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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第3章 色欲花柳編

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38/88

旅立ちの朝

はいどうもニノハジです〜

連続更新3日目!

今回から本格的な新章が始まっていきます!

是非お楽しみください!

ではどうぞ!

 レイが目覚めた日、朝食を済ませ一行は新たなる目的地を目指す為、セストへと戻って来ていた。

 勿論現在もレイとニイルは指名手配となっているので、全員がフードを被り、認識阻害の魔法を掛けての来訪となる。


「ここ暫くは認識阻害魔法を使ってなかったから余計に、この魔法を維持し続けるのが億劫に感じるわね」

「流石に今の状況では仕方ないでしょう。フードの4人組が現れれば嫌でも目立ってしまいますから。今は警備の巡回もかなり増えていますからね。余計な争いは避けなければ」


 ニイルの言う事はもっともなのだが、思わず愚痴が口をついてしまうレイ。

 今まで常に認識阻害魔法を使用して生活していたのに、たかが2年、その癖が抜けただけで面倒に感じるとは。

 慣れとは恐ろしい物だと苦笑してしまう。


 しかし警戒するに越したことは無いだろう。

 何せ今は至る所に、甲冑姿の騎士達が街を警備しているのだから。

 レイとニイルがこの国の宰相暗殺未遂を行い、その2人が捕まっていない。

 ただそれだけが理由とは考えられない程、巡回の人数が多い。

 1ヶ月も経つというのに、ここ迄ほとぼりが冷めていないのには別の理由があった。


「あれから1ヶ月経ったっていうのに、まだこれだけ私達の事を探しているなんて、諦めの悪い人達ね」

 少しの呆れを滲ませレイが言うが、それは少し違うとニイルが訂正する。

「捜索も任務の1つでしょうが、今警戒しているのは他国からの侵入者の方でしょう。ルエルは悪人でしたが、ある一面では優れた為政者でもありました。特にこの国の王は奴にかなり依存していたと聞きます。お陰で内政はガタガタ、あらゆる悪影響が今この国を襲っている様です。しかもあの状況を各地に放映していたのですから、他国も今が責め時だとどこも思うでしょう」


 その言葉が本当ならルエルがほぼ1人で国を回していた事になるのでは?

 と、考えたレイだったが、街の様子を見る限りその予想はどうやら当たりのようである。

 1ヶ月前よりも市民の活気が無く、品物の値上がりや品切れ等も多数目に付く。

 貿易や経済にまで影響が及んでいるとなれば、ルエルの影響は計り知れなかったのかもしれない。

 敵ながらそこだけは賞賛に値すると、思わなくもなかったが、それにしても。


「たった1人が居なくなるだけで機能しなくなるなんて、ズィーア大陸随一の大国とは思えないわね」

 ルエルの有能さを断固として認めたくないレイは、辛口の評価を口にする。

 それに苦笑しながらニイルが答える。

「まぁ、完全に機能停止してない辺り、まだ少しは有能な人間が居るのでしょうが、しかしそんな有能な人物達は恐らくルエル(やつ)によって排除されているのでしょう。彼の能力の高さなら可能な筈ですから。私達は知らない内にこの国を支配するという奴の野望も、阻止していたのかもしれませんね」


 全てを自分の傀儡にして裏からこの国を牛耳る。

 この現状を見ると、ルエルがそれを目指していたのは想像に難くない。

 自分の故郷の様な道を辿る国が無くなって安心するべきなのか、はたまた現状の市民を見て後悔を覚えるべきなのか。

 一瞬では有るが、嫌な想像をしてしまうレイ。

 この状況では恐らく、近々他国からの侵略を受けて、結局この国の行く末は同じなんじゃないかと……


「そして癌を取り除けたのなら、後は残された者達の頑張り次第でしょう。この国がどうなるかは彼等次第ですね」

 さり気ないフォローを入れてくるニイルに、思わず顔が綻ぶレイ。

 相変わらず身内に甘いと言わざるを得ない。


「さて、ここで時間を無駄にする訳にもいきません。目的地は少し離れていますし、夕暮れ前には次の街に着きたい。何時までもこの街に留まっていると、魔法師団が使う魔法感知に引っ掛かるかもしれませんしね」


 魔法感知とは闇属性の初級魔法である。

 使用する事で一定の距離内で、魔法が使われている事が感知出来るという魔法である。

 練度が上がればどんな魔法が使用されているかも分かる様になるというが、初級とはいえ高難易度の闇属性である。

 使用出来る者が少ない魔法故に、野良の魔法師が使える事は少なく、大体が大きな組織に属している。


「やっぱり魔法師団も動いてると思う?」

 レイの問いにニイルは頷きながら返す。

「当然でしょう。国の一大事ですからね。今は騎士団も魔法師団も合同で動いている筈です。一応魔法感知すら欺く細工を施してはいますが、一流の魔法師は魔法に対して敏感ですからね。魔法師団長が出張ると面倒なので、早めにこの街から退散するとしましょう」


 ニイルが話を切り上げ、急かす様に指示を出し始める。

 かくして4人は各々バラバラに動き、旅に必要な必需品を揃える為に行動を開始するのであった。



 市場の品薄による影響がレイ達にも及び、全てを買い揃えるのに2時間近くも掛かってしまった。

 時刻はそろそろ昼に差し掛かろうかという所。

 昼食にしても良い位の時間だが、一刻も早くこの街から立ち去る為、旅立つ事を決意したのだった。


「何とか必要最低限の物は揃えられたけど、旅をするなら心許ないね〜」

 各々が買ってきた物を整理しつつフィオが言う。

 確かに、1週間程度の旅なら持ちそうな物資だが、それ以上ともなると確実に足りなくなる量ではあった。

 万全を期すならもっと買い込みたかったのだが、どこも売っていなかったので断念したのである。


「この状況下では仕方がありませんよ。なるべく節約しつつ、あまり期待出来ませんが、行く先々の街で買い足していきましょう」


 空間魔法にて荷物をしまい、関所へと向かうニイル。

 超高度な空間魔法をこんな用途に使用する事に改めて呆れながら、ふと気になった事を聞くレイ。

「そういえば今の今まで聞いてなかったけれど、目的地は何処なの?」

「取り敢えずは隣街に。その後は宿でゆっくり話しましょう」

 ここじゃなんですし、と指を指す。

 レイもその方向に目を向けると、もうすぐそこに関所が迫っていた。

 確かに認識阻害されているとはいえ、今話すべき内容の会話では無いなと納得する。


 そのまま関所へ辿り着いたのだが、やはり魔法のお陰か、あまりにもあっさりと関所を抜け、街を出る事に成功する。


「丁度いい、あそこの乗合馬車で隣街まで移動しましょう」


 ニイルが目を付けたのは隣街行きの乗合馬車。

 幸いな事に他に乗客が居らず、4人の貸切状態で発車する。


 こうして新たな旅の幕が開けたのであった。



 一方その頃セストにて。


「……ん?」

「どうしました?」

「今、微妙な魔力の流れを感じた様な……?」


 新たな波乱もまた、幕を開けようとしていたのだった。

如何でしたでしょうか?

また何時もより少し短めです。

さて今連続更新3日目ですが、

次の話はこれから作る為更新未定となっております泣

間に合えば明日更新となりますので、よろしくお願いいたします!

ではまた次回!

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