる。

「では、始め!」


 その瞬間獣人を覆うように炎のドームが現れ、瞬く間に包み込んでしまった。


「え?」

 それは誰の声だったか。

 ニイルとフィオ以外の全員が、呆気にとられて動けない。


「では私達も始めましょうか?」

 ニイルのその言葉で意識が現実に戻る男性。

 全く何が起こったのか理解出来ていないが、とにかく目の前の敵を倒し、一刻も早く仲間を助けなければ。


「う、うおおおおお!」

 そんな想いからニイルの元に飛び込み、渾身の拳を繰り出す。

 当たる寸前迄避けようとすらしないニイルに、勝ちを確信する。

 直後激しい衝突音が鳴り、目の前に広がる光景は。


 左手1つで軽々と拳を受け止めるニイルの姿だった。


「嘘だ……ろ……!?」

 驚きの声を上げようとするが、その途中で何故か意識が途切れ、前のめりに倒れてしまう。


「な、何で……?」

 何が起こったのか、誰も気付いていない様子だった。

 周りが唖然(あぜん)とする中、代わりに代表してミリーが問う。


「別に、特別な事はしていませんが?」

 そう飄々(ひょうひょう)と、答えのなっていない答えを返すニイル。

 ニイルとフィオ以外速すぎて見えてすらいなかったが、ニイルが拳を受け止めた瞬間、右拳を顎に掠らせ脳震盪を起こし、意識を刈り取ったのだ。


「さて、如何ですか?」

 と、ニイルがミリーに問い掛ける。

 その言葉で炎のドームが解除され、中からへたりこんだままの獣人の姿が現れる。

 一瞬にして、大した怪我を負わせることなく、相手を無力化させてしまったニイルとフィオ。


「ご、合格……?」

 あまりの手際の良さに現実感が無く、思わず疑問形になってしまうミリーなのであった。



 一方順調なニイルとフィオとは打って変わって、レイがこの世の終わりの様な顔を浮かべていた。

 現在レイは、ランシュと共に娼館前に到着したタイミングである。

 まだ仕事すら始まっていなのに何故そんなにも悲壮な顔をしているのか。


「あ、頭痛い……」

 それはもちろん、昨日ニイルから課せられた修行のせいである。

 レイの『神威付与(ギフト)』を真に使いこなす為、出された課題。

 それは訓練時、常に能力を使い続けるという事だった。

 これは魔力を極限まで使い続け、頻繁に魔力枯渇の状態を作り出す事によって自身の魔力量の底上げをする、2年前と同じ様な特訓であった。


(起きてからずっと使い続けて頭の中がもうぐちゃぐちゃ……余計なモノ迄視えるから頭がパンクしそう!)


 流石に2年前と違い、この力は強大である。

 故にこの力が暴走しない様に、そして力を使ってもその後の依頼に支障が出ない範囲での、限られた使用を行っていた。

 そうして徐々に慣らし、力の使い方を学んでいくのである。

 ついでにこの力を隠蔽する為の認識阻害魔法も、通常よりも強化して使用している為、魔力操作や魔力量の上限向上にも役立っているのだが。

(その分余計に考えることが増えて頭が爆発しそうよ!)


 という感じで早々にレイは疲労困憊なのであった。


「だ、大丈夫よ。さ、とっとと依頼を済ませちゃいましょ」

 最近になってようやく感じ取れるようになってきた、ランシュの無表情の中にも見え隠れする感情。

 今回は無表情ながら、心配する様な感情を向けられたので、安心させる様にそう答える。

 先導して娼館の中へ入っていくレイ。

 扉を開けると、出迎えたのはほとんど半裸の女性達であった。


「いらっしゃいませ〜!女の子なんて珍し〜!」

「あ、うう……」

 突然の展開と、女性達の勢いに言葉が出なくなるレイ。


(は、恥ずかしがるな私!ここでは仕事に来たんだから!ここはそういう所だって分かってる筈でしょ!変な態度を取ったら相手の娘に失礼じゃない!)

 しかし頭を振って意識を切り替える。

 かつて自分も似た様な体験をした事がある為、ある程度の理解を持っているレイなのであった。


「ごめんなさい、私達冒険者ギルドからやって来た冒険者なの。ここの代表者は居る?」

 気を取り直して女性達へ問い掛けるレイ。

 よく見れば年齢や人種も様々で、かなりの人数が在籍しているのが分かる。


「あぁ、話には聞いているよ。ちょっと待ってな」

 その内の1人がそう答え、奥に引っ込んでいく。

 暫くの後、普通の服を身にまとった中年程の女性を伴って帰ってきた。


「アンタ達かい、ギルドから来たってのは。2人ともえらく若く見えるけど、大丈夫なのかい?」

「えぇ、これでも荒事には慣れているわ」

 レイが答えながら冒険者カードを差し出す。

 それを確認すると驚いた顔になり、カードを返してきた。


「へぇ〜!その若さでもうCランクかい!?見かけによらないもんだねぇ!」


 そのままレイとランシュを観察しだす女性。

 レイは愛想笑いを浮かべる事しか出来なかった。


「おっと失礼!職業柄美人を見るとつい鑑定しちまうんだ、悪いね。取り敢えず来な。詳しい話は奥でしよう」


 その女性に導かれ、2人も後に続く。

 案内されるままに奥の部屋に入ると、そこはどうやら女性達の控え室の様で。

 そこにはまだ年端もいかない様な子供達すら何人か存在した。

 その子達がこちらを見るなり走り寄ってきて、一斉に話し掛けてくる。

「姉様その人達誰〜?」

「お姉ちゃん達お客さん?」

「姉様のお友達?」


「ええと……」

 矢継ぎ早に質問され、返事に戸惑うレイ。

 代わりに2人を案内した女性が子供達へ答える。


「このお姉ちゃん達はここを守ってくれる人さね。ついでに暇な時は一緒に遊んでもらいな」

「え!?」


 聞かされていない話に驚きの声を上げるレイ。

 今回の依頼はこの娼館の警備であり、子供達のお守りは聞いていないのだが……


「わ〜い!」

「遊ぶ遊ぶ〜!」

「お姉ちゃん達何する〜?」

 そんなレイの心中を置いて、子供達は大いに盛り上がっていく。

 最早お守りの方がメインなのではないかと思う程に、はしゃぎ始めるのだった。


「え、えぇ〜……」

 ただでさえ最悪なコンディションの状態で、更に子供達の相手も追加された今回の依頼。

 レイの前途多難な日々は、まだまだ始まったばかりであった。

如何でしたでしょうか?

一先ず連続更新は今日で最後にしとこうかなと思います!

今後はまたゆっくりと更新していく予定なのでよろしくお願いします!

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