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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第3章 色欲花柳編

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40/88

欲に爛れた夢の街

はいどうもニノハジです〜

更新5日目です!

そろそろストックが尽きそうな今日この頃…

1週間辿り着けるかチャレンジになってきました笑

行けたら褒めてくださいよろしくお願いいたします笑

 翌朝、案の定余り収穫の無かった買い物を済ませ出立する4人。

 そこから更に10日掛けて移動し、遂にデレンティア連邦国へと辿り着いた。


 今日は一先ずデレンティア連邦の玄関口であるこの街に滞在し、情報収集しつつ明日に備える形となった。

 時刻は昼を少し過ぎた頃、丁度良いので軽く昼食を取りつつ散策しようという事で4人は移動する。


「セストリアに比べて市場が賑わっているわね。あの国より国土は少ない筈なのに、やっぱり内政の差かしら?」

「本来のセストリアならば比べるべくもないでしょうが、現状あの国はかなり衰退していましたからね。それに引き換えこちらはデレンティアの玄関口、確かにここは栄えているでしょうが、国全体で見ると他の街が栄えているかは分かりませんよ」


 このデレンティア連邦は、かつて様々な国が集まって出来たという成り立ちがある。

 それ故各街を治める者がそれぞれ存在し、その一つ一つに違ったルールや法律が存在する。

 隣町が全く違った様相を呈している、なんて事もざらなのだそうだ。


「ふ〜ん、それじゃあ貧富の差とか生まれそうなものだけれど。それで戦争とかにならないのかしら?」

 レイが疑問を口にする。

 レイは幼い頃、少しだけではあるが帝王学を学んでいた事も有り、国の運営についても一般市民より詳しい。

 しかしそれもかなり幼少の頃の数年しか学んでおらず、またエレナートは王国だった為連邦国とは毛色が違う。

 だからこそ目新しさから来る質問でもあった。


「そこはひとつの国として援助したりされたりが有るんでしょう。私も詳しい事は分かりませんが、どんなものにもメリット、デメリットが存在するのですから、この国の在り方も悪くないんじゃないでしょうかね?」


 ニイルはそう答え、そもそも帝王学や内政の事は貴女の方が詳しいんですからね、と苦笑するのだった。


 軽く昼食を済まし、市場で買い物を済ませた後、彼らが向かったのはギルドであった。

 全国共通の存在である冒険者が集まるギルドは、夜の酒場と並び様々な、かつ一般的な噂や情報が流れ着く場所である。

 詳しい話になると情報屋で金を払う必要が有るが、そこまで必要としないのであれば、無料で情報が手に入る中々良い場所なのである。

 ギルドに到着後4人はそれぞれ受付嬢や、中に居た冒険者等から話を聞き、夜には酒場へ移動し、またしても情報収集を行う。

 その結果ほとんどの人間、特に男性陣が同じ様な事を口にする事が明らかとなった。

 曰く、あの街は美女が集まる、男にとっての浪漫の国、と。


「道理でニイルが行くのを2人が嫌がる訳ね」

 レイが少し呆れ顔で言い、ランシュとフィオが激しく頷く。


「だから私達も貴女に色々言い辛かったのですよ。女性に対して色街について語るのは流石に(はばか)られますからね」

「た、確かにそれはそうね……」

 少しばかり申し訳なさそうに話すニイルに、ほんの少し顔を赤くしてレイは答える。

 確かに年頃の少女には、少し刺激が強い話では有る。

 しかし気持ちを切り替えてレイは言い放った。

「でも、私だってそういうのを知らない訳じゃないわ。私だって最初の、力が無い頃は生きる為にそうやって過ごしていた時期も有るもの。世間知らずの小娘扱いは止めて欲しいわ」


 以前レイはフィオに対して初めてでは無いと言っていたがそれは本当の事で、生きる為に身体を売ったのは1度や2度では無い。

 それ故に今後もそういう覚悟は出来ていると言うレイだったが。

「別に子供扱いしている訳では有りませんよ。大切な貴女が今後そういう事をして欲しくないだけです」

「あう……そ、そう……分かった」


(チョロいな〜)

 ニイルの言葉に呆気なくノックダウンし、顔を真っ赤にする。

 フィオからの生暖かい目に気付かない振りをしつつ、話を強引に戻すレイ。

「ゴホン!で、その街を治めているのがスコルフィオという名前の女性らしいわね。自身も奴隷だったにも関わらず、たった1人で奴隷が集まる場所を今の国にしたらしいわ。絶世の美女で、彼女を求める男性は後を絶たず、他の女性からの信頼も厚い。付いた通り名が『夜の女王』」


 今まで聞いてきた情報を纏めるレイ。

 奴隷上がりでありながら他者を従えるそのカリスマ性も然る事(なが)ら、特筆すべき点は別に有る。


「まず間違いなく彼女が『柒翼』の1人で間違い無いでしょう。元奴隷の、更に女性ならば、生半可な力では国を興し、それを維持する事は不可能です。男性優位のこの世の中で、男性からの暴力や権力、それらを圧倒するだけの力を持っていると考えるのが妥当です」


 ニイルの言葉に全員が同意する。

 レイも今までの経験上、搾取される女性の大変さは身に染みて分かっている。

 レイはかなりの美少女の部類に入るので、普通の女性より苦労は少なかったが、その分別の苦労や自分の価値を利用して立ち回っていただけに、スコルフィオという女性の異常さがよく分かった。

 またしても国1つを相手取るかもしれないと、改めて気を引き締めるレイ。


「後は実際に行ってみない事には分からないでしょう。今後も情報収集を行いつつ、油断せずにフィミニアへと向かいましょう」

 全員が頷きその日は解散となった。


 そしてその後も移動を続け、旅立ってから13日目、ようやく4人は目的の街、フィミニアへと到着したのであった。

 1番最初の印象は、街全体が少し薄汚れた印象を受け、雑多でありスラム街を彷彿とさせる。

 しかし如何(いか)にも奴隷の様な格好の者は少なく、皆楽しそうに生活している。


 4人はそんな住民を横目に歩を進めた。

 中央には一際大きい城の様な建造物がそびえ立ち、そこに近付くにつれ街の配色もピンクや赤が多くなってくる。

 そして何より目のやり場に困る様な、際どい格好をした女性が増えて来たのである。

 その中を普通に進んで行こうとするニイルを、女性陣3人がそれぞれ両腕と背中にしがみつく。


「あまり他の女の子を見ちゃダメだからねお兄ちゃん!」

「そ、そうね!ジロジロ見るのは女性に失礼だもの!」

 両脇のフィオとレイが忠告し、背後ではランシュが激しく首肯している気配を感じる。


「やれやれ……」

 ニイルはため息を吐きながら、3人を引き摺る様に進むのだった。


 ようやく城に辿り着く4人。

 今まで認識阻害の魔法でフードを被っていても問題無かったのだが、初めてここで門番らしい女性2人組に止められる。

「お前達何者だ?ここから先は限られた者しか立ち入る事は出来ない。何か身分を証明出来る物は有るか?」


 それにニイルは1歩前に立ち、認識阻害魔法を調整しながら門番へ話す。

「私達4人は本日スコルフィオ様からの召集に応じ参りました。お目通りいただきたく存じます」


 そう言いながら4人に掛かっている認識阻害の内容を少し変更、自分達がスコルフィオに会いに来た人物だと錯覚させる内容に書き換える。

(ん?)

 しかしそこでニイルが異変に気付く。


「んん?本日のスコルフィオ様にそんな予定は存在しないぞ?お前、聞いてるか?」

「いや、私も聞いていない。お前達本当にスコルフィオ様に会いに来たのか?」


(これは……)

 明らかに認識阻害魔法の効きが悪い。

 フード4人組を不審がらずに対応している辺り、完全に効いていない訳では無さそうだが、面会の人物だと誤認させる事が出来ない。

 これはこの2人に効かないのでは無く、外部から阻害されている様な、そんな違和感を覚えるニイル。


「いえ、そんな筈は。私達は……」

「失礼いたしました。どうやら日付を間違えてしまった様です。大変申し訳ないのですが、スコルフィオ様にお目通りいただける機会はございますでしょうか?」

 これ以上粘ると、怪しまれて魔法の効果が切れてしまう。

 そう考えたニイルはレイの言葉を遮り、別の手段を講じる事にした。

 つまり、正々堂々会う約束を取り付けてしまえば良いのだ。


 だが、存外世の中そんな上手くいかないもので。


「次か?あの方は忙しいからな。今から予定をお伺いしても、恐らく1年以上は待つ事になるぞ?」

「い、1年以上!?」


 なんてレイの言葉がフィミニア中に響いた。

 どうやらこの街でも、別の意味で大変な出来事が待っている様であった。

如何でしたでしょうか?

ようやく舞台の街に辿り着きましたね!

長かった…

でも意外とここから先の話は短いかも知れないんですよね…

どうなるかはその時のキャラ次第です笑

ではまた次回にお会いしましょう!

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